[劇評]東京ヴォードビルショー・花組エクスプレス「あほんだらすけ30」@ザ・スズナリ(下北沢)

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平成元年に始まったこの企画も、平成が終わるにあたってついにファイナル。おなじみのネタなのに、いつも笑わせられるところがすごい。ダンスの切れは最初に見たころに比べあきらかになくなったが、代わりにマジックのキレが増したように思いました。

Ahondarasuke30
劇団 東京ヴォードビルショー
題名 あほんだらすけ30
公演期間 2018/06/152018/06/24

演出
出演 山口良一:世界をいのままに操る団団員、タンクトップ姿の引っ越し員、ロッカーに住む新婚夫婦の家の夫、36年前に3歳で死んだ子供、モンキー姿のジャグラー他
大森ヒロシ:世界をいのままに操る団団員、タンクトップ姿の引っ越し員、ロッカーに住む新婚夫婦の家の客、13年前に死んだおじいちゃん、モンキー姿のジャグラー他
たかはし等:サインコサインタンジェントマン、テレビショッピングの販売員、小日向さん、おばあちゃん、デビット・かっぺフィールド、アフロヘアの脚立に座っている人他
まいど豊:サインコサインタンジェントマンの部下、タンクトップ姿の引っ越し員、介護マンションの職員、ボビー宮原他
村田一晃:サインコサインタンジェントマンの部下、マンション販売会社の営業課長、介護マンションに母がいる息子他
石川琴絵:化粧室で化粧を直すOL、マンション販売会社の営業部新人、介護マンションに母がいる息子の妻他
岡まゆみ:テレビショッピングの販売員、化粧室で化粧を直すOL、ロッカーに住む新婚夫婦の妻、介護マンションに住む母他
千葉和臣:サインコサインタンジェントマンの部下でギターを武器に戦う、介護マンションにライブをしにきたミュージシャン他
劇場
ザ・スズナリ(下北沢)
観劇日 2018年06月16日(ソワレ)

目次

ついにファイナル!!

Ahokanban

ついにこの看板をみることも最後になってしまいました。さすがに全ての公演をみているわけではないが、それでもかなりの回数足を運んだ舞台。ちょっと…というかかなり寂しい気持ちを抱えながら、いつものようにスズナリに向かいました

開場直後には入れなかったものの、僕が会場に入ったときには、山口良一さんの演歌ショーの終盤

そういえば、こういうのあったなとちょっと後悔しつつ客席で待ちます

客入れの曲は、劇団員(?)のカラオケの熱唱、なんか飲みすぎた飲み会の二次会でなだれ込んだカラオケボックスにいるような気分です

ここからはネタバレがあります

オ−プニングダンスに「キレ」なし

いや、いいんです。期待していないので。もう、平均年齢が50歳をこえているであろうメンバーにキレキレのダンスを期待するのは酷だとわかります

ただ、最初に見に行ったときにオ−プニングダンスに圧倒されたことが印象に残っているので、ダンスが始まると結構期待してしまう自分がいるのです

いつもどおりのネタが多数の中にいくつかの新作コント(一芸ネタ)が入るという構成は、既に伝統芸能の域。これを機会にだれか無形文化財をあげてください。
国のは、恐れ多いので、東京都か、杉並区か下北沢か….ススナリ周辺とかの枠でもいいので

マジック?的な演出が多数。結構前からみていたのにわからない

もちろん、最後に必ずある定番ネタ「デビット・かっぺフィールド」のコーナーはいつも本物と見紛うマジックがあったのですが、今回はそれ以外でもマジックを見せられた気がします

まずは、ロッカーに住む新婚夫婦。普通のオフィスにあるようなロッカーの中から岡まゆみさん演じる新婚妻が、山口良一さん演じる新婚夫を出迎え、二人で中に入るまでは、まだわかります

中はキチキチだろうなぁ、シュールだなぁとか思っていたのですが、次にロッカーが開いたときに、中から山口さん、岡さんに続いて大森さんまで出てきたのには仰天しました

まさに舞台のど真ん中においてあったロッカーだし、狭い劇場ということもあり死角はないはず。ロッカー若干奥行き深いタイプを使われていたものの、さすがに大人三人が入るようなサイズではないように見えました

ロッカーの下に穴が空いていてスズナリの床下から這い上がってきたのか(いや、そんなスペースがあるとは思えない)、あるいは大森ヒロシさんが空気を抜くと縮むのかどちらかしか、考えられません

えーーどうなってんだろう。すごく気になります

もう一つは、ポリコレ的には既に危険水域に突入していると思われるLGBT小日向くんの好きな人への愛の告白(というか、レイプ)するシーン

これも、ダンボール箱から出てきたんですが、そのダンボール箱は黒いタンクトップ姿の大森さん、まいど豊さんが軽々と運んでいた引越荷物として舞台上に現れました

袖からはそれなりに離れていたので、袖からダンボール箱に潜り込んだとは思えません

となると、スズナリの床下から這い出して来たか(スペースがないと思いますが)、大森ヒロシさんが物凄い怪力の持ち主であるのどちらかしか考えられません

結論として、大森ヒロシさんは地球人じゃないという発想になるのですがあってますかね(←絶対違う。俺

最後のかっぺフィールドのマジックも結局、見事に騙されたし、マジック的な演出に今回は翻弄されました。ダンスの代わりにこっちのキレを上げてこられた印象です

コントとしての出来が良かったのは、OLネタ

どうしても、一発芸的なものであったり、定番ネタを得意なキャラクターの出演者で笑わせる部分が多い中で、コントとして面白かったのは客演の岡まゆみさんと石川琴絵さんの二人でやった化粧室のOLの噂話ネタでした

会話劇として起承転結があり、しかも最後にえっと思うシーンがあってちょっとあほんだらすけっぽくないネタですが、好きでした

どっちかというと出演者の大森ヒロシさんのカンパニーで公演されている更地のほうにありそうなネタだなと思いながらみていました

夢に出てきそうなノースリーブ男たちの引っ越しシーン

田舎への引っ越しというだけのシーンなのに、引っ越し作業をするのが黒いノースリーブのシャツを来た男三人組

歌とダンスも相まって、不気味さが漂うシーンでした。なんか夢にでそう

あの体にぴっちりのノースリーブ姿は、その前の大森ヒロシさんと山口良一さんが繰り広げる定番の大森ヒロシさんの好きな女性の話が前振りだったんでしょうか?

予想外の展開でした

コンドルが飛んでいく脚立のシーンは狙いすぎ

個人的には、ほっこりできてコンドルが飛んでいくの曲をバックに他愛もない会話を大森さんとたかはしさんが交わすネタは好きだったのですが、今回は話の内容が狙いすぎで少しくどかったような気がしました

なぜか、ほっこりできませんでした

人情物は、そろそろネタ切れか?

最近、死んだ人が蘇る話が多い気がします。

ただ、いつもながら(垂直に立ち上がった床の上に正座をするという離れ業には感服します

大森さんは、体鍛えてんだなぁ(やっぱ、地球人じゃないのかもしれない)

千葉さんの客演。まさかあんなに登場するとは

ずっと、楽曲を提供し続けてきた海援隊の千葉さんがまさかの初参戦。ま、歌のシーンだけの特別出演なんだろうなと思っていたら最初のダンスシーンからほぼフル参戦していてびっくりしました

まさかの生ライブも聞けてこれだけでも、チケット代の元をとった気分です

実は、一番笑わせてくれた出演者は

Tejina trump magic

かっぺフィールドのマジックのシーンで出てきた静岡からいらしたという観客の方でした

まさか、トランプのスーツと数字を紙に書いてくださいと言われて「ひらがなでいいですか?」と聞く人がいるとは思いませんでした

まいど豊さんの素に戻った表情も含め、大いに笑わせてもらいました

本当に終わっちゃうの!?

なんだか、信じられない気持ちです

ただ、元々は東京ヴォードビルショーの若手の企画公演という位置づけで始まった企画ですが、出演者のほとんどは完全にベテラン(客演の石川さんを除く)。確かに潮時なのかもしれません

ちなみに、僕自身は上の15以外に以下のあほんだらすけに足を運びました





以上 東京ヴォードビルショー・花組エクスプレス あほんだらすけ最終公演「あほんだらすけ30」の感想記事でした

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