[劇評]STAR☆JACKS「桜舞う夜、君想ふ」@南大塚ホール

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物語自体は、単純至極。でありながら、物語に色々突っ込みどころはあるというのは、ちょっといただけない。ただ、最後の桜舞う中で闘う男の生きざまを見せる演出は、圧巻であり目頭を熱くして見てしまった。

劇団 STAR☆JACKS
題名 桜舞う夜、君想ふ
公演期間 2016/09/162016/09/18
ドヰタイジ 演出 ドヰタイジ
出演 ドヰタイジ:森の石松
浜口望海 :小松村七五郎(石松に道中で助けられる。さくらの兄)
中鶴間大陽:鳶九郎/追分三五郎
奥田卓  :鴨八/小政
関秀人  :都鳥吉兵衛(讃岐のヤクザもんの親分)/大政
佐藤太一郎:梅吉(吉兵衛の弟で側近)/大野の鶴吉
山本香織  :黄鵺(吉兵衛の連れ合い)/おすぎ(死亡した次郎長一家の一人の妻)中山貴裕  :マムシの佐平次(都鳥一家に属する女衒)/清水次郎長
橘ゆい  :さくら(七五郎の妹 石松に救われることに)
畠山薫  :お美濃(見受山の娘)
鳶野皐月 :お民(七五郎の妻)
田米カツヒロ:雉次郎/増川の仙右衛門
岩田幸雄 :福郎/保下田の久六
小野村優 :りんどう(さくらと同じ女郎屋の姉さん)
小川惇貴 :雁四郎/大瀬の半五郎
下浦貴士 :雀三郎/法印大五郎
長橋遼也:鷲三/桶屋の鬼吉
中川央未 :お熊(さくらの売られた女郎屋の女将)
平野詩穂 :おゆり(死亡した次郎長一家の一人の妻)
田中茜  :牡丹(さくらと同じ女郎屋の姉さん)
酒井高陽 :見受山鎌太郎
劇場 南大塚ホール(大塚)
観劇日 2016/09/18

■物語

明治30年冬。
雪深い田舎の村に住む老人の下を帝都新聞の記者が訪ねてくる。

理由は、幕末期に名を馳せた清水一家の侠客の一人、森の石松の死の真相について。

初めのうちは、身に覚えのない話だと首を振る老人だったが、記者が連れてきた女性の顔を見ると観念し、閉ざしたはずの記憶の扉を開き始める。

それは、講談や講釈で後世に残る我々の知っている物語とは大きく違っていた…。

義理に厚くて情けに脆い、清水港の名物侠・森の石松を巡る
「恋と友情と裏切り」の S★J ヌーベルバーグ。(以上 劇団HPより)

■感想

■大阪の話題の劇団に遂に邂逅

演劇感想文リンクというサイトを運営しているお陰で、STAR☆JACKSさんの芝居の感想を読むことはよくあり、東京に来たら是非みたい劇団の一つでした。昨年末にシアターKASSAIでの公演は見そびれてしまったのですが、池袋演劇祭への参加のため、あまり間をおかずの東京での再演。ようやく出会う事ができました。

■新感線の影響があるのかなぁ

開場から開幕までのロック音楽が流れ、開演前のロック音楽に合わせて照明がひと仕事するあたり劇団☆新感線の開幕を思い起こします。ストーリーの展開というか、殺陣の多用や、時代劇っぽい設定とか、随所に新感線っぽい雰囲気を感じ取りました。思えば、劇団☆新感線も大阪出身の劇団。意識しているというか、影響している部分があるのかもなぁと思いました。(別に彼らだけで大阪の劇団を評価できるわけではないですが)

■舞台の使い方の上手さ、殺陣、そしてラストへ向けての怒涛の展開

大きな障子を利用して、暗転を全く利用せず様々な場所を表現する舞台使いのうまさはさすがだと思いました。障子(といっていいのか?光がすける大きなパネル)で、うまく舞台の一部を隠したり、逆光を使ったり、スクリーンっぽく使ったり…なかなか印象的なシーンがたくさんありました。

森の石松の話ということで、殺陣も多用されているのですが、ちょっとなまぬるい感じもありつつも様にはなっていると思いました。

今回は、「桜舞う」とタイトルにあるわけで、言われなくても「桜舞う」シーンがラストシーンに来ることはわかっていて、そのシーンにどうやって繋げてくるのかが楽しみにしていました。

その予想通り、ラストシーンは圧巻の桜が舞う中での、おおたちまわりが始まったわけですが、このシーンが圧巻でした。殺陣は相変わらずぬるいところもあるのですが、主人公の石松の単純さ/純真さ、物語のはじめは命知らずの男だった石松が、清水から讃岐、近江と旅する中で、恋を知り自分の人生を大事に思う心を育て、だからこそ死にたくないと思いながら必死に戦い続けるという心情の成長、ここまでの伏線が一気にこのシーンで結実する。

ボロボロになりながら、戦い続ける石松の姿に目頭が熱くなりました。

また、変なエピローグをつけず、このシーンをラストシーンにした潔さもよかったです。

■みんな馬鹿なの?

納得感が乏しいストーリー展開は、残念でした。

狭い讃岐の町で、都鳥一家が石松を探し回り、匿う七五郎をいたぶり居場所を吐かせるシーンや、何故か、讃岐から追っていった都鳥一家が石松に追いつくのは、近江と清水の間だったというシーンは、見ていて不思議な気分がいっぱいでした。

石松を探し回るシーンは、地元が讃岐の都鳥一家が、なぜほとんど知り合いの居ない石松を探すのにそんなに手間取るのか(ってか、知り合い2軒しかいないんだから、そのどっちかしかありえない…)

突然、近江で讃岐に戻るのをやめて、清水に向かった彼を、讃岐からの追ってが追いついたのも意味不明。手紙を受け取っていたさくらが裏切ったのか?

もしかしたら、舞台上で見せられている時系列がバラバラなのかもしれませんが、石松だけでなく、舞台上に出てくる多くの人(特に都鳥一家)はみんな馬鹿なのかなとか思ってました。

この辺、もうちょい説得力のある脚本だと、もっとすっきり見れたんだけどな。

■期待は膨らむ。楽しみな劇団

とはいえ、芝居の見せ方もよくわかっているし、役者さんも若くて芸達者な方が多い。脚本力があがればまだまだ面白いものを見せてくれそうな劇団でした。東京にまた来たらみたい劇団。

 

この作品は、池袋演劇祭 審査員として鑑賞した3作目の作品でした。

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