[劇評]星屑の会「クレイジーホスト リターン」@本多劇場

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結構アブラぎった出演陣による濃い芝居をイメージしていたが、意外にも(失礼)非常に爽やかな印象のみが残った。個々人の役者の特徴をつかんであて書きされた脚本が芝居全体の雰囲気を爽やかでかつ楽しいものにしていたのだと思う。

劇団 星屑の会
題名 クレイジーホスト リターン
公演期間 2001/05/18~2001/05/27
作・演出 水谷龍二
出演 渡辺哲、でんでん、ラサール石井、小宮孝泰、三田村周三、有薗芳記、新納敏正、朝倉伸二、木村靖司、海津義孝、佃典彦、菅原大吉、平良政幸、渡部遼介、麻乃佳代
劇場 本多劇場(下北沢)
観劇日 2001年5月26日

<<ストーリー>>

 前作(「クレイジーホスト」 私は未見)では、荻窪のホストクラブが舞台だったらしいが、今回は北海道すすき野のホストクラブ。荻窪のホストクラブから流れてきたホスト達が、こじんまりと、儲け主義じゃない自分達流のホストクラブを経営していた。

 そこに東京の店がつぶれて流れてきた昔の仲間達が来る。事実上自分を追い出した彼らを快く迎えるホスト達(でんでん、渡辺哲、三田村周三、小宮孝泰)は、それでも迎えたホスト達との確執を抱え、新興のクラブに主力のホストを引き抜かれそうになりながら、最後は男気を示して仲間達を救う。

<<感想>>

実を言うと、今回の客演である万有引力の海津さんとらっぱ屋の木村さんの顔合わせが見たくて足を運んだ芝居。元赤信号のラサール石井、小宮孝泰の二人の印象から、割と濃いお笑いをイメージしていて、ちょっと今まで敬遠していた部分があったのですが….。

結果としては、客演陣に関係なく非常に面白かった芝居。ホストクラブが舞台という芝居なので、ショータイムがあり、それでいて人間同士のドラマがちゃんと盛り込まれていて色々な意味でバランスの取れた舞台になっていた。笑いつづけながらも、ぐっと胸に迫ってくるものがあって、最後にとても爽やかになる舞台だった。

客演の木村さんは、思った通りホストがはまり役。出演者の誰よりもホストっぽかった。海津さんに関してはちょっと怖い新興ホストクラブの店長といった役回りがベストマッチしている。ただ、コミカルな海津さんを期待していた部分があったので、少しだけ不満が残ったが。後、有薗さんの店の常連のオカマというのも見ていておかしかった。渡辺さんの役に惚れ込んでいる役なんだが、その惚れ込み具合の演技が非常い初々しいというか気恥ずかしいというか….雰囲気が出ていて、男ばかりの舞台に花を添えていたと思います。勿論紅一点の麻乃さんも花を添えてたんだけど、役的にあまり前面に出てきたり、コミカルな所がある役ではなかったので、目立ったのはどうしても有薗さんという印象だった。

あと知らなかった役者さんで、いいなぁと思ったのは三田村さん。すごく雰囲気がいい役者さんで(この言葉、流行っているので使いたくないのだが)「なごみ系」の男優さんだなぁと思った。特に若いホスト(渡部さん)にワルツを教えるシーンなんかは、とてもジーンと来るシーンになったのだけどそれもこれも彼の雰囲気の良さから来ているのだと思う。

逆に不満があるとすれば….女性があまり出てなかった事。いや女優さんをもっと見たかったという訳ではなく(それも少しあるが)今回のホスト役の役者さん達のホストぶりを見たいなぁという思いが強かった。木村さんや海津さん、小宮さん、でんでんさん….どんな風に女性をホストとして扱いサービスするのか、各人各様のやり方がありそうで、なんだか楽しそうなのだが…

 

いずれにしても凄く面白い劇団をまた発見してしまった。今年中にもう一回(今度は麿赤兒さんが客演らしい….どうなることやら)、来年は風間杜夫、平田満を主演陣に迎えて明治座でなんて話もあってちょっと目が離せないかなという印象を持った。

 

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