新聞沙汰にまでなった鹿賀さん降板、代役起用の浅野和之さんの役は、見ていて驚く程はまっている。脚本的も、三谷さんにしては珍しい時間がぽんぽん飛ぶ脚本で、よくこれでうまく客席がついてけるもんだと思いながらも、話に引き込まれるあたりは、さすが。この公演が中止にならなかったことを改めて感謝したい気持ち。
劇団 | ホリプロ | ||||
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題名 | You are the Top 今宵の君 | ||||
公演期間 | 2002/03/05~2002/03/31 | ||||
作/演出 | 三谷幸喜 | ||||
出演 | 市村正親、浅野和之、戸田恵子 | ||||
劇場 | 世田谷パブリックシアター(三軒茶屋) | ||||
観劇日 | 2002年3月24日(マチネ) |
<<ストーリー>>
7年前になくなった歌手の追悼コンサートのための曲を作るために集まった世渡り上手な作詞家と理想家肌の世間から忘れられかけている作曲家。二人は、曲作りの過程でやがてどちらが7年前になくなった歌手の心を捉えていたかの口論を始め….
<<感想>>
一幕劇で、暗転がない舞台というのが、なんとなく三谷さんの舞台だと思っていたが、最近その固定概念を覆される舞台に連続して出会っている。先日見た「彦馬がいく」もそうだし、この舞台もそう。
二人の男の話に応じて時間軸がぽんぽん飛ぶ。死んでいるはずの歌手が、若々しく現れたり、死ぬ直前の姿だったり入り乱れる。普通の脚本家が書いたら、話しが混乱しそうな脚本設定なのに、うまくピタッとはまる。
特に、感心したのは最初の方で猫の名前を決める為のシーンが、途中で分断されて、後半再びその続きをやると見事にストーリーがつながるといったあたり。
市村さんの陽気で、それでいて実は本当は色々なことを考えているという作詞家の役が妙にはまっている。実は、あまり市村さんを舞台で見たことがなかったので、最初に出てきたときのハイテンションぶりに、面食らったのだが、結局、そのハイテンションにずっとひきつけられ続けた。
戸田さんの変幻自在ぶりには驚いた。少女時代の役はさすがに少しつらいものを感じたが(怒られそうだが)その他の役は驚くほど役の年齢相応に見える。しかも、回想シーンでばかり出てくるので役の年齢が、いきつ、戻りつするのに見事に演じ分けている。底力を見せ付けられたような気分
そして、なんといっても浅野さん。
失礼ながら遊眠社時代の浅野さんの演技が印象に残っていたことはない。(というか凄く若々しい印象しかなかったので、最初年齢と名前を見たときに別人かと思ったくらい)なので、正直どうなることかと心配していた。少なくとも、降板した鹿賀さんとはまるで別のタイプの役者さんであると認識していた。
驚くべき適応力というか、見事に浅野さん自身の役になっていると感じた。(とても4日かそこらで身に着けたとは思えない)確かに市村さんに比して華がない分舞台上で白熱した演技のぶつかり合いはなかったが、代わりに受身に市村さんのパワーを受け留めて見せている。ボケとつっこみの間合いが二人の間に醸成されており、心地がいい。
[…] [劇評]ホリプロ「You are the top」@世田谷パブリックシアター […]