[海外劇評]Eat a Crocodile「Shake」

広告

フランスから来た劇団によるフランス語の舞台(英語字幕)。調査不足で、芝居がはじまるまで、フランス語による演劇と知らずに見たが、逆に字幕英語に助けられる形で、なんとか物語は終えた印象。

劇団 Eat a Crocodile
題名 Shake
公演期間 2016/08/112016/08/13
W.Shakespeare 演出 Dan Jammet
出演 Vincent Berger,Delphine Congniard,Valerie Crouzet,Antonio Gil Martinez,Geoffrey Carey
劇場 Royal Lyceum Theatre((Edinbgurgh UK))
観劇日 2016/08/12(ソワレ)

 

目次

シェイクスピアの「十二夜」をフランスのカンパニーが上演

十二夜は残念ながら日本語での上演を見たことがなく、初観劇。英語力に自身がないこともあり、事前にウィキペディアであらすじと主な登場人物の名前だけ頭に叩き込んで観劇をしました。
多数の出演者がいそうな話なのですが、この舞台ではたった5人で物語が進みます。これで一人の人がたくさんの役をこなすような演出だと結構混乱したような気がするのですが、出演者数に合わせてストーリーもシンプル化されており、なんとか追いつくことができました。(英語での上演でないおかげで、英語字幕にたすけられました。ただ、結果として役者の細かい演技を多数見逃した印象)

■主人公役は、かわいい女性

男装の女性(Viola)と、その兄(Sebastian)を演じるDelphine Cogniardは、とてもかわいい感じの女性で、男装時も宝塚的なかっこよさというよりも、完全に成熟しきっていない男性に見えます。彼女が、主人であるOrsinoに恋をしているのに、Orsinoからは男性と信じきっているので、胸の内を「もし私の妹であれば…」と彼に話しかけたり、自分の胸の内を語っているのを彼に見られて、年上の女性に恋をしているかのように勘違いされたりあたりは、原作の持っている面白さだと思うのですが、楽しんでみることができました。

まわりのキャストが(西洋人であれば普通だと思うのですが)かなり大人びて背も高いキャストの中で、少し背が低くて少年/少女の中性的なイメージを持つ彼女が主人公というのも物語のイメージなのだと思いました。ただ、彼女のような背の低い女性が男装したとしても、10センチ位彼女よりも背が高そうなOliviaが彼(彼女)に恋をするというシーンや、最後に双子の兄Sebastian(Delphineの二役)として結婚を申し込んでキスするシーンもちょっと無理がある気はしましたが。

■舞台はシンプルな5つの小屋

■5人だけの舞台、巧みな二役。

舞台上5人しかでてこないのですが、配役としては6人の役者と、一人の効果音担当者?兼アメリカンジョーク担当(Feste)によって構成されます。
主人公のViolaとSebastianの二役は、主人公が帽子をかぶるか否か以外何も衣装も変えずに演じ分けています。(声音は少し変えていましたが、そういう目印がないとわからない感じです)
男役と男装の女役でたくみに歩き方とかしゃべり方とかを変えていて素直にうまいなと思いました。

別の二役は、腹話術人形をつかっての二役(Sir Toby,Sir Andrew)。こちらは腹話術人形を使った二役。正直フランス語で腹話術師がしゃべっていてそれを字幕で追うというのはかなりの難事業で、結局人形がどっちの役だったかさえよくわかりませんでした。

Oliviaに恋する伯爵のOrsinoと彼女の従者のMalvolioも二役だったのですが、こちらは芝居終盤で舞台上で着替えるまで、僕は同じ人がやっているとはまったく気づきませんでした。スキンヘッドにまったく髪型も色も違うかつらを身につけかっこいOrsinoとちょっと奇妙なMalvolioを発声や動き方なんかも全て変えて演じていて完全に騙された感じです。
全体的に見てとても、実力のある俳優さんによる刺激的な舞台でした。国際演劇祭というのを実感できた舞台でした。(そういえば、東京の国際演劇祭もあまり足を運んでいないなぁ。俺)

Festeは、唯一英語をしゃべるキャラで、字幕がないのですがほとんどのセリフがアメリカンジョークで、いくつかは理解して笑うことができました。ただ、彼の芝居における役割は結局理解できず…

■反省(付け足し)

演目を選んだりチケットを用意するときは、よく英文を読もうと思いました。今回は、チケットを印刷しなければならなかったのを劇場ピックアップと勘違いしていて、直前に慌ててホテルのフロントで印刷をしてもらったり、行ってみたら上演がフランス語だったりと、注意不足が身にしみてしまいました。

広告

2 件のコメント

  • 三十年前のエディンバラで野田秀樹は観客を魅了したことの意味 | 演劇とかの感想文ブログ へ返信する コメントをキャンセル

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です