[劇評]小丸オンライン「飛龍伝 ドットコム」@江古田ストアハウス

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つか作品固有の過剰な演出を役者が消化しきれておらず、全般に一本調子な演技で感情が伝わってこない。脚本がいいだけに、受け止め切れない役者の力量不足が目立った。

劇団 小丸オンライン
題名 飛龍伝 ドットコム
公演期間 2001/05/09~2001/05/13
つかこうへい/一寸小丸(構成) 演出 藤井賢弥
出演 町田知恵子、鈴木泰範、北口いづみ、古川薫里、松浦弘信、サミィ、青柳瑞樹、杉浦円、渡辺ただはる、岡本広毅、田中大介、安居真一
劇場 江古田ストアハウス(江古田)
観劇日 2001年5月13日(マチネ)

ちょっとまえに、週刊FSTAGEというホームページの中で、小丸さんが書いていた題名に惹かれて行った。
重信房子が法廷に立ち、よど号の犯人の子供たちの帰国が認められる今、石と角材で機動隊と衝突したあの「革命」は、はっきりと色褪せ、同時にオープンソースムーブメントやナップスター/グヌーテラといったソフトがが「.COM」の世界で別の「革命」を進行させているという現在を何か映し出すような芝居を期待して行ったのですが….いやぁ、題名から中身を類推しすぎると痛い目にあうという事を明確に悟りました。

見ていて思ったのは、この芝居僕は、見たかったんじゃなくてやりたかったんだということ。これだけ題名に触発されていろいろな事を期待していきゃ、そりゃ面白くないわなと自分で自分に反省。(でも、その期待をいいほうに何も裏切ってくれなかったという不満もある。)

というわけで、以下の感想は、上記のような私のなんの根拠もない期待にそぐわなかったが故に辛くなるというバイアスがかかってしまっている事をお許しください。

芝居全体の構成は、概ね「飛龍伝」そのままの印象。(オリジナルをよく覚えていないが…)この芝居は二つの対立軸(山崎←→桂木の男の対決、山崎←→神林のロミオとジュリエット的悲恋)があってそのどちらを強く押し出すかで大体芝居の方向性が決まると思うのだけど今回は、その辺の演出プランが見えにくかった。(ちなみに1997年のオーツープロデュースの公演は、男の対決を強調してたと思う)恐らく、悲恋の方に力を入れる演出だったのでしょうが….感情の起伏が伝わってこないよぉ。

オーツーコーポレーション「飛龍伝-今蘇る、青春の魂」@全労済ホールスペース・ゼロ(新宿)


どんなに舞台上で好きだ好きだ言われても、そこに至る感情の動きとかを(無言の所作とか、さりげない言葉の端々とか)表現してもらわないと山崎や神林の悲恋が胸に迫ってきません。多分クール神林を作ろうとしすぎたのかも知れません。その為、神林が機械かマリオネットのようにしか見えなくて、感情の起伏が伝わってこない。

それをカバーしうる程、山崎役がうまければ良いのですが、絶叫系の演技だけではやはり切ない恋心は伝わってきません。その上、桂木役の子もルックスは結構桂木のイメージにあっているのに演技がそれについていっていない…..

なんかむちゃくちゃ言ってますが….

前半に比べると後半俄然良くなるのは、演出力/構成力の良さ。(最近気づいたのだが、前半のいい芝居は役者の演技力が高く、後半いい芝居は演出力/構成力が高い気がします。)但し、ラストシーンは個人的には嫌い。僕は山崎にはかっこよく終わって欲しかった。(ま、好みによる所でしょうが)
全般的な印象として、演出過剰な上にその演出に役者の力量がついていっていない。(過剰演出は、つか作品をやる上で必須と思うのですが、それにはある程度の役者力がないと見ていてつらいという事を思いました。)
「美味しんぼ」って漫画ですごくいい牛肉でつくったハンバーグを挟んだハンバーガーが、そのパンがしょぼいが故に、ちまたのくず肉のようなハンバーグを挟んだハンバーガーより味が劣るという話がありましたが、今回はまさにそんな印象。

音も結構僕好み。こういうウェットな芝居には中島みゆきってほんとあいますねぇ。勉強になりました。

役者が若いんだからしょうがないんですが….(最初に抱いていた期待はともかく)せめて大人の飛龍伝が見たいと思った私。
(夏の北区版も見に行きたいんだけど….大人なのかなぁ…疑問)

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