[劇評]かれーど・すこーぷ「DRACULA-そして新たなる再生の為に-」@ウエストエンドスタジオ

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全般には、1時間30分によくまとめており長さを感じさせなかった。惜しむらくは、最後のエピローグの必要性がうまく観客に伝わってこず冗長な感じを与えてしまった事。人間と吸血鬼の共存というテーマが全体のテーマとしてもっと迫ってきていれば、意味が伝わったと思うが。

劇団 かれーど・すこーぷ
題名 DRACULA-そして新たなる再生
公演期間 2001/07/13~2001/07/15
石川亜美 演出 吉永郁子
出演 植木亨、石川亜美、牧野しゃこ、黒田彩季子、よしみゆか、籏谷力、熊田ゆみ、おぎゅうようこ、石本典子、二出川ユキ、水島大宙、新井雅晃、堀聡、加藤敦洋
江古田ストアハウス(江古田)
観劇日 2001年7月15日

<<ストーリー>>

かつて吸血鬼ドラキュラに次々と女性を襲われた町は、その調査の為に、専門家を呼び寄せた。ブラム・ストーカーでその名をはせたヴァン・ヘルシングの孫である。彼女は、幽霊調査の為に呼ばれていたがひょうなきっかけからまだドラキュラが静かに暮らす城にやってくることとなる。

<<感想>>

吸血鬼ものだからって海外を舞台にするという発想はきらい。どうしても日本人が外人の名前でよばれていると気恥ずかしさがある。(唯一許せるのはシェークスピアだけどそれでも、見ていてつらいと感じる事は多々ある。日本人が書いた日本人向けの脚本に外人名を出すのは何か気恥ずかしい)
という不満は、あるもののおおむねの出来は良かったように思う。少なくとも、見ている瞬間から感じるストーリーの破綻はないし、感情のつながりも役者の力量もあってうまくいっている。ギャグとシリアスのバランスも取れているから、ストーリー展開について行きやすい。

がっ! それだけだったりする。どうしても最後のシーンで納得する事ができない。結果として、何か物足りなさが残ってしまう。最後のシーンが邪魔に感じるが、なければいいというわけでもない….
ストーリーが無闇に陳腐というわけではない。役者が稚拙というわけでもない。長すぎたり、短すぎたりするわけでもない。実際こういう芝居が見てしまうと、後で色々考えてしまって一番始末に悪い。(面白いと面白くないの中間地点にある芝居ということ)

恐らく最大の問題は、この芝居がテーマに向けての求心力を持つ構造になっていない事がこの感想の原因ではないかかと思う。
(少なくとも僕にとっては)芝居の醍醐味の一つは最後のシーンに向けて如何に全体がたたみこまれていくか?という部分だったりするのだが、この芝居今ひとつそういう構造になっていない。

人間と敵対していた吸血鬼の一族が、人間の子供の誕生日パーティに招かれるという最後のシーンを見る限り、この芝居のテーマは「吸血鬼と人間の同化」であると思う。
かつて同化ができなかったドラキュラと人間の女性(エマ)←→同化を果たしたフェリックスと人間の子供(レン)の対比がほとんど見えてくる演出にない。

また、吸血鬼と人間の対立による悲劇(エマの死)が、ほとんどそういう図式で語られる事がない。その為、最後に同化を果たしたフェリックスとレンのシーンの感動が伝わってこないが故に邪魔に感じる。
更に言うと、全体に吸血鬼が出すぎていて(結局出演者の半分が吸血鬼…)、いまいち吸血鬼の悲しみとかそういうものが伝わってこない。なんで、吸血鬼になったら不幸なの?少数派だから?永遠に生きるから?人の血を吸わないと生きていけないから?….この辺の感覚が伝わってこない。(伝える意思がないのかもしれないが)吸血鬼は孤独な方が、テーマは伝えやすかったかなと思う

役者個々には気になる部分があるし、それを全部ここに書くと長くなるので以下はごく一部。

おぎゅうさんの冒頭から中盤にかけての台詞のいくつかが棒読みに感じたのが気になった。役柄的に多くの事を説明しなければならない位置付けにありやむをえないところもあるが….台詞に問題があるのかもしれない

黒田さんの声は、よくとおる声なのだが、聞き取りにくいというか(これは劇場の問題かもしれないが)高音部のキンキンする感じがある。発声法の問題かもしれない。二出川さんの声も同じ。但し、二出川さんの場合何よりあのテンションの高さとしゃべりは長時間見ることは難しい。困った事にテンションが高いところで一定しているが故にメリハリがない演技になっていた。起伏のある演技を見たいところ(そういう役回りが今回の彼女の役目だった事を考えるとこの辺は、役者の問題ではなく、脚本あるいは演出の問題かもしれないが)。

素に近い演技であるが故に見やすかったのは、新井さん。堀さんは立居振舞がかっこよく安心してみていられる役者さんだなと感じた。

ちなみに、この夏、吸血鬼ものが何故か二本目(VampShow)。昨年末の「吸血姫」まで入れればこの一年で3本目。今密かな流行….というわけではあるまいが。

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