全体に平均年齢の高い劇団で、個別の役者の力は高い。独白でこれほど人を惹きつける役者が揃っている劇団はほかにはなかなか無く、それがあるからこそ他の演出や装置が多少稚拙でも、2時間半を楽しむことが出来た。テント芝居特有の爽快感が乏しいラストは工夫が必要だと感じた。水は使い過ぎ。
劇団 | オルガン・ヴィトー | ||||
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題名 | 黄金バット | ||||
公演期間 | 2014/07/25~2014/08/03(全6回公演) | ||||
演出 | 不二稿京 | 作 | 唐十郎 | ||
出演 | 不二稿京、高橋茶太朗、安村大和、町田正則、堀本能礼、川上史津子、飯塚澄子、金光仁三、飯島高造、久保木彩、梅田喬、安保優一、原田将司、百津美玲 | ||||
劇場 | 太子堂八幡神社境内特設舞台 | ||||
観劇日 | 2014/08/02 |
目次
■お話
小学校の1年生から5年生までの黄金バットと呼ばれていた女教師が、ある時から担任から外された。その担任を探し、世間から忍ばれた場所に隠れる学校を探すうちに、心に13歳のミヨちゃんを隠し持つ男と、中学六年生を自称する女ざかりのブドリと出会い、一緒に学校を探すことにする。学校になりそうな場所の地主が派遣する全てを消し去るケシゴム委員会が、彼らの学校作りの邪魔をしてきていく上に、少しづつ3人の過去が明らかになり…
■感想
23年ぶりの劇団への邂逅
オルガンヴィトーを観劇に行くのは、なんと23年ぶり。1991年の旗揚げ公演「真珠郎」を見に行って以来です。当時は唐組から主催藤原京さん(現不二稿京さん)が旗揚げしたばかりで、唐組から長谷川公彦さんなどの唐組組などが多く参加しているアングラ色の強い劇団でした。可憐な藤原さんを中心に耽美な世界だったような気がします(ま、アングラではありましたが)
僕は学生時代に唐組の「電子城」「セルロイドの乳首」を見ていて、その時の藤原さん、長谷川さんのかっこ良さが印象に残っていてそのまま見に行きました。
オルガンヴィトーは途中で一度解散、再結成を経て今も続いていたんですね。今回は、ツイッターで今回の公演を見つけて見に来ました。懐かしいオルガンヴィトーを久しぶりに見たいと思ったのも理由の一つですが、なんと行っても、元唐組の飯塚澄子さんの可憐な演技を見に行きました。新旧唐組トップ女優の競演が私の今回の観劇の目玉でした。
俳優パワー炸裂!でも、少し濃すぎた
保村さんの独白からスタートする舞台は、かなり練習をつまれているのが、芝居をみていてもわかりました。ここで、独白にひきつけられなければ、芝居そのものが、早々に座礁してしまいかねませんせんでしたが、見事に観客をひきつけ導入をやってのけました。
拍手つきで入ってきた不二稿さん…?。ま、23年の時間を実感した瞬間でした。パワフルにそこからの芝居を引っ張っていきます。ほぼ主役、この役がオリジナルでの唐十郎さんの役だったのかなぁと思いました。(嘘です。初演は李礼仙さんでした。こちらを参照)
一人芝居のうまさは素晴らしいし、セリフの話し方は長い時間が立っていても変わりはありません。声は、少し低くなりましたかね。(他は触れない)
で、少々うざい。
もともとの役でも、こんなに出番があったのだろうかという程出ずっぱり。目立つ方であるがゆえに、他の方の見せ場だったりしても出てきているような気がしました。いや、脚本どおりなのかもしれませんが、少々強烈なキャラクター過ぎたのかもしれません。
唐組や他の舞台でも見たことがある実直な青年役がイメージだった堀本さんも、すっかりおじさん。実直さはかわりませんが、ちょっと変態性があがっています。出てくると眼が止まってしまいます。
上記の3人の方々が、舞台前半をひっぱりまくります。
吹っ切れた演技、アイスキャンデー、観客サービス満点
男衆も吹っ切れた演技をしていて、アングラっぽさ全開です。必然性をあまり感じないままふんどし(Tバッグ?)でおしりを見せまくってました。そういや昔芝居していたころ、「アングラなんだから、男はおしりくらい見せろ」と意味不明のアンケートを書かれたことを思い出しました。
2回のアイスキャンデー休憩(アイスキャンデーごちそうさまでした!)を挟んだ2時間半。短く感じたとはいいませんが、丁度いい長さに感じました。おしりは痛かったですが。
ラストは不発気味。肝心の飯塚澄子さんは!?
でも、ラストシーンはもうちょっと工夫が欲しかった気がします。せっかくのテント芝居。最後の大崩しなどを期待してしまいました。(わざわざ、2幕と3幕の休憩で舞台の部材を客席経由で搬出していたので、余計に期待が膨らみました)
が、最後は黄金バットのフライイングで終了。しかも、あまり高くない。ちょっと芝居が終わりきらない気がしました。
で、楽しみにしていた飯塚澄子さんですが、「えっ」というくらい小さな役でした。昔と変わりない美しさに見惚れましたが、できればもっと長い時間みていたかったです。(年齢逆算して、その年齢で無理なく少年役ができるのはそれはそれですごいとおもったのですが)
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[…] 先日見に行った「黄金バット」実は、色々謎を感じていました。 […]