全くの無法の状態から少しずつ規律ができていく、寓話的な憲法草創の物語です。耳の聞こえないろう者の方が主役を務め、ダウン症の方や車椅子でリモート参加される方など、プロの俳優に限らない多様な方々が一緒に舞台を作り上げていて、今まで観た中でも非常にユニークな公演でした。とてもほのぼのとしつつも、深く考えさせられる舞台でした
| 劇団 | 天辺塔 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 題名 | あたらしい憲法のはなし | |||||
| 公演期間 | 2026年9月26日~2026年9月27日 | |||||
| 原作 |
柴幸男 |
演出 | 中村房絵(潤色・演出) | |||
| 出演者 |
うみこ(自閉症の癒し系パフォーマー・パピコ):しまこ(島の妖精) 吉村昌道(耳の聞こえない役者・東広島ろうあ協会):最初に島に上がる人 向田芽衣(DDK dance create):次に島に上がる人 恵南牧(PROJECT Fe):鳥貴族と奴隷 真田かおり(劇団くむくむ):過保護な母親 瀧下満(劇団くむくむ):年齢詐称の疑いのある息子 金川祐一:ヨシムラのバイトの先輩 華盛りさ:防衛大臣 木下順子:服を盗まれた人 酒井郁:妊婦 落合晶子:スーパーアイドル・アキュリン 小林陽葵(パピコ):未来から来た子ども 田添琉乃介(リモート出演):自由人 高山太一:自由人のロボット 小野佳世(天辺塔):赤い頭の鳥 |
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| 劇場 |
JMSアステールプラザ 多目的スタジオ(中電前駅(広島))
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| 観劇日 | 2026年9月27日(15:00の回) | |||||
広島の地元劇団天辺塔を、初めて見ました
2026年9月27日15時から、JMSアステールプラザ多目的スタジオにて天辺塔「あたらしい憲法のはなし」という舞台を観てきました
この舞台は、広島で開催されている「凪の演劇祭」の一環の公演で、9月から10月にかけて行われている演劇祭の1つです
普段は地元の劇団の舞台を観る機会があまりなかったのですが、今回は思うところもあり、知り合いの役者さんが出演しているのを見つけたこともあって足を運びました
この劇団そのものを初めて見るので、普段からこういう芝居なのかどうかわかりませんが、東京でいうところの「態変」というやはり障がいを持つ方の劇団がありましたが、その辺りとかに近いのかもしれませんね
ろう者もダウン症も車椅子も、みんなが舞台に立っている
柴幸男さんの戯曲の上演ですが、何よりも素晴らしいと感じたのは、非常にバラエティに富んだ出演者が集まっている点です
耳の聞こえないろう者の吉村昌道さんが主演を務め、ダウン症の方や、おそらく脊髄系の病気で車椅子のため家から出られずリモート参加されている方など、障害のある方も一緒に参加されていました
老若男女、小さな子どもから年配の方まで、プロの俳優に限らない多様な方々が集まって舞台を作り上げているという意味で、今まで観た中でも非常にユニークな公演でした
字幕もあるし、手話通訳もあるし
演出面でも常に字幕でセリフが表示され、ろう者をはじめ観客にとって非常に親切な設計になっていました
劇中でも手話が使われており、開演前のアナウンスにも手話通訳が付くなど、アクセシビリティへの配慮が行き届いていました
小さな島が、選挙と裁判でギクシャクしていく話
物語は、雨が降り続き、さまざまなものが流されていく中でぽっかりと現れた小さな島(陸地)が舞台です
1人、また1人と人が増えていくにつれ、少しずつ派閥争いや裁判沙汰が起き、「誰を代表にするのか」という選挙へと発展し、次第に状況が複雑化していきます
そして、小さな島でありながら戦争のような争いへと突き進んでしまいます
最後は、ろう者である主人公の初代総理大臣が、「もう一度、約束事を決めるところから始めよう」と原点に立ち返る形で幕を閉じます
とてもほのぼのとしつつも、深く考えさせられる物語でした
言われてみれば、憲法や法律とは突き詰めれば「人と人との約束」なのだと気付かされます
最初は約束であることを忘れ、選挙や裁判といった形式を優先したために少しずつ関係がギクシャクしていった中で、最後に「約束を交わすところからスタートしよう」と立ち返る流れがとても胸に響きました
あのおじさんが総理大臣になったらこうなるよな、という説得力
主人公のろう者の男性、吉村昌道さんの演技が素晴らしかったです
自分と同年代か少し若いくらいの方なのですが、困惑する様子や少しずつ心境が変化していく様がリアルで、その辺にいる普通のおじさんが突然総理大臣になってしまったらまさにこうなるだろう、と感じさせる説得力がありました
その場その場で良かれと思って下した判断が裏目に出てしまい、過ちを犯して自分を苦しめていくという展開(後半のセリフにもありました)には強い親近感を覚えましたし、だからこそ最後に「約束からやり直す」という結末が、とても前向きなスタートに思えました
二番目に上陸した向田さんと、アキュリン役の落合さんが良かった
もちろん障害のない俳優陣もいい味を出している方が多く、特に2番目に島へ到着した向田芽衣さんや、元アイドルの「アキュリン」役を演じていた落合晶子さんは非常に巧みでした
淡々としていて感情を表に出さない場面が多い舞台の中で、二番目に上陸する女性役の向田さんがしっかりと感情を担っていたのも印象的です
アキュリンも、素では宮崎弁を喋るというアイドルのギャップが面白く、目が離せない役でした(最初、ずっとアイドル喋りでやるのかなと思い、それはちょっときついなとか思っていましたが、宮崎弁で喋りだして少し安心しました🌞)
新聞紙の海と、2015年の水上舞台
調べたら、まねきねこさんが2015年に見た舞台の感想を発見することができました
キャスティングを見る限りではかなり配役(男女であるとか)を変えてらっしゃるという感じに見えますし、どうやらこの舞台そのものは水上公園の水上舞台で行われたということで、本当に周りが水だったんだろうなというのも分かりました
今回の舞台は水の代わりに新聞紙を丸めたものを舞台上に敷き詰めて、海というか水にするという設定にされていました。これはこれで非常に創造的な構造だったなと思いました

広島の舞台はこれまでなかなか観る機会がありませんでしたが、また良い芝居を探して観に行きたいと思います
以上 天辺塔「あたらしい憲法のはなし」の感想でした

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