話はかなり僕好みな歴史ものということもあり、かなり期待をして見に行った。
音楽も含め、かなり期待を裏切らないできであったが、チケット代の高さもあって、極限まで上がっている期待値に完全に答えるものとはいいがたい。
特に一幕の話の進み方のテンポが全体に遅かった気がする。一幕は、半分にしても話が通じたような気がする。
何よりも、イラク戦争の映像を出すあの演出が嫌い!
劇団 | 東宝 | ||||
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題名 | SHIROH | ||||
公演期間 | 2004/12/07-2004/12/29 | ||||
作 | 中島かずき | 演出 | いのうえひでのり | ||
出演 | 中川晃教、上川隆也、高橋由美子、杏子、大塚ちひろ、高田聖子、橋本じゅん、植本潤、粟根まこと、吉野圭吾、泉見洋平、池田成志、秋山菜津子、江守徹 | ||||
劇場 | 帝国劇場(日比谷) | ||||
観劇日 | 2004年12月18日(ソワレ) |
【ストーリー】
時は、三代将軍徳川家光の治世。幕府は鎖国をご定法としていた。 所は、九州は島原。重税と度重なる飢饉に苦しむ農民は、島原藩キリシタン目付・津屋崎主水(池田成志)らに迫害されながらも、キリシタンを信仰し続けていた。 隠れキリシタンの中心的存在の益田甚兵衛(植本潤)、その娘レシーナお福(杏子)らは、海の上を歩いて渡り、農民を武士達の拷問から救い出し、天主デウスの言葉を伝える救世主-「天の御子」が現れると説き、さしも甚兵衛の息子である益田四郎時貞(上川隆也)であるかのような噂を流して、民衆を扇動し時代を動かそうとしていた。 しかし、四郎はかつて「奇跡の子」と呼ばれていたような奇跡を起こす力を失っていたのだった。奇跡を起こせぬ自分が一揆軍を先導することなどできやしないと、葛藤する四郎の前に幻のように現れ消える不思議な少女・リオ(大塚ちひろ)は自分を信じろと告げる。 そして、その頃天草にもSHIROHと名乗る少年がいた。名はシロー(中川晃教)。 (以上 HPより。続きはこちら)
【感想】
新感線初のロックミュージカルと聞いてちょっと意外だったわたし。あれ、いままでの芝居ってミュージカルじゃなかったんだ….いや冗談です。でも、歌も踊りもあったし、ミュージカルになったからって何が変わるんだろう….
という私の思いは、とりあえず開幕後すぐに晴れました。ほんとにミュージカルを作っている!とりあえず、歌いっぱなしです。
天草四朗の話は、中学だかの修学旅行で確か色々読んだのでなんとなく覚えていたのですが、悲劇としてはそれなりに有名なものです。こうやって改めて見るとまさに宗教戦争って感じです。キリスト教もこうして異端扱いされれば、狂信的な集団を作りえるんだなと恐ろしくなりました。
ストーリー的にもかなり誇張やデフォルメが入っていますが、その分、狂信的になる人間の心理が描かれていてうまいなぁと思うところが多々ありました。ありきたりですが、最初は、殉教を否定していたシローが最後には民衆を扇動して殉教へ誘うあたりはかなりやられたと感じました。
上川さんの殺陣はなかなか決まっていました。なによりも、こういう悩みを秘めた男をやらせると、いまや上川さんの独断場で、他に変わる役者がいないなぁと感じました。舞台を完全にひっぱっていました。
植本さんは、前回の和宮とは打って変わって老人役。はまるなぁ。この人に出来ない役はあるのだろうかと感心させられるほどはまっている。
あと秋山さんがかっこいい。くのいちぴったりです。きっぷがいいねぇさんって感じです。高田聖子と姉妹の役なのですが、これがまた雰囲気が良く似ていて本当の姉妹のように見えました。
それに、音楽。ロックミュージカルとしては、満点があげられるんじゃないかというくらいいい音楽です。今も、いくつかの曲が耳についてはなれません。
が!!そのほかの部分で大きく気に入らない部分があります。
テレビを舞台上にいっぱいおいて、そこに台詞の一部を表示するという手法は、劇場の大きさや見えにくい人がいるということを考えていないというマイナスポイントがあることをさっぴいても面白い趣向だと思いました。しかし、なんでイラク戦争が出てくるんだ。
だいたい、最近、演劇は変だ。SETも野田秀樹もみんな戦争を舞台上にのっけようとする。それもかなりあざといやり方で。
テレビで見てるし、戦争を再度劇場で見せ付けられる事にものすごく違和感が私にはあります。
これがニュースペーパーの舞台でとかなら許せるんですけどね。(っていうかあたりまえだし)
なんでエンターテイメントな新感線で見せられるのか訳わかんない。他に工夫するところあるとおもうんだよなぁ。イラク戦争と島原の乱をあんなに直接的にのせなくても(だいたい今、この時期に島原の乱の話をされれば、大概の観客は、イラク戦争との共通性に気づくはず。わざわざイラク戦争とかを映像とかで見せられるとすごくバカにされた気分になる。)
工夫といえば、例えば1幕もうちょい、テンポよくならないのでしょうか?2時間もかけてなんか2幕のためのプロローグ的な話しかなくて、盛り上がりにもかけるし、話はすすまないし、少なからずいらいらしました。
[…] ミュージカル界のスーパースターのお一人。あまりミュージカルを見ない僕でも、彼の歌声の凄さは体験したことがあります。 古い話で恐縮ですが、僕が彼の凄さを垣間見たのは、劇団☆新感線とのコラボ「SHIROH」でした。 演劇とかの感想文ブログ [劇評]東宝「SHIROH」@帝国劇場http://blog.kans… […]
[…] 清角克由(2004/12/18) […]