まさに蜷川マジックということか。正直、ロミオとジュリエットは悲恋の物語ではあるが、それほど好きな作品ではなかったのだが、今回のロミオとジュリエットにはやられてしまった
ロミオとジュリエットが本当に若々しく、幼い。その幼くも一途な恋心が客席に伝播して初めてこの物語の悲恋たるラストシーンが客席を感動させるということが良くわかった。
演技力の確かさでは、藤原さんは若手の中ではぬきんでていると感じた。対する鈴木さんの演技はいまいちで、一人芝居のシーンはつらく感じたのも事実。
それでも、最後のジュリエットの自殺のシーンは完全に舞台に惹きつけられた。
劇団 | ホリプロ | ||||
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題名 | ロミオとジュリエット | ||||
公演期間 | 2004/12/04-2004/12/28 | ||||
作 | ウィリアム・シェイクスピア | 演出 | 蜷川幸雄 | ||
出演 | 藤原竜也、鈴木杏、瑳川哲朗、壤晴彦、立石凉子、梅沢昌代、高橋洋、妹尾正文、スズキマリ、横田栄司、月川勇気、マメ山田、清家栄一、福田潔、グレート義太夫、堀文明、新川將人、鈴木豊、髙山春夫、田村真、伊藤一樹、江間みずき、勝島乙江、名塚裕美、松岡さやか、泉裕、井上顕、菊池康弘、原田琢磨、藤田俊太郎 | ||||
劇場 | 日生劇場(日比谷) | ||||
観劇日 | 2004年12月25日(マチネ) |
どうも、ロミオとジュリエットって話は、苦手だったのですが、この舞台でその苦手だった理由がわかった気がします。
どうにも、恋の落ちるのが簡単すぎるし、その上死んじゃうところがわけがわからなかったのですが、今まで見たことのある舞台等の役者さんの見た目に騙されていたようです。
この話は、十代の少年と少女の初恋かそれに近い二人の話なのに、いままで見てきた役者さんが年配(つっても20代とかだったはずですが)過ぎたのだと思います。今回の、藤原竜也さん、鈴木杏さんのコンビでしかも、蜷川さんが、二人の若々しさを存分に引き出す演出をしてくれたおかげでその辺がものすごくストレートに伝わってきた気がします。
結果として、ロミオとジュリエットは好きな話になりました。
特に藤原さんの演技は、素晴らしかった。大河での演技もいいですが、舞台上での映え方は断然いいです。とくに、若者が一目ぼれをするという姿をこれほど見事に演じきった役者さんというのは初めてみました。 苦悩、喜び、怒り、悩みそれらを全身でいやみなく、演じきれる役者さんというのはあまりいないと思います。観にいけませんでしたが、昨年のハムレットが好評だったのもうなづけます。(悔しい!)
逆に、鈴木杏さんの演技は少し固さが気になりました。但し、後半は俄然よくなります。そもそもジュリエットの台詞は冗長すぎる嫌いがあると思うので、少々の硬さは大目に見てあげるべきかもしれません。
シェイクスピアの修飾しの多い台詞に最初こそ多少の違和感を感じたものの、結局は物語にぐいぐい引き込まれ、いつも時間が長いと文句たらたらの僕が3時間5分の上演時間をまったく長いと感じなかったことからもこの公演の完成度はものすごく高かったのだと思いました。
今年見た中で、間違いなくベスト3にはいる秀作だったと思います。
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