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書評

[書評]菅野完「日本会議の研究」

投稿日:

1/6のニュース「「日本会議の研究」販売差し止め 仮処分決定」を聞き、前からちょっと興味があったこともあり、即Kindleで購入して読んでみました。(きっと、一気に部数を増やしたんだろうな)

 新書「日本会議の研究」(扶桑社)で名誉を傷つけられたとして、同書の中で言及された男性が販売差し止めを求めた仮処分申し立てで、東京地裁は2017年1月6日、同社に差し止めを命じる決定を出した。
「日本会議の研究」はノンフィクション作家・菅野完(たもつ)氏が執筆し、憲法改正などを主張する「日本会議」の活動を書いている。16年5月に出版されると10万部以上を販売するベストセラーとなっていた。

読み終わった最初の感想は、まさに頭を抱えると言う絶望感だった。
これから、僕は一体誰に投票すればよいのだろうか?

自分自身の政治的立場

基本は保守的だと思います.
過去の選挙の投票も基本的には自民党に投票してきました。改憲に反対の立場ではありません。

 一方で、いわゆる全体主義やファシズムには、強い嫌悪感がある

 その為、例えば個人の自由に関しての介入するひとたちには同様に強い嫌悪感を感じます。その最たるものは宗教で、特に新宗教と呼ばれる多くの団体は、基本的に信用していません。

改憲のポイントがズレている

 僕自身の改憲に関しての立場は、時代や実態に即さない憲法条文の変更に尽きます。
 世界情勢やアジアの現状を考えた時に、訳の分からない解釈と非現実な制約の中で必死に活動している自衛隊という組織を明文化した法律の下で、公の組織として認めること

 LGBTを初めとする多様化する人権意識に即した人権条項の拡充

 インターネットを初めとする新しいメディアの台頭を前提とした表現の自由の拡張
同じく技術革新を前提とした市民の政治参加の在り方の見直し。直接民主制の一部導入

 生存権の概念の見直し、家族ではなくコミュニティを主体とした社会のあり方への転換

 特に男女同権。男女共同参画、夫婦別姓は、支持したい

 一方で、特定宗教への過度な国家の後押しは、信教の自由、思想信条の自由の立場から支持しない

 だから、改憲賛成とはいえ、根本理念をいじるような改憲ではなく、ブラッシュアップするような改憲を望むという立場です。

 いずれにせよ、古くなった憲法のリニューアルが目的であり、更に古い憲法にするなんて話は、全くばかげているとしか思えない

 そういう立場から、この本をよむと、現在の自民公明連立与党のあり方や目指す改憲/政治は耳を疑う(読んでいるので目を疑うのほうがよいかもしれないが)話ばかりだった。

 現在の憲法の改憲議論は、日本会議とその周辺では、以下のような優先順位で検討されているということです。

1・緊急事態条項の追加   非常事態に際し、「三権分立」「基本的人権」等の原則を一時無効化し、内閣総理大臣に一種の独裁権限を与えるというもの。2・家族保護条項の追加   憲法13条の「すべての国民は、個人として尊重される」文言と、憲法24条の「個人の尊厳」の文言を削除し、新たに「家族保護条項」を追加するというもの。
3・自衛隊の国軍化   憲法9条2項を見直し、明確に戦力の保持を認めるという

 僕自身は、この3か条の中で支持できるのは、3.自衛隊の国軍化であり、1.の緊急事態条項については、かなりの条件付きで賛成。2.は完全に論外だと感じている。

今一度、伊藤哲夫という人物について振り返ってみよう。  1・伊藤哲夫が「四人組」と呼ばれる安倍晋三のブレーン集団の中でも、筆頭ブレーンと目されていること。  2・伊藤が第一次安倍政権誕生前から安倍晋三を支え続けきたこと。  3・伊藤および伊藤が率いる「日本政策研究センター」は「保守革命」とやらを標榜していること。  4・伊藤が率いる「日本政策研究センター」の講演会で「改憲」と「明治憲法復元」が運動目標であると言明されたこと

安倍内閣のブレーンの一人伊藤哲夫なる人物が、明治憲法の復元なんて戯言を言っているという話については、呆れて物が言えないレベルである。

宗教まみれの安倍政権

 この本の主題「日本会議」とは、安倍政権の後ろ盾になっている組織、
 その実態は、生長の家を初めとする戦後の新宗教と国家神道から一般の宗教に格下げ(?)された神社本庁らが組織する極右の組織であるというのが、本書にて語られている
 極右という過激な表現を、使ったが、最終的な改憲の目標は戦前の明治憲法への回帰であるという主張は、戦後生まれで、現行憲法の下で教育を受けてきた立場としては、容認しがたい主張に思える
 そういった思想の背景にあるのが、宗教組織の長やそれに属する団体。民族派の学生運動の残滓であるらしい。

右も左もうさんくさい

 そもそも日本の左翼、野党の皆様は口を開けば護憲としか言わない

[書評]橘玲「「リベラル」がうさんくさいのには理由がある」

 右翼は、上述の通り懐古主義に凝り固まり、押し付けられた現行憲法を何が何でも変えるの一点で、変える方向性が完全に明後日の方向に向いている
なぜ、日本の政党はここまで馬鹿げた団体に成り下がったのか。

小選挙区制の弊害

 何十年も続いた自民党一党独裁に嫌気がさして(中国北朝鮮を笑えない)、アメリカやイギリス型の二大政党制になれば、政権の選択肢が増え、政治が良くなると信じていました。だからこそ、小選挙区制の導入を支持してきました。

 しかし、今考えればこの判断が間違っていたとしか思えません。

 結果できた野党(大小の野党は大同団結して一つの野党になった。(それでも、離合集散を繰り返したが)。その野党が全く政権政党としての体をなさずみずから瓦解し烏合の衆でしかないことを証明しました

 一方で、それでも長期独裁政権の座から転げ落ちた自民党は、自らの立場の再定義を行わなければならない立場に立たされました。
  それが、公明党との連立も含む組織票を持つ宗教組織への迎合であり、中道右派から明らかに右寄りの政権が生まれてしまいました。(公明党とくんだことだけでもうさんくさいのに、この本で語られた内容が事実なら、自民党もずぶずぶの宗教政党です。いつのまにか、この国は、中東の国々と負けず劣らない宗教国家成り下がってなってしまったようです)

薄々感じていた現政権への違和感を、この本を読み事で明確になってしまいました。

 できれば、知りたくなかったと言うか、知ってもどうしようもないジレンマに対して鬱々とするほかない現状に、頭を抱えてしまいます

さて、今後の選挙はどうしよう。

 こんな馬鹿げた懐古主義団体に牛耳られている安倍政権(閣僚の八割は、日本会議関係者、首相の私的補佐官も…隣国を笑えない)を調子に乗せるわけにはいかないし、対抗勢力はうさんくさい日本のリベラルしかいない。この本(2016年3月発刊)では、夏の参議院選挙でこそ、民主主義を守り、改憲勢力から日本を守る最後のチャンスだと訴える。

 が、その肝心の参院選も自民党を含む与党圧勝。衆参ともに憲法改正を発議できる議員数は揃ったことになる。

 余裕があるのか、多忙なのか、それから半年たった今も、憲法改正の発議がされる様子はない。しかし、発議されるとしたら、この「日本会議」とやらの思う時代とは真逆方向の改正案がでてくるのかもしれない。

 この本は、先日読んだリベラルは何故うさんくさいのかと合わせて読むことで、日本の政治に絶望できる格好の本だと思いましたorz

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