[劇評]劇団桟敷童子「泥花」@ザ・スズナリ

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のっている劇団ではありますが、そののりにおごることなく新しい試みを色々ためした公演でした。それが、吉と出たか凶と出たかは見た人ごとに感想は違うと思いますが、何か新しいことをしようとしている意気込みは買えるとおもいました。主役級の二人だけでないバランスをとれた役者陣を堪能できただけでも満足です。

劇団 劇団桟敷童子
題名 泥花
公演期間 2006/02/10~2006/02/19
サジキドウジ 演出 東憲司
出演
劇場 ザ・スズナリ(下北沢)
観劇日 2006年2月12日(マチネ)

【ストーリー】

炭鉱街で暮らす三人兄弟は、炭鉱の社長であった父が雲隠れをしたことから、暮らせなくなりやむなく別の炭鉱街に身分を偽って住むことに。そこであったさまざまなことから長女は気づけば、流されるのではなく自分で戦うことを決意する。

【感想】

岸田戯曲賞に最終ノミネートもあったこともあり、今のりに乗っている劇団です。

僕自身が、初めてボタ山という言葉を聴いたのは、学生時代をすごした福岡で、仕事をしていたときの事です。炭鉱の閉山から何十年もたつのに、未だに煙をはくというその山の事はある意味現代の怪談のような話だなぁと思った覚えがあります。

桟敷童子得意の、社会の下層に位置する人々の話。今回は、でも相当に現代に近い、1950年代の筑豊が舞台です。

まさに、ぼた山の出来る過程、そして日本が急成長するときのその成長を支えた人々の話。

前回までは、主役級の二人(板垣さん、池下さん)を中心にすえすぎていて他の役者さんの存在感が薄いように感じていたのですが、今回は全体に地味目に作っている分一人ひとりのドラマをきちんきちんと作られていて僕自身は、最近の自分のこの劇団に対しての不満が解消された感じがしました。

昨年、注目を浴びるようになったこの劇団は、それでもその地位に安住することなく新しい事にチャレンジしようとしているのかなぁと感じました。

○従来は、殺陣が出てきて戦うシーンが多々あったのですが、今回はそのようなシーンがまったくありませんでした。(ストーリー的には作れたと思うんですけどね。)

○その代わり、音楽に合わせて、小さな演技を組み合わせて、ワンシーンで一気に多くの役の人間関係や背景を伝えるという演出が行われていました。ミュージカル等で見るような演出手法で、まさかこの劇団でこんな演出に出会うとは思いませんでした。

○遠くへ主人公の姉弟が歩くシーンの演出もちょっと見ものです。かつて、桃唄309で見たのと同じ演出です。桃唄であれば、驚きませんが、この劇団でこの演出がくるとは思いませんでした。

最後付近は、お決まりの大規模な舞台装置がものをいうつくりでしたが、そこも、いつもに比べれば少しおとなしめでした。

ここから、少しネタばれします。

最下層の炭鉱街。ここを飛び出していく人々、飛び出せない人、そして、こんな場所を守るために戦う人。その対比が面白く、せりふや人間関係が心に残りました。特に主人公姉弟の1人である美代が町を出て行くきっかけを与えた道朗。その道朗に労働運動に身を投じる決意をさせる千鶴。そして、残り戦うことを決める千鶴。この最後のシーンの印象が強く残りました。 しかし、今回は外山さんの舞台ですね。彼女の役がまさに作家東さんそのものなんじゃないでしょうか。すべてのシーンが彼の視点で書かれています。

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