[書評]セカンドマシンエイジの下流老人達

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あけましておめでとうございます。(すでに遅いですが)今年も色んな物の感想を綴っていきたいと思います。(だいぶ範囲が広がってますが)

目次

■セカンドマシンエイジと下流老人

全くの偶然でこの二冊の本を同時に読んだのですが、かけ離れているようでいてこの二つの本は同じ現象について異なる視点で語っているにすぎないと感じました
どちらも今世紀の格差拡大について語っている本です。
一つは国内。一つはグローバルで。

■日本でも、世界でも増える格差社会と下流

「下流老人」は、現在下流である老人達のみを取りあげて問題提起しているわけではなく、将来の下流老人大量発生への警鐘をならしています
「セカンドマシンエイジ」は、現在≒セカンドマシンエイジにおいて、我々人間が、かつてのモータリゼーションの黎明期の馬車馬同様にお役ごめんになり、職を失う世界を予言しています。(半分以上は現実化しています)

この二つの本はスーパースター、資本家と言った限られた人間とそれ以外の人々の間で広がり続ける格差の両極端にスポットを当てている本なのです。

■「下流老人」では語られない格差拡大の理由

「下流老人」では、格差が広がり、自分が中流だと信じていた人たちの転落の実例やその実像からまさに下層の生活にクローズアップしています。身近な事例であるがゆえに、非常に切迫感があって、人事とは思えない現実が語られています。
一方で、その原因が何かを明示はしてはいません。強いて言えば政策の問題だと捉えているようです。しかし、ならばこれまでの長い間(≒20世紀)はなぜその政策が通用したのか、現在は何が起こりつつあるのかを捉えているとは言い難いように思えました。
「雇用回復なき経済成長」や「スキルの低い労働者の賃金下落圧力」の答えは、セカンドマシンエイジに記載されています。
「機械との競争である」と。いま、我々は自動車やトラクターが発明された頃の馬車馬のように失業の危機にあるというのです。

指数関数的に伸びるマシンの性能により、経営者は景気の良し悪しに関わらず、労働者を余らせる状況にあります。しかし、現状では好況期にリストラをすると理解が得られにくい。でも不況期であれば、許される。かくて、不況期にリストラで、人を減らした経営者は、(もともと余っていたこともあり)、好景気になっても人を雇わず、それゆえに業績を伸ばす。

僕自身、「雇用回復なき経済回復」というニュース紙面の言葉の背景が、ずっとピンときていなかったが、このあたりの説明で、すっとハラオチしたように感じました。

■解決策?はあるのか

両書は、ともに政策への提言を行なっています。
この現象は不可逆的で、個人が対応できることは限られる。という認識が、両著者には共通にみられています。

下流老人作者の藤田孝典さんは、凄いミクロな目線で現段階における生活保護の現実への改善を求めています。ミクロが悪いわけではないし、直近で現実への適合性が高いやり方はこれなのではと思います

それでも、セカンドマシンエイジの方策に光明を見出してしまう自分がいます

マシンそれも人類とは違うロジックで発展する知性と協働することによる優位性を守ることによりサバイバルする為の方策にを語るセカンドマシンエイジのほうが未来に対して楽天的なイメージを持てるのです。

自分の仕事に対する考え方や、将来を考える上で、とても参考になる本でした。

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