[書評]ダン・シモンズ「ハイペリオン」 

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電子書籍化されたのを機に、ダン・シモンズのハイペリオンシリーズを再び読み終えました。

いやぁ、いいですね。電子書籍。あの大部の本(僕は単行本が出た時に、文庫ではなく単行本で読んだ)が手のひらサイズのタブレット端末で読めるというのは素晴らしい。

特に、この作品のように、非常に複雑で新語多発する小説だと、割りと短時間で一気呵成に読み進めないと記憶力の減退にともなって、途中で「これなんだっけ」とか、「この人だれだっけ」とかが起こってしまって大変なのですが、電子書籍ならば、外出先でも何処でも読めるので、時間を有効活用しながら読み終える事ができました 。

ここからは、ネタバレします。

ハイペリオンは、複数作家が書いたアンソロジーなのかと思わせるほど、肌合いの違う作品が並ぶ作品です。サイバーパンクあり、ラブストーリーあり、伝奇小説あり、ホラー有り、戦記モノ、悲しい家族の物語あり等など。これが、「巡礼」に参加した7人が各々自らの物語として他のメンバーに語って聞かせるという形でストーリーが展開します。

もっとも印象に残った「司祭の物語」

その中でも、僕がもっとも印象に残っているのは、(これは、10年以上前に最初に読んだ時から変わらないのですが)、ルナール・ホイト神父による司祭の物語でした。

惑星「ハイペリオン」に住む知能も低く、無気力なかつて惑星播種船の乗組員を遠い祖先に持つ一族の調査記録を元にした物語です。調査を行ったデュレ神父の手記で語られるその一族のおぞましい秘密、十字架型の寄生生物により、死からの蘇ることができるという秘密を垣間見てしまい、自らもその十字架を背負わされる男の物語は、僕の想像力の中では、過去に読んだどのSFの中でも味わったことのないディストピアのイメージでした。

自らの背負った十字架のせいで、望んでもいない不死を手に入れた神父が、自らに課した地獄以上の苦しみの結末も目を覆いたくなるようなおぞましさで、思わず背筋の冷たいものが走りました。

実は、今回読み始める前は、ほとんどこの話しか覚えていない状態だったのですが、今回再読しても、此の物語のおぞましさは健在でした。

はりまくられた伏線。あっけない幕切れ。

とはいえ、他の物語も一様に面白くやはり一気に読み終えてしまいました。そして、終わり方のあまりの唐突さ(まさかお互い手に手をとって歌いながら、シュライクのもとにむかっていくなんて脳天気(?)な終わり方)を忘れていた僕は、読み終えて結構呆然としました。

結局、この物語は、ハイペリオンシリーズの導入部分であるということを今回通読して初めて実感しました。(前回読んだ時は、ハイペリオン、ハイペリオンの没落、エンディミオン、エンディミオンの覚醒は、それぞれ発売と同時くらいに買って読んだため、間が開きすぎて、物語間の関係があまりよくわかっていなかったのです)

 

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