[劇評]三田村組「父との夏」@SPACE梟門

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三田村組による再再演。昨年の再演から、1年と立たずして再再演です。昨年の再演は見ていませんが、2010年の初演は見ています。
初演を見て6年ぶりに見た作品ですが、見ていて思い出すシーンが多数ありました。小品ですが、ジーンとするいい話で、また見たくなる作品でした。

劇団 三田村組
題名 父との夏
公演期間 2016/3/16~2016/3/27
高橋いさを 演出 高橋いさを
出演 三田村周三、蒲田哲、田口朋子、咲良美里、石井悦子、山里ケンイチロウ
劇場 SPACE梟門(新宿三丁目)
観劇日 2016年3月27日

■三田村さんが17歳の少年役?!

この舞台の特徴は、こんなにおじさん(おじいさん?)が、若い17歳を演じるということです。これは、かなり反則です。年齢差的には、野田マップの舞台「キル」で、野田秀樹さんがテムジンの息子バンリ(10歳位?)を演じたのに匹敵するくらいの厚顔さ(笑)。
が、この少年役がなかなかハマる。2004年の現代(舞台は2004年)と昭和20年の過去を行きつ戻りつする中で、演じる三田村さんを見ているとそれが少年にも老人にも見える。結局年齢を乗り越えた一人の人間が見えてくる。

そういうふうに見えてきて初めて、三田村さんの語る戦争の姿が見えてくル気がしました。世代を超えた戦争の姿が。

■エピソードは、ショボいが、それがいい。

正直、三田村さんの語る戦争は、そんなに緊迫感があったり、むちゃくちゃ悲惨だったりする話ではない。ただ、皇国少年がいて、軍事訓練を受け、死と隣りあわせの体験を経て、終戦。死ぬほど腹を空かして東京に帰ってきた。….それだけ。

しかし、そのあっさりした話であるがゆえの親近感こそが、この話のよさなのだと思います。

田舎に帰ってきた父との葛藤を持つ息子と父の間の何か歯がゆい感情がときほぐれるのは、こういった話だというのが現実感があると感じました。

■二役こなした田口さんの演技は素敵でした。

勿論、御年71歳にして、17歳(あ、逆だ)の少年を演じた三田村さんが、当たり役なのは当然ですが、兄と父の間に入った妹役とかつての母役の二役をやった田口朋子さんの演技は素晴らしかったです。どちらの役どころも、とても的確に演じていました。

■涙ぐんだシーンが有りましたが、何故なのかわからない(笑)

それだけ…の話でしたが、何故か涙腺が緩むシーンがありました。腹を極限まで空かし、それでも虚勢で目の前の握り飯を拒んだ二人の少年が、その握り飯にかぶりつくシーンです。なぜ、そこで涙腺が緩んだのかわかりません。
お腹が空いてた訳ではないのですが…

ほっこりとした気分で見終えることができる舞台でした。1週間のロングラン公演も前半は空席が目立ったようですが、私が行った楽日は満席。再々再演…あるかなぁ。

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