[劇評]劇団サイドビジネス「馬」@シアター風姿花伝(椎名町)

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夢を見ているかのような舞台構成で、ストーリーのキャッチアップがすごく難しい。集まった役者も、期待できる方々ばかりだったし、スタッフワークも良かっただけに、個人的な趣味と合わなかった部分が多かったのは残念。

劇団 劇団サイドビジネス
題名
公演期間 2022/05/062022/05/08

山本浩之

演出 渋村晴子
出演者 古米翔大:特任部長・安達トシヤ/阿津川癸市
山本権蔵:ボク
風村綾乃:トキコ
木村由紀子:看護師・アサノルミ子
田處善久:院長
阿南さとし:小説家
鳥屋原理子:レモン
中川マサヒロ:仕事人・寅治
加藤敦洋:仕事人・寅蔵
松田晴行:五郎

劇場
シアター風姿花伝(椎名町)
観劇日 2022/05/07(マチネ)

夢のような舞台

この劇団の舞台はよく見るし、過去の参加者も個人的に知り合いが多い。そのため、今回の参加者の一覧を見たときには、おのずと期待が高まりました。
過去に見た際に良い印象を持った役者さんが勢ぞろいしていたからです

しかし、「夢のような」と言う意味は、そちらではありません

朝、目が覚めた直後、さっきまで見ていた夢を思い出すことがあります
その夢の内容の不条理さとか話の辻褄が合わないにもかかわらず、鮮烈に覚えているシーンはあって、心にひっかかります。
その感覚に近いものが、終演後にありました…という意味です

ただ、問題は、夢と違って見ている間もそのチグハグなシーンの連続を素直に受け入れることができず、戸惑い、頭をフル回転させていたことです

芝居が始まってすぐに、違和感を感じ始めた原因は、個々の役者の話し方でした。
オーバーアクションで噛み合わない会話は、会話というよりもモノローグの応酬のような様子で、それこそ夢の中でかわされる会話のような非現実感がつきまといます。

非現実感のある会話がシーンとしてあるのはまったく問題ないのですが、最後までそれが続くと結局、よって立つところがなく芝居を見ている最中に迷子になり続けることになってしまいます

わかりやすい芝居を見すぎていたのかもしれません。わかりにくい抽象的なシーンについての理解力が不足していて、舞台上で展開されている物語についていくことができていないと感じました

前回「動物倉庫」見たときには、「夢オチのようなことになった」ことに落胆をしていたのですが、今回に関してはいっそ夢オチという展開にしてもらったほうがまだ理解ができるという感想を持ちました。結局最後まで、物語の骨格がわからず、冒頭に記載した夢から目覚めた後に思い返す夢のシーンのような辻褄が合わない舞台になっていました

複数の脚本家が、物語を持ち寄りあまり辻褄を考えることなく場面をツギハギにして繋いだような物語でした(同行者は、舞台の印象を「パッチワークみたい」と言いましたがまさにその印象)

馬の登場に救われました

タイトルの馬にあたる五郎の出現で、舞台の雰囲気が少し変わりました。

それほど、馬に寄せた衣装やメイクだったわけではないのですが、馬という雰囲気がすごく伝わる演技でしたし、変な話、馬を演じているにも関わらずもっとも舞台上で自然な演技をしているように見えました。馬がもっと早く舞台上に現れていれば、きっと舞台が遠く感じる時間がもっと短くなったと思います。

広い意味でのミスキャストかもしれない

ボクが、「ボク」という一人称で話すことに違和感を感じました。妻のトキコのぶりっ子(死語😒)演技にもちょっと見ていられない感情を感じました。過剰な繰り返しを行う特任部長にも飽きがきました。あまり感情が見えない看護師役の一辺倒さにも見ていて不安を感じました。

今回は、個人的にはみたいと思っていた俳優さんが集結した舞台だったこともあり、期待値が上がった状態で見に行ったせいもありますが、その俳優さんたちがあまりイキていないように感じました

小説家の九州方言のセリフ回しの自然さや、馬の飄々とした振る舞いに癒やされる部分があったのも事実ですが、全体的には(思った以上にセリフが少ない役だった方がいたことも含め)キャスティングが俳優の個性にマッチしていないような感じを強く受けました。

この座組の中で入れ替えるとかそういう話ではなく、この座組にマッチした(原作ありとは言え、オリジナル脚本なので)本であればもうちょっと見やすかったかなと感じました

キャスティングとはちょっと異なるかもですが、メイクが非常にナチュラルなのに、衣装がアングラな感じ(例えば、医師とか)も、ちょっとチグハグを感じました(とはいえ、この舞台、アングラチックな衣装に寄せるべきだったのか、ナチュラルな方に寄せるべきだったのかは答えがないのですが…

装置面白い

前回公演もそうでしたが、装置の発想力は面白かったです

今回は、入場時に割りと素舞台に近い舞台装置を見て、「シンプルな舞台だなぁ」という印象を持っていました。

が、この装置、舞台上で徐々に組み上がっていくのです。家を作るという物語の進行に合わせて、立ち上がる柱や梁…芝居の中で舞台が壊れていく芝居は唐組を始めとするアングラ系の舞台ではよくみる演出でしたが、芝居中に装置が立ち上がるというのは….初の経験で楽しかったです😊

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