5人しかいない舞台とは思えない複雑で中身の濃い舞台でした。あまり興味がなかった斎藤茂吉という歌人の晩年の人物像を一昨年訪れた山形の風土を感じながら垣間見る2時間はとてもここちよかったです。考えてみれば終戦の直後の数ヶ月は日本人にとって本当に何もかもが変わってしまった期間でその姿をこうして物語としてしっかり見たのは初めてだったかもしれません
劇団 | 劇団チョコレートケーキ | |||||
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題名 | 白き山 | |||||
公演期間 | 2024年6月6日~2024年6月16日 | |||||
作 |
古川健 | 演出 | 日澤雄介 | |||
出演者 |
尾形晋:斎藤茂吉(歌人・精神科医) 浅井伸治:斎藤茂太(精神科医・茂吉の長男) 西尾友樹:斎藤宗吉(精神科医・茂吉の次男) 岡本篤:山口茂吉(会社員・茂吉の高弟) 柿丸美智恵:守谷みや(農婦・茂吉の賄い婦) |
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劇場 | 駅前劇場(下北沢) | |||||
観劇日 | 2024年6月8日(マチネ) |
目次
2年前に訪れた山形が舞台のチョコレートケーキ新作
斎藤茂吉にしろ、北杜夫にしろ、実はあまり馴染のある作家ではないので(なので、芝居がおわるまで斎藤茂吉さんの次男が北杜夫さんだと気づかず)、だいたいいつの時代の方かも全然理解しておらず、また山形にゆかりのあるかたというのも知りませんでした
しかし、公演時配られた歌集(舞台上で引用されたもの)を改めて読み、山形に訪れた際の景色を思い浮かべるとなんとなくその情景が身近なものとして蘇ってきます
俳優陣の素晴らしさ
たった5人の俳優さんでありながらそしてごくごく短い期間(1週間くらい?)のしかも山形の一部屋をほぼ舞台にした物語なのに、たくさんの背景事情や心の動きを感じ取れる
斎藤茂吉さんって昭和の父親の典型だったんだなぁ。雷を落とすなんて最近聞かないフレーズです😂
もともとは、村井國夫さんが演じるはずだったこの役ですが、代役となった方でも十分にその迫力が伝わってきます
柿丸さん、多分お名前は何度も聞いたことがありますが、初めて見たように思います。田舎なおばさんという感じで安心感のある喋り方でありながら、途中でふと急に色っぽくなったりして一人語りでも魅せてくれる素晴らしい女優さんですね。次回は、標準語で喋る姿をちゃんとみたいです(正直、ときどき何言ってるかわからなかった🤣)
と、思って念の為自分のブログ検索したら、13年前に柿丸さんの演技をサスベンデッドで見ていたらしい
全く記憶が蘇らない…😭
山口茂吉役の岡本さん、いつもみています。いつものおじさん役に比べると今回は少し若い役だったのでしょうか?
とはいえ、一人他人行儀な感じの演技はいつものように特徴的です。声が特徴的なので、どんな役をやってもすぐにわかりますし、気づきますね(昨年見たアルキメデスの大戦の舞台では、結構遠目の客席でしたが、すぐわかりました)
兄弟役がしっくりとくる
浅井さんと西尾さんが演じる兄弟の役にも心動かされました。
自分も長男で、二人兄弟ということもあり結構兄弟ものの物語には心動かされることがおおいのですが、長男役の浅井さんの葛藤や、自由に生きようとする次男役の西尾さんのきめ細かいフォローをする日常が身近なものとして感じられました
浅井さん演じる長男の責任感であり、父から信頼を得て成長していくさまを見てちょっと背筋が伸びるような気持ちになりました
(最近、父を亡くしたのでよけいに😓)
以上 劇団チョコレートケーキ「白き山」の劇評でした。
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