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劇評

[劇評]劇団☆新感線「髑髏城の七人(鳥)」@IHIステージアラウンド東京(豊洲)

投稿日:2017/07/24 更新日:


今までの「髑髏城の七人」とは違う「花のない」捨之介が、特別な「髑髏城の七人」を作り上げていました。7年前に見たキャストも当然ながら進化を遂げており、何度見ても面白いこの物語のすごさを再実感。劇場のスケールも度肝を抜く規模で、まったく新しいエンターテイメント体験ができる施設であることは間違いない。「花」を見逃したので比較ができないのがやはり痛いなぁと実感。

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劇団 劇団☆新感線
題名
公演期間 2017/06/272017/09/01

中島かずき

演出 いのうえひでのり
出演 阿部サダヲ:捨之介
森山未來:天魔王
早乙女太一:無界屋蘭兵衛
松雪泰子:極楽太夫
粟根まこと:渡京
福田転球:兵庫
少路勇介:少吉
清水葉月:沙霧
梶原善:狸穴二郎衛門
池田成志:贋鉄齊
右近健一:迷企羅の妙声
山本カナコ:柵底羅の生駒
村木仁:招杜羅の角丸
安田栄徳安田桃太郎下川真矢藤家剛工藤孝裕井上象策菊池雄人伊藤教人横田遼生尾佳子伊藤破羅馬岩田笙汰大内唯奥山寛上垣内平蔦村緒里江常川藍里東松史子中根百合香野田久美子山口ルツコ山崎翔太矢内康洋
 劇場
IHIステージアラウンド東京(豊洲)
観劇日 2017年07月22日(ソワレ)

ワカドクロとの近さを期待して選びましたが、思った以上の進化を遂げていました

森山未來さん、早乙女太一さん、粟根まことさんというワカドクロキャストがそのまま参加する座組ということもあり、「花」のキャストよりも安定感がありそうと思い花ではなく、敢えて「鳥」を選びました。
経験者に脇を固められた座組の中で、誰も予測できなかったであろう捨之介=阿部サダヲというキャスティング。どんな相乗効果が出るか楽しみにしていきました。

以下の感想には多数のネタバレがあります。(いつもあるのですが、公演期間が長い舞台ですので、念のため入れておきます)

 

花がない捨之介

かっこよくもなく(失礼)、腕っ節もそれほど強くないヒーロー(アンチヒーロー)としての捨之介像は、斬新でした。
 設定を忍者としたのは、うまいと思いました。今までの着流し浪人のイメージとはまた違う捨之介とは違い、忍者であるがゆえに、頭を使って天魔王を追い詰めるストーリー設定はよかったです。

 一方で、殺陣のキレがイマイチだったのは、しょうがないのかもしれせんが、残念でした。この舞台の一つの魅力は、圧巻の殺陣にあるという印象もあり、後述の100人斬りのシーンも含め、殺陣が綺麗に決まらないと魅力が半減したと感じました。忍者っぽい、逆手で持つ刀の殺陣って難しいのだと思いますが。

 圧倒的な強さで天魔王に打ち勝つ従来の捨之介像からかけ離れたラストも、意外なものでした。地の捨之介だけが信長から知らされていた弱点を突いたという部分は、良い展開だと思いました。忍者役であることの強みが生かされたと思います

大江戸ロケットみたい

 もともと製作段階の情報としても、歌やダンスに重点を置いた演出になるということだったので、覚悟というか理解はしていたのですが、歌と踊りの多用は、「花」を見ていない僕にとっては、ちょっと過剰に感じました。緊迫感があって欲しいシーンが、歌で誤魔化されてるなと感じてしましました。
 「花」を見ていれば、その演出の違いを楽しめたのかもしれません。
 勿論、歌やダンスの完成度は高くそれはそれで満足しました。新感線の舞台の中だと、歌とダンスにものすごく力が入った「大江戸ロケット」を思い出しました。

贋鉄斉のシーンは、反則の連続

 再演を重ねる度に、笑いの要素が増えていく贋鉄斉。今回の池田成志さんの演技はかなり反則の連続でした。阿部サダヲさんも、他のシーンに比べて相当リラックスしている感じで、見ているこちらも笑わされっぱなしです。

 二人で芝居しているシーンは確かに新感線の芝居っぽくなくて、そんなことを感じ始めた矢先に「ここは下北じゃない!」という成志さんの台詞。更に爆笑しました。
と、贋鉄斉には、大満足だったのですが、一つだけ、致命的な不満が。

なんで、百人斬りのシーンで贋鉄斉と捨之介がお互いに刀を投げあって研ぐというのをやめてしまったんだ!!

背中に電動刀研ぎ器を背負った状態で歌う成志さん、確かに面白いですが、過去4回見ている身としては、「髑髏城の七人」と聞けばあの贋鉄斉と捨之介の刀を次々に変えながらの100人斬りのシーンこそが見せ場。それが、単なる電動研ぎ器の発表会になってしまったのは、かなりがっかりでした。
とはいえ、見ていない人には伝わりにくい気がしますので、動画を探してきました。

 

 

 

上記は、ワカドクロ(2011)の時のゲキシネの予告編ですが、この中の1:18あたりにあるシーン「刀を捨之介がなげ、それを贋鉄斉が研いで投げ返すシーン」を見たかったということです。今見ても鳥肌モノです(この動画では一瞬ですが)。チャレンジしてほしかったです

 

七年前のキャストたちも、かなり変わっていました

 過去に見た髑髏城の七人では、必ず天魔王が、豊臣秀吉を髑髏城でまっているという見栄を切るシーンがあったので、今回もしばらく待ってしまいました。バッサリカットするとは随分思い切ったなぁと思いまいした。(これも印象的なシーンだったので) こっちは、前回の感想では、最初のこのシーンはイマイチと感じていたわけで、無くて正解だつたのかもしれません

 ここに限らず歌とダンスを充実させたにもかかわらず、ほぼ三時間に収めるため、かなり大胆にシーンを削ってきていました。それでも、物語の構造が変わらないし、面白いということは、この物語の柔軟性の高さであり、これだけ再演されても観客が集まる面白さが維持できる秘密だと思いまいした。

 無界屋蘭兵衛、天魔王のキャラクター設定もかなり変わっていて、7年前と同じ役者さんがやっているのに、全然別の役になっていました。無界屋蘭兵衛は、前回よりも「静」の演技が増えているような気がしました。殺陣も激しいものがほとんどなく、美しさに重点を置かれた所作が印象に残る演技でした。

 信長に唯一行く末を心配され、寵愛を受けたという彼(森蘭丸)の位置づけを明確にするためだったのだと思います。 個人的には、早乙女太一さんの超絶な殺陣を期待していただけに、少々残念ではありましたが、この蘭兵衛像も好きなキャラクターでした。

 また、 天魔王はより、活動的になっていたように思いました。悪役度合いが高まり、しかもギャグが入れられるというのは、森山未來さんの適性ですね。

 戦国時代の話なのに、英語かぶれしているわ、地球儀回したら、日本がどこかわからなくなるわ…絶対、自分で楽しんでるだろ!と感じる独特の天魔王でした。 それでいて、今回は、何故天魔王が信長を裏切ったのかという内面に迫るシーンもあり、役の奥行きが深まったと感じました。 裏切り渡京の粟根さんは….ここまで変わらないのも流石です(笑)

話題の劇場が創る新感覚エンターテイメント

最初に観客席が回った時は、あまりにスムーズに廻るのでびっくりしました(一瞬、自分が回っている事に気づかないほどでした)

客席が回る舞台としては、劇団四季のCATSで経験済みですが、あの時はもう少しガクンガクンという回転している感があったきがしたのですが、予想以上のスムーズさでした。

360度の回転を売りの劇場ですが、映像も多用されることにより上下への移動もあったかのように感じる演出で、演劇だけでなく他のあらゆるエンターテイメントで経験したことのない新しい体験をすることができる劇場でした。VRやプロジェクションマッピングといった最新技術の導入が演劇を変えてきているとおもっていましたが、この劇場もまた、演劇という体験を劇的に変える技術の集合体だと思いまいした。

革命的な劇場では、ありますがそれだけにこの後何に使うんだろう。。。とちょっと不安になりました。まわり、なんにも無いし

時代考証はこれ…あってんだっけ?

細かいことをいいたくありませんが(笑)。当時の世界情勢的には、イギリスがスペインの無敵艦隊を破ったからと言っても日本にくるということは考えにくかったように思います。当時は、日本人のあずかり知らぬ話ですが、ローマ教皇の仲裁で世界はスペインとポルトガルに分割されていて、関東がスペイン領で、西がポルトガルということになっていたはず。(あくまで、日本人の知らないところで決まった話ですが)(超正確にいうと、三陸沖/北海道の中心を通る線で分割されていたようですが) 確か、過去の再演の時の話のなかでは、スペインが髑髏党を助けに来てくれるという話で、多分、この辺の歴史的事実を背景に書いてたんだと思っていたのですが、今回イギリスがいきなり助けにくることになっていて、あれ?と思いました。森山未來さんが、英語しゃべりたかったからでしょうか(笑)

 

風もみたいなぁ。月はどうなるのか?

やっぱり、一人二役に戻る「風」版もみたいなぁと考えてしまいました。月キャストの予測、以下の記事で書きましたが、少し見直したほうがいいかもしれません。 渡京役が、あんな出ずっぱりだということを忘れていました。さすがに、月版にでろというのは、酷な気がしてきました(笑)

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