[劇評]大森カンパニープロデュース「おうけつ」@小劇場B1(下北沢)

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何度も訪れている人情喜劇芝居。しっかり笑わせてもらい幸せな時間を過ごせました。一方、ほぼ事件が起きない脚本で、各々の過去の経験談を共有するだけのシナリオは、起伏が少なく単調に感じました

劇団 大森カンパニープロデュース
題名 おうけつ
公演期間 2022年11月25日から2022年12月4日

大森博

演出 大森博
出演者 【時もと 従業員】
本間剛:睦合肇(宿屋の従業員)
大森ヒロシ:柳田眞澄(宿屋の料理長)
伽代子:籠原静美(宿屋の従業員、静香の母)
後藤郁:籠原静香(宿屋の従業員、夢莉と同い年)
紺崎真紀:城島拓雄 (非従業員・農家の青年)

【宿泊客】
杉本有美:黒木華怜(宿屋「時もと」のオーナーの娘)
三宅祐輔:前留貞清(芸能事務所のマネージャー。筒本夢莉の担当)
依里:筒本夢莉(芸能事務所に所属するアイドル)
横山清崇:神崎省一(議員秘書)
坂本あきら:大前田俊充(議員)

劇場 小劇場B1(下北沢)
観劇日 2022年11月26日(マチネ)

目次

大森カンパニープロデュースの定番 人情喜劇

何度も足を運んでいるシリーズの最新作。シリーズとはいえ、個々のストーリーに関係性があるわけではありません
今回は、携帯電話もネットも接続できない山奥のこじんまりとした温泉宿を舞台に、そこに集う人々の人間模様を描いた作品でした

ここからはネタバレします

男優陣が奮闘してました

過去の芝居のときは、女優陣がいいとか書いていましたが、今回は男優陣が印象に残りました

演出の大森さん、常連の坂本さんの出演シーンが若干少なめななか、こちらも常連と化しつつある三宅さんや、更地ではお馴染みの本間さん、横山さんはこちらの舞台でも大活躍でした

本間さんは、おじさん代表的な立ち位置で、舞台を仕切っていて、年齢が多分私と近いことも合って一番安心してみていられました。なぜ、(全く似ていない🤣🤣)水谷豊さんの真似を全編でやり続けたのか最後まで謎でしたが、( どこかで何かストーリーに関係してくる伏線なのだと信じていたのに…はずしました )、それでもほどよい存在感でした

いつも基本踊っている人と認識していた三宅さん、横山さんも別の一面が見れた舞台でした

三宅さんは、依里さんが演じる炎上上等のアイドルをサポートするマネージャー役で、際立った目立つシーンはない感じでした

しかし、依里さんが心情を吐露するシーンで、その溢れた水を飲み干すというシーンで、黙ってコップからあふれる水を飲み干すという演技でその深さを示してくれました

かなりの量の水を飲み干すだけというシーンでしたが、印象に残るシーンでした

また、横山さんは、今回はボケた父親に合わせて架空の議員秘書役をこなす息子役がとてもハマっていました

横山さんの話す今は合わせているが、将来はどうなるかという話は、年代的にはかなり響くものがあり、しんみりしてしまいました

そういえば、今回ずっと常連だった山口良一さんが不参加でした

過去のブログでも、この座組に欠かせない的なことをかいていましたが、今回、参加されていないことに終わった後、家に帰って気づいたという…😭。他の男優陣の活躍によりそれをうまくかき消していたのかもしれません

女優陣は、常連が多い

娘役をやった後藤さん以外は、常連役者さんが多いです。
ミス千葉!!の依里さんをはじめ、美人の女優さんばかりで眼福の舞台でした

2019年のあじさい、いきどおりと連続で出演されていた杉本さん、そんなことをすっかり忘れて、今回もきれいな方だなと思って見惚れていました。一生懸命、カーテンコールで写真を取って帰って…

ブログを読み返していて、過去もキレイと書いてる….
よる年並に勝てず、記憶力がやばいことになっています

親子関係も様々

今回の舞台上は様々な親子の姿が映し出されます
子供と妻を失った男、分かれた男、母を失った娘、お互いを分かち難い母娘
その各々が各々の事情の中で思いを伝え合う姿は、感動的なものでした

なんか物足りない…

一方で、今回も(前回と同様に)乗り切れないところがありました
今回は、特に物語の中に事件らしい事件がなく、個々の登場人物がその思い出を語るシーンがクライマックスになっています

これは、僕の特性だと思うのですが思い出を語るモノローグでのみ話が展開する舞台が苦手です

(モノローグが長い舞台が割りと苦手….いや、アングラテント芝居でかなり見てるはずなんですが….)

もともと、このシリーズは様々なバックボーンを持っているひとが集まって、その各々の背景を語ることで物語が進む傾向がありますが、今回もそのタイプでした

ただ、メインとなる事件がどうにも弱く(杉本さんのお母さんが亡くなって、それを苦に杉本さんが自殺を試みるという…いや、現実に起きたら大事件なんですが….)、いまいち物語に感情移入ができませんでした

いつも涙腺崩壊シーンがあるのが、過去に何度か見てきたこのシリーズの特徴でした
しかし、今回は明確に客席みんなが泣いたというシーンはなかったように思います

音楽の入りが初めて耳障りに感じました

そういえば、一番もりあがった(ように思えた)、全員が自分の話を話してしんみりするシーンで、シーンの終わりがけに、音楽が入りましたが、すごく邪魔に思えました

なんか、無理やり盛り上げようとしてる?って感じを受けてしまいした。

いつも、このカンパニーの音楽はよく選ばれていて耳に障ることはほぼ記憶にないので、今回に限って気になったのはなんでなのかわかりませんでした

以上 2022年大森カンパニープロデュース「おうけつ」の感想でした

過去の大森カンパニー人情喜劇シリーズブログ

2020年「いつかの宴」

2019年「いきどおり」

2019年「あじさい」

2018年「いじはり」

2017年「いざない」

2012年「あおげば」

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