[劇評]月刊「根本宗子」「愛犬ポリーの死 そして家族の物語」@本多劇場(下北沢)

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昨年の「スーパーストライク」以来の2度めの観劇は、ジェットコースターぶりは相変わらずで行き着くところがどこになるのかまるでわからない物語。ポップでありながら、後味の悪さやドロドロした人間の嫌なところが垣間見えて少々重くなった感じある意味心にひっかかりの残る終わり方は「くせ」になる舞台でまたみたいという気にさせてくれました
劇団 月刊「根本宗子」
題名 愛犬ポリーの死 そして家族の物語
公演期間 2018/12/202018/12/31

根本宗子

演出 根本宗子
出演 藤松祥子:森花(森家の四女。独身。一人で実家ぐらし)
瑛蓮:森杏花(森家の長女。俊彦の妻)
小野川晶:森窓花(森家次女。お見合いで真一と結婚した)
根本宗子:森優花(森家三女。足が悪い)
田村健太郎:真一(森窓花の夫。エリート)
岩瀬亮:祐也(森優花の彼氏。元子役)
用松亮:俊彦(森杏花の夫。パワハラ上司)
杉村蝉之介:ポリー/鳥井柊一郎(愛犬/愛犬の拾ってきた小説の作者)
劇場
本多劇場(下北沢)
観劇日 2018/12/23(マチネ)

公演直前に主役交代?も違和感感じず

元々、主役目当てでチケットをとったわけではありません

それでも、直前の以下の記事には少し不安を感じました

初日(20日)の約1週間前の主役交代という記事。

古い話ですが、かつての「ユー アー ザ・トップ」の鹿賀丈史さんの降板時を思い出しました

今回は珍しく初日に近い日程を確保していたので、舞台の出来が心配になっていました

が、結論としてはまったくの杞憂でした

主役を演じた藤松祥子さんは、本当に独特の世界観を魅せてくれて十分に根本宗子ワールド(!?)を堪能することが出来ました

ここからは、ネタバレします

完全に主役主体の舞台

清々しいくらいに、主役の感情というか主役の花(22歳 藤松さん)の目線から見た世界が展開される物語でした。

周りにいる役者さんたちは、凝った舞台装置と同じくらい彼女の前では背景と化しています

彼女の目に見える世界のみが舞台上に再現されているという物語構造がものすごくわかりやすく表現されていました

しかも、その主役の花の考え方がとても独特です

結果として物語が、なんだかもやもやする方向へ転がっていきます

気持ちわるいというか、心地いいというか歪んだ不定形の輪を回るメリーゴーランドに揺られているような気分でした(ジェットコースターというほどのスピード感はないもののフワフワとした感じがなんかね)

今年の初めに見た舞台オフィス・コットーネ「夜、ナク、鳥」では主役の女優4人以外の男たちが、全てダメ男という話でした

この時も、内なる女の友情とダメ男たちとの対立関係が、男たちを「背景」とすることで如実にあらわされていました

それが、今回は姉妹である姉たちさえも主人公の花の味方というわけではなく、花が一人でどんどん自分の世界に迷い込んでいく様が描かれています

実は、見た直後は、上記「夜、ナク、鳥」に似ているなと思ったのですが、結論としてはあまり似ていなかったかもしれません

杉村蝉之介さんは、やはり杉村蝉之介さんだった

と語れるほど彼のことを見ているわけではなくて、そもそも実際に見るのは初めてで彼を認識したのは今年WOWOWで見た大人計画の「業音」での演技でした

大人計画や松尾スズキさんの芝居は実は数えるほどしか見たことがなくて、どっちかというと暗くて救いのない話が多いこともあって今まで敬遠していたのですが、上記「業音」は思ったよりも良くて、その中でも杉村さんの変態的なこだわりのある普通の人に見える薄気味悪い人というキャラクターがとても印象に残っていました

今回、犬の着ぐるみ姿で出てきて、途中で割と真面目な作家という体でちょっと変わった花の話をにこやかに聞く聞き役という役回りを演じているのを見て

外部出演だとこういう好印象な役もこなすんだなぁ

とか感心していた自分が浅はかであったことはすぐにはっきりしました

この物語に出てくる男の人達はどの人もクズでしたが、杉村さんがクズ中のクズの男を演じているということがわかり、

なんだ、外部でもおんなじなんだ

とある意味納得させられました

やっぱり芝居の作り方はポップで新しさを感じる

最近の若い人(根本さんは今年で30歳…)の舞台を見て感じるポップさ(うまく定義出来ない言葉なのですが)とか、作り方の新しさを感じることができました

状況説明を急に歌で表現するところであったり、場面転換も自然と不自然の中間みたいな(足が悪いはずの根本さんが普通に歩いていたり、舞台上の仮想的な壁を普通に通り抜けたり、でも明転中なんで一応演技している風に)動きでするあたりは新鮮に感じたりします

昨年見た舞台とおなじだったところ

実は、同じ作者の舞台でありながら、昨年見た「スーパーストライク」に比べて暗めな要素が多くて、ガーリーな部分が少なめになった印象があり、色々な引き出しのある作・演出家としての根本さんの別の一面を感じることができて、ますますこの劇団を今後も見てみたいと思ったのですが、あれっと思うほど、スーパーストライクとおんなじところがありました

根本宗子さんの演技と役どころです

前回も、割となんでも受け入れて結構控えめで、それで終盤に話をひっくり返すような感情の爆発を起こす役だったんですが、今回もざっくりいうとほぼそういう役。

偶然かもしれませんが、「あ、同じだ」とか思ってちょっと安心しました(笑)

ラストシーンは、納得しかねるけど面白い

多分、男と女では芝居の感想や最後の主人公の花の行動についての意見は大きく分かれるような気がします

年齢によっても違うかもしれません

ただ、正解!!と言い切れる人はいないような気がします。そのもやもやを残す終わり方がなんだか後を引きます

私がティーン・エイジャーだったときに愛読した作家の平井和正氏は、「ハッピーエンドは物語の死である」という名言をいっているのですが、まさに今回の舞台を見た後に思い出したのはこの言葉

万人が認めるハッピーエンドにしていれば、劇場を出た後に観客の心に何も爪痕の残らない物語になったのかもしれませんが、このもやもやした終わり方が、結局印象を強く残す効果をだしているんだなと思います

今後も期待です!!

バー公演ばかりしている劇団名に自分の名前をつけた痛い女の子劇団と思っていたのが申し訳ないと昨年反省した月刊「根本宗子」の根本宗子さん(m(_ _)m)

あれよあれよという間に、オールナイトニッポンのパーソナリティになり、バーからスズナリ、今年は本多劇場に進出し、KAT-TUNのアルバムに自身が作詞した曲が収録され、本多劇場で芝居をするひとになりました。外部出演も、外部演出も盛んで10周年の来年は、春夏秋冬大活躍の様子。次の月刊「根本宗子」は、新国立劇場の中劇場に進出とか

あきらかに、注目するのがおそすぎた感満載ですが、ここからでもいいので追いかけていきたいと思う演出家さんです

来年も、ぜひチェックしていきたいです

以上 月刊「根本宗子」「愛犬ポリーの死、そして家族の物語」の感想記事でした

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