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珍しく現代が舞台の物語ですが、ケレン味のある舞台設定はさすが。客演や最近入った方々の活躍も目に止まりましたが、一番印象が残ったのは僕がこの劇団を見始めた頃から出演されている方々でした

劇団 桟敷童子
題名 空ヲ喰ラウ
公演期間 2023年11月28日から2023年12月10日

サジキドウジ

演出 東憲司
出演者 吉田知大:彦島春一
板垣桃子:中村歩生(空師・中村組の棟梁)
もりちえ:織本千尋(空師・中村組)
井上カオリ:古橋妙子(歩生の幼馴染・中村組)
大手忍:空師希望の女性
柴田林太郎:中村直助(歩生の義父・中村組の先代)
稲葉能敬:中村成清(歩生の夫)
原口健太郎:簗瀬博信(空師・簗瀬組の棟梁)
藤吉久美子:簗瀬恵美(博信の妻)
藤澤壮嗣:簗瀬平(博信と恵美の息子)
井上莉沙:簗瀬由紀(博信と恵美の娘)
山本あさみ:簗瀬多喜代(簗瀬組の事務員)
瀬戸純哉:柿沼大悟(空師・簗瀬組)
三村晃弘:河野智司(空師・簗瀬組)
前澤亮:木島仁志(簗瀬組)
加村啓:根津道夫(簗瀬組)
水内清光:与田義雄(空師・簗瀬組)
鈴木めぐみ:郡司豊子(絵画教室「雨宿りの家」先生)
川原洋子:ケイ(絵画教室「雨宿りの家」生徒)
増田薫:フミ(絵画教室「雨宿りの家」生徒)
劇場 すみだパークシアター倉(とうきょうスカイツリー)
観劇日 2023年12月2日(マチネ)

目次

舞台は珍しく令和

時代劇の劇団というわけでは有りませんが、昭和の時代の戦前や戦中などの時代設定が多い劇団ですが、本作は開始早々にスマホが登場します
セリフの中にも、ウクライナ危機の話が出てきたりしてまさに現代が舞台になっています。出てくる若者も、金髪に髪を染めていたりしてそこここに現代らしさを醸し出します
なんか、逆に未来にタイムスリップしたかのような違和感を感じつつの観劇になりました

空師という職業

現代が舞台でありながら、どこともしれぬ山奥(言葉から推察すれば九州)の林業に携わる古来からの風習を大事にする集落の物語。
おそらくは実在しない「空師」という職業の歴史や風俗を丁寧につくるところから、物語がはじまります。
他の作品でも感じることですが、桟敷童子のこの架空だけどありそうな職業や民族史、民衆史を創造する力はすごくて、その世界にすっと誘われ、時間を忘れます

板垣桃子さん、もりちえさんの安定感

かれこれ20年以上舞台をみている劇団で、その初期から出ている役者さんも多い。
とくに、今回は初めて見た舞台から出演している板垣桃子さんの演技力もさることながら、身体能力に驚嘆した
えっとおいくつ….(以下自粛)にもかかわらず、舞台の最初にいきなりロープワークでビルの3階くらいの高さからするすると降りてくる、こんな姿を魅せれる女優さんもそうそういないのではないか
ほぼ主役ということもあり、舞台全体を引っ張り続けるカリスマ力にただただ感動しました

もりちえさんの変幻自在さにも今回は感動しました
最近の舞台では、気のいいおばちゃんを演じることが多かったのですが、今回は煙草がやめられない孤高な空師の役でいつもとかなり印象が異なる役でした
そういう役をやってもしっかり様になるあたり流石だなと感じました

アクロバティックな動きが要求される舞台装置

いつも感心させられる舞台装置ですが、今回も圧巻のできです。舞台装置の写真を取ることはできないのですが、入り口の近くに舞台装置の模型があったのでパシャリ。

20年近く見ているということは、出演者の方々もそれなりのご年齢になっているはずなのですが、皆様この装置の上を縦横無尽に動き回ります。
相当体力削られるのではないかと思うのですが、いやすごい。本当に。

かつては、テント芝居さながらに、クライマックスで舞台装置が崩れる演出が多かったのですが、最近は場面に応じて奥行きが現れたり、戻ったりして崩す演出はなくなりましたがその分装置がダイナミックに変わって物語の幅が広がったように思います。

客演と新人を含めた総合力

今回はすでに何度も出演したことがある客演の方々だったせいか、客演の方も完全に劇団員の方に溶け込んでいて違和感がまったくありませんでした
藤吉久美子さんも、結構迫力ある女将役で取り仕切っています
今回主役を張った吉田さんは、結構最近になって劇団に加入した方ですが、今回の様々なものが足りていないキャラクタの造形が見事で、感情の起伏の魅せ方が独特で目を奪われました
初金髪姿を見せてくれた大手さんも、相変わらずの若々しい演技で後半の悲しみにくれるシーンでジーンときました

劇団を見始めた当初からいる俳優さんと新たに加わった俳優さんが見事に融合した舞台でした

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