[劇評]劇団☆新感線「メタルマクベス disc3」@@IHIステージアラウンド東京(市場前)

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ディスク1に引き続き、暮も押し迫ってdisc3を観劇。長澤まさみさんの歌唱力と悪女の魅力が炸裂!浦井さんの切れの良い殺陣も含めて、disc1とはかなり印象の異なる溌剌としたマクベスになっていました


劇団 劇団☆新感線
題名 メタルマクベス Disc3
公演期間 2018/11/092018/12/31

宮藤官九郎

演出 いのうえひでのり
出演 浦井健治:ランダムスター/マクベス浦井(レスポール国の将軍にして、No2/メタルマクベスのヴォーカル)
長澤まさみ:ランダムスター夫人/ローズ/右近B(ローズ:メタルマクベスのマネジャー、ババァメタルのうえメタルのB面)
高杉真宙:レスポールJr/元きよし(レスポール国及び元オフィスの2代目)
柳下大:グレコ/マクダフ柳下(レスポール国の忠臣/メタルマクベスのベーシスト)
峯村リエ:グレコ夫人/シマコ/林(グレコとマクダフ山口の夫人/ババァメタルのはやしメタル)
粟根まこと:パール王/ナンプラー(隣国の王/メタルマクベスの無口なメンバー)
右近健一:右近/医者(メタル(ベビィ・メンタルボーカル)、夢遊病の診察をする医者)
橋本じゅん:エクスプローラー/バンクォー橋本(ランダムスターの親友。メタルマクベスのギタリスト)
ラサール石井:レスポール王/元社長
磯野慎吾:トーカイ/磯野君
吉田メタル:伝令係ヤマハ(なかなか伝令を報告させてもらえない)
中谷さとみ:森/老婆(ベビィ・メンタルのもりメタル、最後に生き残る老婆)
村木仁:門番/杉(最後までランダムスターについていく側近)
冠徹弥:冠君(歌う報告者、最後までランダムスターの側近)
上川周作:マーシャル(エクスプローラーの子供)
小沢道成:ローマン/ユウキ(グレコ/マクダフ柳下の息子)伊藤結花:ホテルスタッフ/宝島少女/他
植竹奈津美:ファン/宝島少女/他
駒田圭佑:バトルソルジャー/客/他
鈴木智久:客/兵士/他
鈴木奈苗:ファン/宝島少女/他
鈴木凌平:記者/兵士/他
新納智子:ホテルスタッフ/宝島少女/他
早川沙代:ファン/宝島少女/他
本田裕子:ファン/宝島少女/他
山崎翔太:ホテルフロント/兵士/他
米花剛史:ホテルフロント/兵士/他
渡辺翔史:バトルソルジャー/記者/他川原正嗣:兵士/パンクス/他
藤家剛:兵士/記者/他
工藤孝裕:兵士/ホテルスタッフ/他
菊地雄人:兵士/パンクス/他
あきつ來野良:兵士/新人ギタリスト/他
横田遼:兵士/パンクス/他
北川裕貴:兵士/パンクス/他
翁長卓:兵士/客/他【MUSICIANS】
岡崎司:guitar
髙井寿:guitar
福井ビン:base
松田翔:drums
松﨑雄一:keyboards
劇場
IHIステージアラウンド東京(市場前)
観劇日 2018/12/21(マチネ)

目次

メタルマクベス2回め、市場前駅5回目

昨年の髑髏城イヤーから、丸2年で計5回この劇場に通いました。5回目にしてはじめて、「市場前駅」に豊洲市場が来ていたので、駅周辺の様子はかなり異なっていました

今回は、前回の橋本さとしさん、濱田めぐみさんという「シニア組」の座組ではなく、ミュージカル界でのりにのっている浦井健治さんとテレビや映画での活躍が目立つ長澤まさみさんのマクベス夫妻という配役で、正直「長澤まさみマクベス夫人」を見たくてチケットを取りました

実は、舞台で見るのははじめての長澤さんでしたが、演技の毒は期待通りでしたし、気になっていた歌唱力もかなりのもので、キャストの重複がかなりDisc1とはある座組でしたが、まったく別の舞台をみたような感想を持ちました

マクベス夫人として今一番みたい女優さん=長澤まさみさん

実は、今回のメタルマクベスの上演が公表されたとき、橋本さとしさんのDisc1でも、尾上松也さんの「ヤング」disc2でもなく、この長澤まさみさんのDisc3だけはどうしても見たいと考えていました

野心家で、夫を操りながら忠臣なるマクベスをそそのかして王殺しを仕向け、王妃にまでのしあがるマクベス夫人像は、シェイクスピア作品の中でも悪女として名高い役です

特に最近のテレビや映画でみる長澤まさみさんの毒がある演技やコミカルな演技が、このマクベス夫人とい役と出会ったときにどのような化学反応が起きるのかぜひこの目で見たいと思っていました

ミュージカル初出演した昨年の「キャバレー」を見逃していたこともあり舞台しかもミュージカルでの長澤まさみさんを目にしたいという思いもありました

以下のような期待記事を書いておきながら、チケット争奪戦に敗れ去りました….

ここからは、ネタバレします

disc1とはキャストの重複はあるが、かなり演出が異なる

今回のキャストは、disc1と橋本じゅんさんの役、粟根まことさんの役が重複しており(しかもどちらも結構重要な役)、芝居のイメージはにかよるのかと思いましたが、演出が異なっていることとやはりタイトルロールのマクベス/マクベス夫人が別人の影響の方が大きく別の舞台のように感じられました
特に、disc1で年上である橋本さとしさんの殺陣のキレに感動したのですが、浦井さんの殺陣やダンスはさすがのミュージカル界の若手スター筆頭の一人!
前回見たのが霞むほどのキレを見せられ、舞台の迫力が増していたように思います(今回の方が席が良かったというのもあるかもですが)

自信はありませんが、浦井さんの歌、ダンス、殺陣のシーンともにdisc1より増量されていたように思います

テレビではあまり色気を感じない(ごめんなさい)、長澤まさみさんですが、今回のマクベス夫人という役柄では、衣装コンセプトがボンテージの衣装ということも有り相変わらずのナイスバディによる色気の発散が半端ありません
やはりキャバレー見たかったな
長丁場の公演期間でありながら、ロックミュージカルの歌を声を枯らしたりすることなく乗り切ってきているのもすごいと思います

同じバンドメンバーが、橋本じゅんさん、粟根まことさんという年配という説明もなんかうまいことつけていました

三魔女は、ちょっと不発気味

物語の重要なキーであり、悪夢のような三魔女ですが、今回の右近さんは過去の出演作のイメージに比べるとはずいぶんと控えめな感じであったが気になりました

超音波に近い高音のシーンもなくかなり肩透かしを喰らいました。ハイトーンボイスのない右近さんは、正直ただのおじさんで(失礼)、気持ち悪さもdisc1の植本さんに負けてます

そういえば、ベビーメタルを元ネタにしているこの3人。元ネタがわが、2人になってしまったのでなんか変えてくるかと思いましたが流石にそれはありませんでした(途中、右近さんが消えたときに「どうする、これから二人でやっていく?」というセリフがあったのは、もしかしてそのあたりを気にしてのことでしょうか…)

うーん。確かに冠さんがいるので、ダブルでハイトーンを聞かされるときつかったかもしれませんが、新感線元祖ハイトーンの右近さんの歌声が聞けなかったのはちょっと残念でした

前回ちゃんと見れてなかったけど今回気づけたこと

そもそものマクベスのストーリーについてもかなりあやふやな状態で見に行ったこともあり、前回のdisc1を見た時は物語や細かいセリフについていけていない部分が多数ありましたが、今回見て初めて理解したところがいくつかありました

長澤さんに罵倒されるメタルさん

マクベス夫人が、「私はメタルが嫌いなの!!」と絶叫するシーン

それを受けて、「新感線の舞台でメタルを全否定するなんて」というセリフは前回も今回も会場の笑いを誘っていましたが、そういえばその罵倒を受けている伝令役ヤマハさんは吉田メタルさん。このメタル否定、メタルさんの人格否定まで含んでいたんですね(じゃっかん内輪ネタっぽいが)

吉田メタルさん、昨年見たヤングフランケンシュタインのフランケンシュタイン役で印象に残っていることもあり、好きな役者さんの一人になりました

大きな体で気弱な伝令係という役は、出番が少ないですが結構印象に残る役でした(グレコの妻と子供を助けるために最後に良い伝令をするというあたりの見どころもありました)

レスポールJrってここで死んだのか

前回実は、マーシャル(エクスプローラーの息子)が王位を嗣ぐことになるあたりのシーンになったときに、「あれそういえば、レスポールJrはなんで居なくなったんだ」とか思っていましたが、今回はちゃんと死ぬシーンがわかりました。陸の鯨をたちあげるために感電死していたのね。

前回もやっていたはずですが、広い舞台でみないといけないところがたくさんあって、電気が流れ始めた元のところに彼が居たことにきづいておりませんでしたorz

ちなみに、レスポールJr役の高杉真宙さんは、若くてかっこいいのはいいのですが、王の後継者として城に攻め込んでくるあたりの殺陣がいまいちキレがありません。周りがいい感じでカバーしているのが見えてしまう感じです

若いんだからもう少し頑張れとかおもってしまいました(基本、若い男がアクションがんばっていないと厳しい私…)

柳下大さんのグレコは体を張っていて良いですねぇ

若手の役者さんで、今回初見の役者さんだった柳下さんは感情の起伏があり、抱えるものも多いかなり複雑な役。難役だと思いますが、非常にうまく演じられていると思いました

かっこいい役者さんですし、今後他の舞台も見てみたいですね。テニス王子様とかわりとアイドル系の舞台出演が多い役者さんというイメージがあり、今まであまり注目していませんでしたが、今回の役はかなり所帯じみた骨太の役で、イメージが大分かわりました

若すぎて、所帯じみた感じは流石にあまり感じられなかったのですが、妻と子を失った怒りのあたりの演技は背筋に冷たいものが走るような迫力がありました

ラストのランダムスターの右手を捧げ持つシーンで、半裸で出てきたときの肉体美も含め印象に残りました

以上 劇団☆新感線「メタルマクベス disc3」の感想でした

その他、つらつら

以下は、今回の舞台とは関係がありません。

豊洲市場ができていた!

冒頭にも書きましたが、昨年の髑髏城の七人から始まった「市場前」駅通いですが、本当になんにもない原っぱにぽつんと立つ劇場に向かう感じでしたが、今回ついに豊洲市場が出来ていました
人通りも多く開演前にちょっとだけ、市場のほうに行ってみました

飲食街もありましたが、どこも長蛇の列ができていました。物販エリアもなんか色々なお店ができていました

今回はあまり時間に余裕がなくゆっくり見ていられませんでしたが、ようやく町になってきたんだなぁと感じました

次はどうするんだ!?

このメタルマクベスも年内で大千秋楽を迎えますが、僕の知る限りその次にこの劇場で上演される作品は発表されていません

この劇場での観劇体験は他では得られないものであるため、正直これっきりにしてほしくないと思っているのですが、来年は新感線は新作をひっさっげて全国ツアーに回りますし、他人事ながらこのステージアラウンドトーキョーの次の作品が何になるのかとても気になります

この件、前に記事にしました

映像と回転客席とと考えるとオリジナル作品もさることながら、最近流行りの2.5次元舞台も相性はよさそうですが、相当コンテンツ力がないと厳しい気がします

「風の谷のナウシカ」のようなジブリ作品もとか思っていましたが、こちらも歌舞伎化されるようですし。いやここで歌舞伎やったらどうなんだ!

キャスト比較表。過去のステージアラウンドトーキョーで見た舞台の劇評記事





また、行きたいなぁ(ちなみに、メタルマクベスは残席はまだある模様です)

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