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劇評

[劇評]劇団☆新感線「髑髏城の七人(風)」@IHIステージアラウンド東京(豊洲)

投稿日:2017/10/02 更新日:

「正調」髑髏城の七人。初めてこの作品を、見る人にはこれが一番わかりやすい作りだったかも。カメレオン俳優松山ケンイチの面目躍如の二役配役も当たりでした。殺陣シーンの充実もあり、異色な「鳥」とは別の芝居として楽しむことができました。

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劇団 劇団☆新感線
題名 髑髏城の七人(風)
公演期間 2017/09/152017/11/03

中島かずき

演出 いのうえひでのり  
出演 松山ケンイチ:捨之介/天魔王
向井理:無界屋蘭兵衛
田中麗奈:極楽太夫
橋本じゅん:贋鉄斎
山内圭哉:兵庫
岸井ゆきの:沙霧
生瀬勝久:狸穴二郎衛門

河野まさと:三五(オダギリ)
逆木圭一郎:安定羅(あんちら)の猿翁
村木よし子:毘蝎羅(びから)の瞬尾/東雲
磯野慎吾:磯平(兵六の兄)
保坂エマ:おえま
吉田智則:因達羅(いんだら)の蛇眼
松田慎也:宮毘羅(くびら)の猛突
武田浩二:服部半蔵他

加藤学:鉄機兵/服部忍群/旅人/他
川島弘之:鉄機兵/服部忍群/旅人/他
南誉士広:鉄機兵/服部忍群/旅人/他
熊倉功:鉄機兵/服部忍群/旅人/他
縄田雄哉:鉄機兵/服部忍群/旅人/他
藤田修平:鉄機兵/服部忍群/旅人/他
森大:鉄機兵/服部忍群/旅人/他
田沼ジョージ:鉄機兵/服部忍群/旅人/他
穴沢裕介:青吉/鉄機兵/他
蛯名孝一:黒平/鉄機兵/他
鈴木智久:赤蔵/鉄機兵/他
棚橋麗音:白介/鉄機兵/他
渡部又吁:黄平次/鉄機兵/他
小川慧:無界屋男衆/鉄機兵/他
鈴木凌平:無界屋男衆/鉄機兵/他
小板南央美:おいた
笹丘明里:おささ
鈴木奈苗:おすず
田代絵麻:おしろ
鉢嶺杏奈:おはち
藤咲ともみ:おとも
劇場
豊洲ステージアラウンド東京(豊洲市場前)
観劇日 2017年09月30日(マチネ)  

正統派「髑髏城の七人」でした!

97年版から見ている身としては、やはり格好いい捨之介/天魔王の二役が出てくると安心します。

もともとの脚本の意図に近く違和感なく全編見通せるシナリオになっていました。2011年版以来の捨之介と天魔王が別配役になった舞台の違和感が払拭され、「わかりやすい!」物語になってました。

ただし、二役の、醍醐味を味わいきれる演出とはいい難く、えー、そう来るのと思ったところもありました。

特に前回の「鳥」でも書いたプロローグのカットが招いた影響は今回は特に大きかったかと…(後述)

以下の感想には多数のネタバレがあります。(いつもあるのですが、公演期間が長い舞台ですので、念のため入れておきます)

 

贋鉄斎が投げた!!

ハイジの「クララが立った」風に

「鳥版」で大きな不満が残った贋鉄斎と捨之介コンビによる百人斬りシーンの復活は嬉しかったです。

今回ちゃんと贋鉄斎が、刀を砥いだ後で投げ、捨之介が受け取るという見せ場がありました。実は、今回見ていてスクリーンが降りた状態の舞台上が予想以上に狭く、刀を投げたくても投げられないのかもしれないと心配していました。その上、三歳児の歩行器に乗ったような贋鉄斎が現れ…心配した矢先に、人を切った刀を、投げ、研いでは、投げ返すシーンが始まりました。

おそらく、投げる距離を短くするという効果はあるのだと思いますが、一方で移動式砥石で動き回る贋鉄斎と捨之介のコンビネーションはすごかったです。(なんか、途中で敵役が刀を中継していたような気がしましたが....気の所為でしょう)

配役毎の出来を思わず鳥と比べてしまいました。

「鳥」でストーリーを見直していたが故に、今回は細かい演出の比較をしてしまいました。特に配役による役のイメージの違いを感じました。

松山ケンイチの身体能力がすごい

殺陣というよりアクションの彼の舞台上の、立ち回りは見所でした

多分、通常の、殺陣に横転とか含まれないと思うのですが多用されており、それが様になってる当たりはさすがです。

途中の贋鉄斎のシーンでネタにされていた映画「デスノート」のLのときも含めあまり活動的な役をやっている印象がなかったので、彼がこれほど動けるとは、嬉しい誤算でした。(蒼の乱も殺陣はありましたが、それほど印象も残っておらず)

その上、カメレオン俳優と呼ばれるほどの人格憑依力は、この別人役を演じるこの舞台ではいかんなく発揮されていました。見事に別人でした。

一方で、二役である以上しょうがないと思ったのですが、天魔王の時に遊びが少なくなったのは寂しかったとおもいました。天魔王単体のキャラクターは、森山天魔王のほうが愛らしくて好きでした(悪役が愛らしくていいのかという問題はさておき)

向井屋蘭兵衛は、予想通りのできでした

名前がしゃれになっていることには今、記事を書いてて変換間違い起こすまで気づきませんでした(笑)。稽古ではいじられたんだろうな

舞台経験豊富な向井理さんですが、僕自身は初見。テレビの印象でクールな人柄をイメージしていて、配役にマッチしていましたが、一方で予測の域を超えてはいませんでした。

前半の殺陣がぬるいと、感じました。「鳥」での早乙女太一さんの時も、前半のシーンはぬるいと感じたのですが、「鳥」のときは演出だろうと感じて、今回(風)のときは、「向井さんの限界かな」と思うのは先入観ですかね。

思い返せば、二刀流の殺陣は、他で見たことはなく、美しい殺陣姿はさすがでした。

橋本じゅんの贋鉄斎のシーンは笑い少なめ

ネタは、そこここに入ってます。デスノートネタや松山ケンイチが前に新感線に出演した「蒼の乱」にも出てきたクロマテイという名前の馬の登場もありました。(あの馬は取ってあったの?また作ったの?)

でも、おじさん芸達者阿部サダヲ/池田成志の贋鉄斎のシーンには、このシーンだけは負けてたかも

極楽麗奈は、色気不足も戦うシーンはよかった

田中麗奈ファンの方ごめんなさい。大人の松雪泰子(鳥)、小池栄子(2011版)に比べて色気不足感ありました。一方で、戦うシーンからは元気印で調子が良くなった感ありました。

田中麗奈ってもうちょい若い頃に沙霧をやってもらいたかったキャラクターだったなと。極楽太夫よりはまった気がします。

山内兵庫が、良い!

目の前にこの役を十八番にしてきた橋本じゅんさんがいたのは、きっとやりにくかったんだろうなと思いますが、お見事な兵庫でした。 (兵庫役は、1990年(初演)、97年、2004年(アカドクロ)とずっと橋本じゅんさんがやっていた役でしかも、あて書きされているような役だと思います。)

そういえば、新旧兵庫が膝を突き合わせて、橋本じゅんが、山内圭哉に刀にひたすら謝らせるシーンは、「あ、新旧兵庫だ」と思うとよりおかしくなりました。

仲間に、兄貴として慕われ、最後仲間が死んだことに落ち込み、再び太夫の言葉で立ち直るシーンはジーンときました。

ちょっと色物系の役をやっていたり(ドラマ民王)、真面目な番頭役(NHKあさが来た)だったりと、いまいち実態を掴んでいない役者さんでしたが、幅広い役柄をこなした経験が生きていて、深みのある兵庫になっていました。

そして、実はこの芝居では、このバカで生真面目で一途な兵庫こそが一番好きな役なんだなと思いました。新感線の舞台共通ですが、バカな男が一番感動を呼びますが、兵庫はそういった意味でこの物語の象徴だなと思いました

三五の役は、やはり粟根さんにはねー(以下自粛)

実は、この裏切り者の役は、ずっと粟根さんと河野さんが交互にやっている役。とても印象深い三五(河野まさとさん)ですが、残念ながら、粟根さん(渡京)には印象的には勝ててないですね。

もともとは、1997年に河野まさとさんの三五をやっているわけなので、裏切り役キャリアは、河野さんのほうが長いのですが、(鳥)の粟根さんの方が印象が強かったです。狸に化けて、「北の国から」ネタをやるのは、懐かしいとか思ったのですが。

そういった意味でもっといい加減さがでてきてほしいな、数少ないオリジナルキャストなんだし

2017〜2018年にかけての花鳥風月は、「花」「風」を河野まさとさん、「鳥」「上弦の月」を粟根まことさんがやるというキャスティング。こうなると唯一、初めてこの役をやる「下弦の月」の伊達暁さん、楽しみですね(プレッシャーだろうなぁ

演出には、思うところ多かった

どんだけ上から目線なんだっつーのは自覚の上ですが、やはり色々気になりました

配役がオリジナル(90.97.04)版の二役になったことで元々の物語が持っていたギミックが、上手く使えるようになっていただけに、それの使いこなしが「良い」と思うところと「えー」と思うところがありました。

二役を生かしていない演出

なんと、天魔王の顔が一幕にでて来ません。前述のようにプロローグに天魔王が出ないのは痛かったです。結果として一幕で、天魔王が仮面を脱ぐシーンが無く、天魔王を松山ケンイチがやっていることが、観客に伝わりません

以下の動画や、2004年の市川染五郎版(通称アオドクロ)のオープニングです。結構、ゾクゾク来るオープニングで、シーンそのものも好きなのですが、このシーンが無いと上記の通り、一幕で天魔王の顔が出てこないのです。

https://youtu.be/lcib9BkqVnI いや、ここまで歌って踊れといいたいわけではないのですが。

僕自身は、天魔王が二役というキャスティングに惹かれて見にきたので当然天魔王の中身が実は捨ての介と同じ顔という前提でみていました。
ところが、一緒に見に行った連れに、一幕終った後のインターミッションでこう呟きました。

「で、今日の天魔王は誰なの?」

そうです、みんながみんな、キャスティング頭に入れて見てるわけではないのです。これでは、二役の意味が半減です。もったいないなあとおもいました。

二幕には、早替わりもあり、(いつ入れ替わったか全くわからず)、一人二役は、この舞台の見所の一つでもあるので、その強みをもっと発揮して欲しかったところです

顔を見て驚く

一幕の最初で、狸穴二郎衛門(=家康)が、捨之介を初めて見て驚くという細かい演出はよかったです。

捨之介と天魔王を別の役にしたバージョンで、うやむやになってきていた、捨之介も天魔王も信長の影武者だったという設定が生きるシーンでした。

信長の影武者故、家康にとっては見知った顔。台詞でも「昔お世話になった方云々」も、信長家康同盟的な物(生涯信長は家康とは戦った事がない)があった歴史的事実をふまえると台詞の意味が深いです。

また、二幕で髑髏城に潜入した沙霧が、天魔王の顔を見て「裏切り者」呼ばわりするシーン。無界の里が、やすやすと蘭兵衛と天魔王を迎い入れてしまうシーンなど、やっぱ一人二役(天魔王と捨之介の顔が同じ)でないと無理があるシーンだなぁと改めて感じました。

この辺の細かな脚本の作りが生かされているだけでも、みたかいがありました

斬鎧剣の演出もオリジナルに戻ってホッと

「鳥」では、「じゃ何で成志に剣を作らせたんだ」とツッコミを入れたくなるトドメの刺し方でした。

今回は、斬鎧剣をきちんと使って、賭けに出た戦いをやっていて、橋本じゅんが作ったカイがある物語でした

劇場の大きさを改めて感じました

前回の座席より大分後ろの席(29列目)だったせいか、座席の回転をより感じました。

遠心力の所為でしょうか。

前回は中央より(22列くらい)だったからか、自分が回ってる感はなく、寧ろ舞台の方が回ってる感じだったのですが、今回は違いました

スムーズな回転は変わりませんでしたが、座る位置によって違うんだなと実感しました。(真ん中よりの席がそう考えると一番落ち着いて見えるのかもしれません)

ロビーで思わず購入してしまったものは

実はパンフレットも含み劇場物販であまりものを買わないのですが、今回は思わず大枚をはたいてしまいました。

花、鳥、月の戯曲集。見ることのできなかった花から読み始めていますが、これ面白いです。

近いうちに脚本の比較記事書けそうです。

これ、月や極も売り出されるのだろうか。

最後まで読んでいただきありがとうございます。 文中に何度も出てきた「鳥」の劇評は以下です。(「鳥」も面白かったです。一つの物語を元にここまで別印象のものができるとは...と改めて思いました)

そもそも、過去の「髑髏城の七人」のキャスティングはどうだったのか?という方、以下の記事にまとめております(月キャストも載ってますよ!) また、橋本じゅんさんも少しネタにしていた松山ケンイチさんの新感線初出演作「蒼の乱」の劇評は以下です。

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