[劇評]北区つかこうへい劇団「熱海殺人事件 ~モンテカルロイリュージョン~」@紀伊国屋ホール

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何回目かの熱海殺人事件。役者的には今回の配役は誰も力があり、かなりの期待をもって見に行った。しかし、少々回り道が多すぎて見ていて飽きてしまうことが多々あるものの最後はしっかりと熱海殺人事件らしさが出ていたと思う。照明効果の使い方に疑問

劇団 北区つかこうへい劇団
題名 熱海殺人事件 ~モンテカルロイリュージョン~
公演期間 2002/06/20~2002/06/30
作/演出 つかこうへい
出演 阿部寛、春田純一、小川岳男、内田有紀
劇場 紀伊国屋ホール(新宿)
観劇日 2002年6月29日(マチネ)

<<ストーリー>>

かつて、ロサンゼルスオリンピックで金メダルを嘱望された木村は、その日本代表を辞退し、今は警視庁捜査一課の部長刑事。そこへ、山形から早見刑事が転任してくる。彼は、木村がやはり棒高跳びの選手だった自分の兄を殺したのではないかと疑っている。時効の迫った木村の殺人事件と、砲丸投げ選手の山口アイコ殺害事件を同時に解決しようとする早見は、そこで新しい真実に出会う。

<<感想>>

やめるやめるといいながら、なかなか終わらない熱海殺人事件。確か、石原良純が最終バージョンとかいわれていた気が….というのは、忘れて僕自身何度目かの熱海殺人事件。今回の役者はどれをとっても、文句のつけようがない!男優三人は誰が木村部長刑事をやってもはまりそうだし(実際、春田さんが部長刑事役をやった版も見たことあるし)、内田有紀もかわいいし….そうとう期待して見にいきました。

 

結果として、少々色々な話を詰め込みすぎた感じが強い。前に、阿部さんのバージョンでもホモとかオカマとかというネタはあった気がするのですが、こんなに熱海殺人事件から離れるとオリジナルが持っていた毒が逆に薄まってしまった気がする。

 

もしかしたら、わざとかもしれないが、いわゆる「ブス殺し」という毒がなくなっていることにより全体としての台詞のパワーがなくなっているように思う。砲丸投げの選手の女性が太っているという事で、婉曲的に山口アイコがブスであったという事にして色々なつじつまを合わせているが、あまり成功していないのではないだろうか?

 

既に、熱海殺人事件はつか演劇の集大成のようなものに昇華させようとしているのではないかと強く感じた。結果として、本来単独の「熱海殺人事件」が持っていた毒や独自性が失われていっているような気がする。

 

木村部長刑事がおかまであることを悩み、男を愛する男の苦悩する姿は「ロマンス」を思わせるし、その木村部長が新宿二丁目で育った出自を周りが気にするあたりは、「蒲田行進曲」の銀ちゃんを思わせる。

 

照明効果も気になった。演出は元よりつかさんの演出の要だが、目潰し効果の多用はあまり言い気持ちがしない。しかも、一回あたりの目潰し照明のついている時間が長く拷問のようなシーンがいくつかあった(実際、刑事ドラマで机の上の照明をまぶしがる犯人に向けるシーンがあるが、ああいうシーンを思い出した) 是非、再考をいただきたいシーンだった。

 

春田さん、阿部さん、小川さんの三人に囲まれるとさすがに内田さんの演技力不足が気になる。一人で長いシーンを持たせきれていない。華はあるはずなので、表現力をもうすこし磨けば、すごくよくなるような気がするのだが….元々ファンということもあるので、是非とも期待したい。(そういえば、内田さんもつか劇団に入る時に暫く芸能活動をしないと聞いたような気がするのだが….忘れよう)

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