[劇評]パラノイアエイジ「幽月想夜~かすかなつきよにおもう~」@「劇」小劇場

広告

脚本、演出、役者、装置、音効のほぼ全てが非常に高いレベルにあり、安心して見ることが出来る舞台であった。民俗学とか東北の山中に暮らす山の民と里の民の対立といったテーマが元々好きということもあるかもしれないが、最後まで緊張感が途切れることなく見ることが出来た。最近見た中でも秀作のひとつ。

劇団 パラノイアエイジ
題名 幽月想夜~かすかなつきよにおもう~
公演期間 2003/04/30~2003/05/05
作・演出 佐藤伸之
出演 秋場千鶴子、伊藤貴子、上村麻紀、加藤智子、水江好伽、神戸誠治、松田晴行、佐藤伸之、小林大介、坂本宗一郎、長縄龍郎、ベイサイド雄一、ヂィーニャス宮川
劇場 「劇」小劇場(下北沢)
観劇日 2003年5月3日(マチネ)

【ストーリー】

奥羽連山の中腹に位置する羽黒山、湯殿山、月山は出羽三山と呼ばれ、霊山として崇められていた。
死別した母の故郷を求めて旅立った青年<賢太郎>は八年前に出奔した父の日記を頼りに出羽三山の一つ、月山の麓にたどり着く。
人の住まぬ霊場でもある月山。此処で賢太郎は、謎めいた三人姉妹が支配する村に迷い込む。その村こそ、彼の求めていた故郷だった
(以上 パンフレットより)

【感想】

山形弁で語られるセリフの音色が他の地域の出身者である僕が聞いても心地よい。ある意味東北方面の言葉が持つ独特の雰囲気は、日本人の全ての心に響く何かを持っているように思える。

東北(山形)を舞台にしたこのこのストーリーは、そのセリフが語られる山形弁と同じく郷愁の感情と夢見心地の幻想感を僕に与えてくれる舞台であった。いいところをついてきている。

全体に構成力や演出力の高さを実感した舞台であった。音、セリフ、脚本、装置、照明にいたるまで細かく配慮されており、この舞台として伝えようとしているメッセージ(というか雰囲気)から外れるものがほとんどなく結果として見ている側が非常に心地よく芝居を見ることが出来た。

特に装置のすだれは、その表に施されたペインティングも含めて雰囲気にあっており感心した。
時制がいきつもどりつしつつも観客に状況を間違えなく伝える構成力、演出力はさすが。力のない劇団がやったらとっちらかって訳がわからないものになるところだった。

しいて、難点をあげれば全体に役者が少しおとなし過ぎるというか雰囲気が均質化されすぎていて面白くない印象があった。その中でも、松田さんがいろいろな意味で場面の雰囲気をぶち壊し続けた事がこの芝居全体のテンポになっており良かった。
また、神戸さんは田舎のにいちゃんと山の民の寡黙な男の役の対比を短い時間でうまく切り替えきれており、力のある役者さんなんだなと感じた。

女優では、秋場さんは雰囲気のある協力な女優さんだった。彼女の存在無しに、この芝居のキーコンセプトである山の民の隠れ里という説明はつかなかったのではないだろうか?
いずれにしても素晴らしい舞台で、次回作を見て見たい劇団がまた一つ増えた。

広告

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です