[劇評]新宿梁山泊「ジャガーの眼」@花園神社

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jager-eye先日、このブログでも紹介した新宿梁山泊「ジャガーの眼」を見てきました。「[期待舞台]唐のケレン味は一子相伝されるのか?大鶴義丹、唐十郎の名作に出演

結論として、傑作戯曲であることを再認識しました。

大作で、時代遅れのこの舞台が何故こう何度も上演されるのか。その中にビュアな恋愛・愛憎の人間関係と心のブレの物語が縦糸として貫く一方で、その縦糸に、様々なアングラ的なギミックが横糸として紡がれるドギツい物語の世界に没頭することができました。

劇団 新宿梁山泊
題名 「ジャガーの眼」
公演期間 2014/06/14~2014/06/24
演出 金守珍 唐十郎
出演 金守珍、大鶴義丹、三浦伸子、渡会久美子、水嶋カンナ、広島光、染野弘考、小林由尚、申大樹、加藤亮介、島本和人、森永理科、小椋麗華、大鶴美仁音、寺中寿之、山田浩市、格清俊光、清水修平
劇場 新宿花園神社特設紫龍テント
観劇日 2014/06/21

 

二十年以上の時を経て邂逅

ジャガーの眼の初上演は、1985年。かくいうわたしもまだ、高校生にもなっていませんでしたし、地方在住だったので見れていません。それでも、この舞台は、僕の演劇人生の中ではとても重要な作品でした。

というと、なんか大げさですが、初めて演劇に触れた18歳の頃にせっしていた演劇部の先輩方が、この作品にはまりまくっていたのです。ですから、オリジナル作品として先輩が書く脚本がアングラ色がでまくってました。

最初の出会いって恐ろしいもので、結局それが僕の見る舞台の方向性を決めました。唐組が福岡公演とかにやってきてお手伝いをさせていただいたりしたのも、1980年代終わりからのことでした。→「電子城-背中だけの騎士」(1989)「セルロイドの乳首」(1990)

というわけで、とても「期待」してそして、高すぎる期待に裏切られないように微妙な思いを抱えて劇場につきました。

アングラテント芝居の常識を覆した?居心地の良い劇場空間

花園神社へは、紅テントの舞台を見に何度か行ったことがありましたが、今回は久しぶりに行きました。最初に感じたのは、テントが立派!ということ。指定席は背もたれのある座椅子形式で、桟敷席も座布団まであります。なんか恐縮してしまうくらいの気使いで、ちょっと申し訳なくなったり。久しぶりのテント芝居なんで、結構覚悟していったのですが、客席環境は昔に比べると長足の進歩を遂げていました。

マジで、数日なら暮らせそうなくらいしっかりしたテントでした。

ちなみに、私が初めて新宿梁山泊を見たのは、紫テントで新宿でした。この作品→「ジャップ・ドール」(1991)

見覚えのあるギミック、聞き覚えのある曲、しかし骨太な主張は、未経験だった。

芝居が始まって、すぐに出てくる輝るリンゴ。マネキンに恋愛をする男、ドアを背に舞台上を動き回る男たち、車いす、狂気の医者、光る牛乳瓶。音協の音楽も「キリング・フィールド」とか多数の聞き覚えのある曲たちが、出てきます。キリングフィールド ←例えばこんなの。

そのため、どのシーンも過去に見たことがあるようなシーンが続きます。(自分達も含めたこの作品への憧れた他者によるオマージュ作品や、唐十郎さん自身の別作品でみたようなシーンです)

しかし、それらにより幻惑されそうになる見た目のどぎつさとは別に、語られる物語は、死んだ恋人を忘れられない女による略奪愛であり、幸せな生活を突然かき乱され、彼氏を奪われそうになる女の執念であり、その二人に翻弄されながら、自分探しをし、新たな自分を発見する青年の成長であったりします。

そして、何よりもその「他人」である人々のそういった生活を「覗き見る」目の持ち主であり、見ることで何かを生み出そうとする男(寺山修司なの?)の物語でした。

それらの物語を演じている役者の熱演も相俟って、見覚えのある舞台の様々なギミックをかき分けてみた物語はどれも、心に刺さる感動的な物語でした。舞台中、なんどか涙ぐんだのは、けしてスモークの煙のせいばかりではありませんでした。

意外!?に良かった義丹タグチ。歌唱力は美似音に軍配。

今回の舞台の話題のひとつは、唐一族(?)の共演。従来唐十郎さんがやってきた探偵・タグチの役を、大鶴義丹さんがやるということでした。いわゆる客寄せパンダ的なものだとうと失礼にも、思っていましたが、声質やしゃべり方に血を争えない独特の雰囲気があって、違和感のないタグチでした。いっそもっとこんな役をやって欲しいと思いました。

欲を、いえば、もうちょいはっちゃけて欲しい。ギャグっぽいところも、まじめそうではあるが、自信なさげにやることがあり、もったいないことをしているとおもいました。舞台経験のなさがマイナスに出た印象です。

もう一人の唐家の令嬢、大鶴美似音さんは、前に見た時はまだ幼い子供(こちらの作品で見ました→「秘密の花園」(2006))でした、とてもかわいい女性に成長されていました。唐芝居では必ずと言ってもいいくらい出てくる少年役を見事にこなしていました。

特に、歌唱力は他の出演者に無いずば抜けた力がありました。前に見た時には、バレエの型みたいなのを見せていたので、バレエや音楽については、きちんと教育を受けていたのかなぁと思いました。

歌の時と、普段のセリフの声が違っていまいた。少年役ということでつくっていたのかもしれません。もっと別の役をやる彼女の芝居をみたいと思いました。

時を経て古びた演出の再構築は成功。より破壊的な演出も見たい。

古い脚本であり(初演は29年前の1985年→「ジャガーの眼」(1985))、そのままの演出では現代の観客には受け入れられにくいところもあったと思う。勿論、その時の雰囲気まで壊すことは難しいとも思う。(特に名作といわれたこの舞台で、当時の出演者の一人である金守珍さんが演出をするとすれば)

それでも、エグザイルネタや、アナと幸の女王ネタや、ダイソンの掃除機を使ったネタ、などに見られる新しいものを取り入れて行こうとしている演出はうまく行っていると思う。

古い脚本を蘇らせる(元々力がある脚本だからだということも有ると思うが)演出は成功していると思う。

若い役者陣は有望株揃い。少しご無沙汰していたのが申し訳ない。

くるみ役の水島さんは、バタ臭い顔でパワーがあり、演技力も高いので、むりやり押しかけてきて、しんいち(申大樹)をいいなりにしようとするあたりの演技はしっくりきた。男装も似合っていたし。でも、儚さ加減がちょっと足りないかなぁ。

しんいち役の申大樹さんは、出てきた当初は頼りない感じでしたが、途中から少しづつ自分に自信をもっていくあたりの成長感はうまくだせていたと思います。終盤近くで汗と唾でどろどろになりながら、語る長台詞には、鬼気迫るものを感じました。時々小劇場にいる「かっこいい系男子」の王道をいっている。是非いろいろな舞台でみてみたいと思います。

ただ、成長するに連れて服がボロボロになっていくというのは、どうなんだろう?ちょっとミスマッチに感じました。

芝居の中でのことではないが、客入れ及びお客様へのお願い(あの携帯電話についてのお願い)をした小林由尚さんの堂々とした客席誘導とセリフ回しは非常に好感が持てるものでした。今回の舞台では、扉の男1というちょっと演技力を推し量りにくい舞台でしたが、是非舞台で本格的に見てみたい役者さんだと思いました。

 

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