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[映画評]クリストファー・ノーラン監督「オデュッセイア」@MOVIX広島駅(広島)

2026年9月24日のレイトショーで、話題の映画、クリストファー・ノーラン監督の『オデュッセイア』を見てきました。上映時間は172分、ほぼ3時間に及ぶ大作でしたが、20時開始で終わるのが23時、帰りの電車もギリギリという時間帯だったにもかかわらず、本当に見に行って良かったと思える一本でした

題名 オデュッセイア
原作

ホメロス『オデュッセイア』

脚本 クリストファー・ノーラン
監督

クリストファー・ノーラン

出演者 マット・デイモン:オデュッセウス
アン・ハサウェイ:ペネロペ
トム・ホランド:テレマコス
ルピタ・ニョンゴ:ヘレネ/クリュタイムネストラ
ロバート・パティンソン:アンティノオス
ゼンデイヤ:アテナ
シャーリーズ・セロン:カリュプソ
サマンサ・モートン:キルケ
ジョン・レグイザモ:エウマイオス
ジョン・バーンサル:メネラオス
ヒメーシュ・パテル:エウリュロコス
ビル・アーウィン:キュクロプス
エリオット・ペイジ:シノン
ベニー・サフディ:アガメムノン
映画館 MOVIX広島駅(広島)
鑑賞日 2026年9月24日

「オデッセイ」と「オデュッセイア」、名前がややこしい問題

主演のマット・デイモンといえば、邦題が『オデッセイ』(原題『火星の人』)という映画に出ていたので、Twitter上では「名前がややこしい」と話題になっていました

『オデッセイ』は火星に取り残された宇宙飛行士の生還劇、今回の『オデュッセイア』はトロイア戦争を終えた英雄の帰還譚。どちらも「苦難の果てに故郷へ帰る」物語という点では、実は名前が似ているのも偶然ではないのかもしれません

MOVIXの会員優待鑑賞券で1500円で見られたのもラッキーでした

ここからはネタバレします

ノーラン監督とマット・デイモン、両方好きだったので楽しみにしていた

ノーラン監督の過去作も『インターステラー』や『インセプション』など何作か見ていて好きですし、マット・デイモンも昔から見ている俳優さんなので楽しみにしていました

上映時間が3時間と聞いて最初はちょっと怯みましたが、見終わってみればあっという間でした

知っていたはずの物語を、映像で答え合わせする快感

ざっくりとしたストーリーを知っていたのは、トロイア戦争の話や、SF小説の『イリアム』などを読んでいたおかげで、登場人物の名前をなんとなく把握していたからです

これまで読んできた本や小説、漫画、ドラマなどでオデュッセイアへの言及に触れる機会も多くありました。一つ目の巨人キュクロプスが現れる話や、サイレンの語源になったセイレーンが出てくる話、有名なトロイの木馬を考案したオデュッセウス自身が帰途で苦労する話、あるいは最後に弓を引くエピソードなど、過去に触れてきたキーとなる知識の答え合わせをするような感覚で楽しむことができました

英語劇であることへの賛否、そして世界各地でのロケ

ギリシャの物語ですがアメリカ映画なので当然英語劇です。Twitterなどでは「英語があまりにも王宮っぽくない」「マムやダッドと呼び合っている」といった批判も見かけましたが、個人的にはそうした分かりやすさも含めて良かったと思います

エンドロールを見ていると、ギリシャ、イタリア、モロッコ、イギリスなど世界各国のスタッフ名が並んでいて、本当に様々な土地で撮影された壮大な映画だったのだなと改めて実感しました。モロッコにはトロイアの街のセットが建てられ、ギリシャの洞窟がキュクロプスの棲みかとして使われたと知り、なるほどと思いました

マット・デイモンと過ごしてきた年月

マット・デイモンに関しては、僕は昔の『オーシャンズ11』あたりで初めて見たのだと思いますが、それ以来何作も見てきました。前述の『オデッセイ』も見ていますし、若い頃から追ってきた俳優さんなので、久しぶりにスクリーンで見て「お互い歳を取ったな」としみじみ感じました。彼は一体何年生まれなんだろう、もしかしたら同い年くらいかもしれないな、などと思ったりもしました(1970年生で2歳年下でした。)

紀元前のギリシャという時代の映像美

紀元前のギリシャという時代の映像美が素晴らしかったです。日本で言えば卑弥呼すらまだ現れていない、まさに神話の時代です。照明は火の明かりしかなく、建材も土と石くらい、武器も木や青銅、鉄があったかどうかという世界です

食事もまだ粗末だったはずですが、そうした時代背景をしっかり感じさせつつ、上品さや荒々しさ、人々の生々しい生活感が不自然さなく表現されていました。火の明かりだけで照らされる夜のシーンの美しさや、強い日差し、海の描写など、おそらくCGも多用されているのでしょうけれど、圧倒的な映像作りに感銘を受けました

テレマコスという名前と『ヒストリエ』

作中にテレマコスという人物が出てきますが、聞き覚えがあると思ったら、同じく古代ギリシャを舞台にした岩明均さんの漫画『ヒストリエ』にも同名の人物が出てきます。きっとギリシャではメジャーな名前なのでしょう。ペネロペなどもそうですが、古代ギリシャ由来の名前を持つ人は現代にもたくさんいますよね

ヘレネを黒人女優が演じていたこと

日本ではクレオパトラや楊貴妃、小野小町がいわゆる「世界三大美女」として有名ですが、欧米では小野小町の代わりにヘレネを挙げることもあるそうです。そんな伝説的な美女ヘレネを、黒人女優のルピタ・ニョンゴが演じていたのも印象的でした

当時のギリシャであれば、そうした美しさが戦争の引き金になることも十分にあり得たのかもしれないと考えさせられ、その人物造形には驚かされました

キュクロプスと木馬の造形美

言葉として知っていた物語を視覚的に見せられたときの迫力もすごかったです。キュクロプスの造形も非常にリアルでしたし、アテナ神に捧げる木馬も、車輪がついていて転がすような一般的なイメージとは異なり、空へ駆け上がっていくような馬の姿のまま作られた巨大な木像になっていて、想像を絶する造形美にノーラン監督の卓越したビジュアルセンスを感じました

贖罪の旅というテーマ、そして「オデッセイ」という言葉の由来

計略やトリックによって戦争に勝ってしまったことに対するオデュッセウスの贖罪の旅という側面もあり、戦争そのものを嫌悪するテーマ性や、この時代のギリシアって、日本の戦国時代みたいな時代だったんだなと思わせる空気感など、様々なことに思いを巡らせながら鑑賞できました

大枠の物語を知っていたからこそ、冒頭でいきなり妻と息子がオデュッセウスの帰りを待っているところから始まる構成にもすんなり入り込むことができ、非常に見応えのある作品でした

ちなみに、英単語のオデッセイOdysseyという言葉を初めて知ったのは『2001年宇宙の旅』の原題としてですが、まさにいろいろと苦労しながら続く旅路という意味の「オデッセイ」という言葉の語源にふさわしい、この『オデュッセイア』の物語だったなと思いました

一つの単語の背景を知るにはちょっと長すぎるかもしれませんけれども、それはそれで二度と「オデッセイ」という言葉の意味を忘れないんだろうな、というようなことも思ったりしました

以上 クリストファー・ノーラン監督の「オデュッセイア」の感想でした

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