[映画評]帰ってきたヒトラー

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■原作を読んでから見る久しぶりの映画

元々映画の予告編を見て興味を持って、まずは原作を読んで見たなんて最近ではかなり久しぶりに力が入って見に行った作品。原作と比較しながら前半ふむふむと見ていましたが、後半の急展開にはちょっと戸惑いました。
思った以上に政治色のある映画でした。

■ドイツ映画なんて初めてみました。

おそらくドイツ人ならわかるんだろうなという政治ネタがたくさんあったし、過去の映画のパロディっぽいものも相当あったようです。僕自身ほとんどわかりませんでしたが。

原作にはない、ヒトラーと彼を最初に発見したザヴァツキがドイツ国中を巡るシーンは、ドイツの現状を見るにはとても良いシーンでした。(これは、セミ・ドキュメンタリーとして本当に全国の素人に出会ったようです)現在のドイツがかかえる政治不信や移民問題などが浮き彫りになっていきます。

■いずこも同じアメリカ依存状況

あのヒトラーが、グーグルとウィキペディアで情報を収集し、ユーチューブで話題をさらい、フィスブックで親衛隊を募るというのは皮肉な状況です。他人の国のことはいえませんが、この辺り、完全にアメリカに負けてしまっている様子が、映画では如実です。

■原作とかなり違う出来に戸惑い。

一人称でくなる後半、ヒトラーは、気のいいおじさんでなくなりました。原作の小説を書き、映画化したのが劇中のヒトラーであるといメタ物語となっている。

■最後の辺りはかなり政治的になっていたと思う。

原作との違いで印象に残ったのは、ユダヤ人の扱いと、最後の辺りの彼の変貌だ

原作はユダヤ人に対しての彼の態度はあまり明確でなかった。
例えば、クレマイヤー嬢の祖母がユダヤ人だと知った時、原作では説得に向かい、映画では制裁を加えるべきところを思いとどまったと述べた。

ある意味真逆の対応だ。ヒトラーがユダヤ人に対して取るべき

最後にザブァツキが、ヒトラーを本物と気づくところも印象的な違いだ。

ヒトラーは、彼との会話の中で、自分が選挙によって選ばれたことを強調した。民衆の中で、人気を得てかつての地位に上り詰めたこと、そして、これからもそのつもりであることを…

少しユーモラスだった前半のヒトラーは影を潜めた。フェイスブックで集めたという頼りなかった親衛隊もいつしか怖い存在に変貌していた。

笑いながら、最後は少し背筋に寒いものを感じる映画でした。民主主義の限界を示すモンスターがそこにいると感じました。

映画の製作者達の思いがこもったラストだったのだと思いました。

 

[書評]ティムール ヴェルメシュ「帰ってきたヒトラー」

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