去年、柄本明さんの朗読劇「今は昔、栄養映画館」のチケットを取り損ねて悔しい思いをしたのですが、その全国ツアーを追った記録映画『今は昔、栄養映画館の旅』が広島の横川シネマにやってきたので観てきました。全国24館のミニシアターを巡るロードムービーでもあり、柄本明さんと東京乾電池の面々の旅のドキュメントでもある一本。観終わって、ますます柄本明さんのことが好きになりました
| 劇団 | 劇団東京乾電池(記録映画『今は昔、栄養映画館の旅』) | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 題名 | 今は昔、栄養映画館の旅 | |||||
| 公演期間 | 2025年5月1日~2025年5月31日(朗読劇 全国24館27公演の旅) | |||||
| 作 |
竹内銃一郎(朗読劇「今は昔、栄養映画館」) | 演出 | 竹田正明(監督・撮影・編集) | |||
| 出演者 |
柄本明:座長/監督役(朗読) 西本竜樹:助監督役(朗読) 吉橋航也:劇団員(旅に同行) 鹿野祥平:劇団員(旅に同行) 柴田鷹雄:劇団員(旅に同行) 松沢真祐美:劇団員(旅に同行) 鈴木寛奈:劇団員(旅に同行) |
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| 劇場 | 横川シネマ(広島・横川) | |||||
| 観劇日 | 2026年6月12日(ソワレ) | |||||
目次
去年観られなかった柄本明さんが、映画になって帰ってきた
2026年6月12日(金)に、広島の横川シネマへ「今は昔、栄養映画館の旅」という映画を観に行きました
この映画は、昨年上演された朗読劇「今は昔、栄養映画館」の記録映像であり、ドキュメンタリーであり、ロードムービーでもあります
脚本家の竹内銃一郎さんの戯曲を、東京乾電池の柄本明さんと西本竜樹さんのお二人による朗読劇として全国で上演した、その旅を追った作品ですね
この「今は昔、栄養映画館」という脚本、僕は大学時代におそらく読んだことがあります
というのも、自分自身も大学時代に演劇をやっていて、その時に初めて演出を任されたのが竹内銃一郎さんの「Z」という脚本でした
そういう縁もあって竹内さんという作家には思い入れがあり、当時この脚本も読んだのだと思います
昨年、柄本明さんがこの朗読劇で全国を回られると耳にして、今住んでいる広島にもいらっしゃるということでチケットを取ろうとしたのですが、気づいた時にはすでに完売しており、非常に悲しい思いをしたのをよく覚えています😂
そのため今回の映画はぜひ観たいと思っていて、金曜の20時という少し遅めの時間でしたが足を運びました
横川シネマという名画座、初めて行きました
会場の「横川シネマ」という広島の名画座には初めて行きましたが、とても良い劇場ですね
他の映画もここで観てみたいなと思えるような素敵な場所でした
「去年、ここで柄本明さんが実際にあの舞台を上演したんだな」と思うと、非常に感慨深い気持ちでスクリーンを眺めていました
入場した時は僕を含めて2人しか観客がいませんでしたが、最終的には金曜の夜ということもあってか、5人ほどの方が観に来ていたようです
竹内銃一郎さんらしい、なんともシュールなお話
映画の中でも脚本の概略は説明されますし、僕自身も学生時代に読んだ記憶がかすかに残っているのですが、お話自体は非常にシュールなものです
2人の映画監督と助監督が、新作の試写会のために映画館に来ているのですが、観客が誰もいない
そこへ「大物の方々が試写会に来る」という電話が入ります
小さな映画館の座席が埋まってしまうかもしれないからと、大物のために席を確保しようとするのですが、予約席を示すプレートのようなものが何もありません
どうしようかと話し合った末、なぜか2人とも自分の服を脱いで座席に置いていくことに
気づけば観客の前で2人ともほぼ裸になってしまう……という、竹内銃一郎さんらしい不条理なお話です
今回はこの朗読劇を携えて、全国24館の映画館を巡ったそうです
映画の中で朗読劇が全編見られるわけではなく、所々で柄本明さんと西本竜樹さんが朗読している姿が映し出されるだけなのですが、ストーリーをざっくり頭に入れておくと「ここはこういうシーンなんだな」と思いながら観ることができました
全国24館のミニシアターを巡る、ちょっとしたロードムービー
何よりも、今回僕が訪れた横川シネマも含め、この24館の映画館は全国にある比較的小さな劇場ばかりです
覚えている限りでも、茨城、浜松、静岡、高知、松山、香川、広島、尾道、福山、岡山と、四国や中国地方を中心に巡り、大阪や京都、名古屋を経て新潟まで行くという、なかなかの全国縦断ツアーでした
柄本さんは時折、体調を考慮して新幹線や列車で移動されていましたが、他の劇団員の方は基本的に車に荷物を載せてキャラバンで動いており、ちょっとしたロードムービーのような趣もありました
各地の風景も非常に美しいのですが、印象的だったのは各劇場の様子です
100人から200人ほどが入る小規模な映画館(ちなみに横川シネマも100人規模です)がどこも満杯で、地元の観客で溢れかえっている舞台上映の様子が映し出されていました
柄本さんが上映後に必ず映画館の方や地元の方とお酒を飲みに行かれるのですが、その姿もすごくほのぼのとしていて、とても良い映画だなと感じました
全国から集まる、多才な演劇人の顔ぶれ
このお二人の旅に同行されている東京乾電池の方々のキャラクターもとても素敵ですし、この舞台を見るために日本全国から有名な演劇人の方々がいらっしゃっているのも印象的でした
覚えているだけでも、息子さんの柄本佑さん、角野卓造さん、長塚圭史さん、佐藤B作さんなど、本当に多才な顔ぶれです
脚本家の竹内銃一郎さんもご夫婦でいらっしゃっている様子が映像に残っていました
僕は竹内さんとは因縁があるなどと言いながらも、実はお顔を拝見したのは初めてだったかもしれません😊が、非常にお元気そうな様子でした
佐藤B作さんも柄本さんもそうですが、1970年代後半から80年代にかけて日本の演劇界を若手として牽引してこられた70代の方々が、今もなおこうして第一線で頑張っていらっしゃる姿には、しみじみと胸を打たれるものがありました
チェーホフと小津を語る、映画が大好きなおじいさん
また、柄本明さんについて
この映画はロードムービー的な側面もありますが、柄本さんや西本さんといった旅に同行されている方々へのインタビューというか、お話を聞くシーンもたくさん盛り込まれています
柄本さん自身がチェーホフや小津安二郎について語る場面も多いのですが、特に面白かったエピソードがありました
ある名画座での上演前、映画館にご挨拶に行かれた際、ちょうど小津安二郎の映画が上映されていました
柄本さんが「ちょっと見たいな」と劇場の館主の方に伝えて受付を通ろうとした時、お金を払おうとしたら、館主の方に「いいよいいよ」とそのまま中に入れてもらうようすがありました。ちょっと微笑ましいと思いながら見ておりました。
鑑賞後、小津安二郎について淡々と語る姿などが印象的でした
本当に数多くの映画を観て、また出演もされている方ですし、今回の舞台が映画監督の物語ということもあって、山田洋次監督をはじめ様々な監督との逸話も出てきて、それがどれも非常に興味深いお話でした
チェーホフや映画について語る姿を見ていると、本当に演劇や映画が大好きなおじいさんなんだなと感じられるシーンがあり、もともと好きでしたが、この映画を通してますます柄本明さんのことが好きになりました
劇団「東京乾電池」の舞台も長らく観に行けていないので、また改めて足を運びたいなと思いました
ワンオペで横川シネマを回す支配人さんに、にっこり迎えられて
横川シネマも今回初めて行きました
映画の中で実は語られるんですけれども、横川シネマという映画館は、劇場主である支配人の方が一人でワンオペで回している場所です
上映している日は必ず劇場主が受付にいる、というようなことが語られていました
実際に行ってみると、上映が終わって出てきたところに、映画の中で「一人で回しています。お金がないのでアルバイトも雇えません」とおっしゃっていた劇場主の方が、にっこりと受付にいらっしゃいました
これほど大変な仕事を一人でこなされている姿を拝見して、本当にすごいなと思いながら見ておりました


またぜひ、横川シネマに伺いたいと思います
以上 劇団東京乾電池「今は昔、栄養映画館の旅」の感想でした

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