[書評]新井直之「チャイルド・プア」

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最近、テレビのACジャパンのCMでよく見る子供の貧困の問題。個人的には、色々複雑な思いがあり、現実をもっと知りたいと思いこの本を手にとりました。著者がNHKのディレクターということで、この本そのものは、番組制作に際して関わった子供やそれをとりまく人々への取材に基づく話でした。マスで捉えて今まで考えていた自分としても、個々の物語を読むうちに、現状のヤバさにようやく気付かされました。

日本の子供の貧困率とは何か

日本の子どもの貧困率は15・7%。なんと、子どもの約6人に1人が貧困状態にあるという。経済的な理由で就学援助を受ける小中学生の数も156万人に上る。 子どもの貧困は、もはやどこか遠くの世界の話ではない。私たちのすぐ隣で起きている身近な問題

この本の最初の方に、上記のような文面がある。テレビのCMでも最近良く聞く「6人に1人が貧困」というフレーズに実はいつも違和感を感じることが多かったのです。

ちなみに、この貧困率(相対的貧困)の定義とは以下のようなものだそうです。

相対的貧困(そうたいてきひんこん)の定義は「等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調整した所得)の中央値の半分に満たない世帯員」であり、この割合を示すものが相対的貧困率である。(wikipedia)

なんかややこしいですが、大雑把に言えば所得の中央値の半分以下の所得しかない世帯にいるということです。日本だと、14万円/月の収入以下程度になるそうです。

日本の経済状態からいっても、いわゆる貧困に苦しんでいるという人々が、途上国や難民と呼ばれる人たちに比べれば、同じ貧困という言葉でとらえるにはあまりにも違いがあるだろう、と考えていました。

相対的に貧困であることは確かに問題ではあるものの、絶対的に貧困である世界の多くの人々の問題に対しての課題よりも、重要度は低いと考えてきました

しかし、この本を読みその考え方をそもそも変えなければならないなと考えました。

 子供の貧困は、確かに発展途上国のそれとは違います。しかし、彼ら自身のせいでそうなったわけでもなければ、ほっといて自助努力を期待していればいいものでもありません。
 それは、まさに今ここにある危機であり、日本という国全体でどうにかしないといけない課題だと感じました

湯浅誠さんの記事

ちょうど、この本を読んでいた時に、湯浅誠さんの以下の記事を読みました

子どもの貧困 「昔のほうが大変だった」への対処法(湯浅誠) – 個人 – Yahoo!ニュース

子どもの貧困は、大人の貧困に比べて、広い理解を得やすい。
一番の理由は「自己責任」と言われないこと。

<–中略–>

「昔のほうが大変だった」ということ。
これは、特に高齢の、特に男性から言われることが多い。
そしてこの方たちが地域や社会で力をもっている(地方議員や自治会長など)。
子どもの貧困対策を進める上では、この方たちにも理解してもらう必要があるが、そのためには「昔のほうが大変だった」というこの言い方に向き合う必要がある。

 まさに、ここに記載されている年配の方(僕はそこまで年配ではないのですが)この本を読む前の僕の考え方に近いものでした。

 僕は、「リベラル」はうさんくさいと感じている人間ですが、湯浅誠さんはちゃんとした「リベラル」の人だと思っており、ほとんどの意見は納得できると思っています。

 なので、この記事の中で湯浅誠さんが伝えている内容は、とても切実な現実を示していると思いました。

[書評]橘玲「「リベラル」がうさんくさいのには理由がある」

経済成長なき日本にとってチャイルド・プアは、大問題だ。

このチャイルド・プア(著者の造語らしいですが)は、湯浅誠さんの指摘をまつまでもなく、高度成長期における貧困とはまったく意味が異なるものです。

そして、そういう子どもたちが、1/6もの割合として存在することは、将来彼らが稼ぐ世代になったときに、稼げない(≒経済成長の原動力になれない)ということは、保守的な僕から見ても非常に大きな問題だと感じます

親の貧困による連鎖であったり、本人に起因しない原因により、そういった状況に落ち込む子供を救い出す社会的な仕組みは早急に整えるべきと考えました。

この本の中では、家庭/学校/社会(福祉)とをつなぐ役割(コーディネーター)を持つ人の活躍が描かれ、そういった方の果たす役割の重要さが描かれてもいた。

なかなか、そういう現場の仕事に関わることができない自分がもどかしいが、何かできることがあるのか(寄付等も含め)、自問してみようと考えさせられる一冊でした。

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