滝之助さんという方のプロデュース公演。ある意味、こういう類の舞台の特徴がよくも悪くも出た印象。舞台に出ている役者さんのレベルはけして悪くないのに、終わった後、惜しいという思いが残る。全員に見せ場を作りすぎて冗長になりすぎるのだ。演出家が非情になれるかどうかが境目だと改めて思った。
劇団 | 滝之助事務所 | ||||
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題名 | 振り子 | ||||
公演期間 | 2007/07/05~2007/07/08 | ||||
作/演出 | 滝之助 | ||||
出演 | 萩原好峰,松田晴行、友倉由美子、伊勢崎里紗、木ノ下もこ、藤崎聡子、吉沢直美、小野剛民、久保田武蔵、武井睦、寿崎千尋、俊依里 | ||||
劇場 | シアターグリーンBOX in BOX THEATER(池袋) | ||||
観劇日 | 2007年7月8日(ソワレ) |
【ストーリー】
妻の死を受け入れきれずにいる男が妻の実家に現れる。そこには自分の死を受け入れられずにいる自分の妻が待ち構えていた。霊界と現世の入り乱れて起こるやりとりの果て男は妻の死を受け入れることができるんか?
【感想】
全体として笑いの部分やシリアスな部分はしっかり作りこまれていて、よくできていると思いました。ただ、それ以上の感動があるかというとちょっときつい。
父親の幽霊が、偶然にやってきた娘に日記を通じて語りかけるという終盤の位置シーンはちょっとぐっとくるものがありましたが、それ以外はかなりありきたりな印象が否めません。
何よりもいただけないのは、ほとんど全ての出演者に対してラストシーンに近いような見せ場を用意していたこと。おかげて、芝居の終盤5回くらい手を叩きかけました(終わったと思った)
ファミレスなんかで、席についてからほっとくと外で待たせているより時間を客が長く感じるなんて話をマンガで読んだばかりだったのですが、芝居の時もいっしょですね。心理的に「ここで終りか」と思ったシーンから後のシーンは異様に長く感じました。シーンが必要だとしても演出のやりようで(暗転を取らないだけでもだいぶ違う)この心理的終わった感は緩和できたのではないでしょうか?(結果として、この芝居長いという印象も)
ま、ということも半ば確信犯でやっているようなので、そうなるともうこの劇団とは自分の観劇スタイルが合わないというしかないのですが。俳優がプロデュースした場合、自分が出たくってプロデュースしている場合、参加してもらっている全ての俳優に見せ場を作ってあげようとする気がします。そのときの視点に観客がみたらどうのかという視点がない気がします。
観客の視点がないという点でいけば、客入れも見ていていらいらするものでした。 楽日、リピーター歓迎という日程から考えて観客があふれることは想定済みだとおもったのですが、エレベータを利用して入ってくるお客さんにほとんど声がかからない、前の方が空いているにもかかわらず後ろのほうの通路を塞いでしまう等々ちょっと不慣れにもほどがあるといった部分が見えました。もっともいらついたのは、役者が出てきているにも関らず声をまったくださずボーっと立っていたこと。客いれについて考えさせられました。
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