[劇評]トム・プロジェクト「ダモイ~収容所から来た遺書」@吉祥寺シアター

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実在した人物である山本旗男を演じる平田満さんの演技がひょうひょうとしていて非常によく、あまり意識したことのなかったシベリア抑留という事実を実感としてまざまざと感じることができました。そういう意味で、戦後60年にふさわしい非常に重みのある舞台であり、トムプロジェクトには珍しい(失礼)満員御礼という状態もうなづける舞台でした。

劇団 トム・プロジェクト
題名 ダモイ~収容所から来た遺書
公演期間 2005/08/04-2005/08/14
作/演出 ふたくちつよし
出演 平田満、新納敏正、阿南健治
劇場 吉祥寺シアター(吉祥寺)
観劇日 2005年8月14日(マチネ)

14日マチネを見てきました。

アーティストの八谷和彦さんが自身の作品「メガ日記」について語るときに、「戦争や災害で何人亡くなったと聞いても、ピンとこないことがある。でも、このメガ日記を読んでいる読者が、100人という言葉を聞いたときこの日記を書いている100人を思い浮かべ、その人生を思い浮かべることができる。100人という数字の実感を感じてほしい」というようなこと(かなりうろ覚えなので違うかもしれませんが)を書いていた事があるように思います。

今回、実在の人物である山本旗男という男が、シベリア抑留中に何を考え、どのように死んでいったかを舞台という形で追体験することによって、いままでけして実感することのなかったシベリア抑留数十万人ということの重大さを実感する大きな機会になったように思います。

そのような深刻なテーマを、三人の役者がある意味では飄々と重々しくならずに演じたという意味では秀作ではないかと思いました。

特に、平田さんの飄々と演じる姿が非常にマッチした舞台だなぁと感じました。また、堅物そうな新納さんや、いかにも単純そうな阿南さんの役もまたベストキャスティング。トムプロジェクトならではの舞台というふうに思いました。俳優の持ち味を120%引き出すのがトムプロジェクトの特徴だと思います。

ただし、どうしても気になった難点がありました。元の話が実話ということもあり、どうしても説明的なせりふが多くなったのはしょうがないとおもうのですが、暗転中に暗闇のなかでせりふだけが流れるというシーンが多いのは少々辟易としました。できれば、もっとその部分は映像等を多用するなど工夫があってほしかったと思いました。

吉祥寺シアターは初めていきましたが、規模といい建物の雰囲気といいいい劇場ですね。いろいろな劇団がここで公演を打ってくれればよいのにと思いました。また足を運びたい気持ちのいい劇場だと思います。

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