[劇評]劇団桟敷童子「博多湾岸台風小僧」@ザ・スズナリ

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何回もこの劇団については書いているが、超オススメ! 装置、役者、脚本ともにパワーアップしています。

劇団 劇団桟敷童子
題名 博多湾岸台風小僧
公演期間 2005/07/09-2005/07/18
桟敷童子 演出 東憲司
出演 川原洋子、小林ちさと、池下重大、外山博美、鈴木めぐみ、朱源実、もりちえ、小野瀬弥彦、稲葉能敬、原口健太郎、ヨネクラカオリ、川田涼一、桑原勝行、尾崎宇内、東憲司、山本あさみ、松本しゃこ、新井結香、板垣桃子
劇場 ザ・スズナリ(下北沢)
観劇日 2005年7月9日(ソワレ)

【ストーリー】

ガタロウという河さらいをやって暮らす町外れの者達は、その生活の中に喜びと悲しみをみつめつつ平和に暮らしていた。街にある工場では、女工たちがひどい目に会い、逃げ出しては殺されるという状況にあった。昔はともかく、今はガタロウたちもその女工たちとは関わらない生活をしようとしていた。しかし、工場長を刺して逃げ出した女工たちをかくまうことになってしまい….

【感想】

数年前に、僕のHPを見た制作さんから見に来てくださいといわれて見に行って以来、この劇団はどんどん公演が面白くなっていきます。

最初に見たときに、小さな劇場でありながら度肝を抜かれたダイナミックな装置は、スズナリという劇場に入ってもけして衰えることがない。はっきりいって、装置だけでも見る価値は200%です。

更に、アングラ芝居にありがちな意味不明な台詞回しや脚本はなく、丁寧に書かれた台詞と精緻に計算されたストーリーで、見ている間は2時間をあっという間に感じ、見終わった後に思い返した時に2時間だったとは思えないほど濃密な印象が残る稀有な舞台になっています。(見ている間は長く感じ、あとで思い返した時にあまりにも何も残っていなくて愕然とする舞台がなんと多いことか)

しかも、アングラな芝居らしいケレン味や雰囲気は現在在京のいかなる劇団よりもこの劇団が生み出していると思います。

役者陣も、ほとんど付け入る隙がないほどの完成度です。  外部公演で、その実力が知られるようになった板垣桃子さん、池下さんは言うに及ばず、もりちえさんや、外山博美さんは、今までそれほど印象の残らない役や少年役から大きく脱皮しておりその成長振りに驚きました。
はっきりいって超オススメ!です。初日にこの完成度で迫ってくるならば、 今後どれほど凄い舞台になっていくか想像もできません。
惜しむらくは以下の三点でしょうか?

・選曲については、趣味の問題でしょうが、イマイチな感がのこりました。少し統一感にかける気がします。他のスタッフワークが群を抜いて素晴らしいので、少し辛口になってしまいますが。

・雨の中、大量動員を果たした制作力は素晴らしいと思いますが、少し会場整理に戸惑っていたようでした。慣れの問題だと思いますが、観客が自分達の思い通りには動かない(座ったと思ったらトイレに立つとか….)事を前提に観客をどのように誘導するかということを検討すればもっと良いと思いました。
(しかし、おおむねははじめての劇場使いの初日にしては良かったと思います。脚本同様精密なシミュレーションをされていた結果だと思います。ここの制作の細かいところへの気の配りようにはいつも頭が下がります)

・池下さん、板垣さんが中心にすえられた結果、稲葉さんや原口さんが今回は影が薄かったのが残念でした。また、芝居上しょうがないとは言え、板垣さんの顔の半分が最後まで見ることができなかったのも個人的にはちょっと残念でした。美しい女優さんの美しいところを出し惜しみされているような気分。(観客のわがままですが)
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