藤村俊二さんが亡くなりました
「オヒョイさん」の愛称で親しまれた俳優の藤村俊二(ふじむら・しゅんじ)さんが、1月25日午後8時45分、心不全のため入院先の病院で死去した。82歳だった。<中略>
神奈川県鎌倉市生まれ。早大中退後、東宝芸能学校1期生となり、60年に日劇ダンシングチームの一員として公演のため渡欧。英国の踊りのレベルの高さに衝撃を受けて舞踊家の道を断念し、パリでパントマイムを学んで帰国後は振付師に転向した。
テレビでの活躍が印象に残る方でした
僕の世代だと夏目雅子さんが、三蔵法師をやり、堺正章さんが、孫悟空を演じた 西遊記 の出演が印象深いです
最近では、(東京限定かもしれませんが、)ぶらり途中下車の旅でのナレーションなどでの何か浮き世離れした口調に癒やされるような感じがありました。(後任の小日向さんのナレーションも好きですが。やはり、藤村さんの影響があるような気がします)
舞台でも変わらない演技の軽やかさ
そんな藤村俊二さんの舞台を僕は、幸運にも観ることができました。
しかも、ロックバリバリのアクションが炸裂する劇団☆新感線の舞台です
「大江戸ロケット(2001)」と「吉原御免状(2005)」です。
通常、当時既に彼らの舞台に往年のスターである年配の俳優さんが出ることは珍しい事ではなくなっていましたが、それでも藤村俊二さんの出演は意外でした
そういう出演者の方が起用される場合、舞台に重みを与えるような役柄になることが多く、そういう役をやる藤村さんをイメージできなかったからでした。
ただ、どちらの舞台でも、そんな懸念はいい方に裏切られました。
今更ながら、自分の劇評を読み返してみて、当時の藤村さんの姿を思い出しました。
客演陣に不満とはいえ、藤村俊二さんは例外。かなり予想どおり。あれ以外ないよねぇ。ただ、出し過ぎかもしれない。もう少し、出番が少ない方が、かっこいいかも(印象には出番の多少にかかわらずめちゃくちゃ残るし)多分、藤村さんよりも作・演出双方が藤村さんの出演を楽しんでいたということかもしれない
(2001年 「大江戸ロケット」の劇評より)
すごく、トリッキーというか、隠居としてのじじい役なのに、いきなり華麗なステップを刻んだり…(訃報のニュースの中で、振付師からキャリアがスタートしたと知って、16年ぶりにあのステップの華麗さに納得が行きました)
4年後の舞台では、ほぼ全編出ずっぱり。それに驚きました。
藤村俊二さんがほぼ、全編でづっぱりなのにも驚きました。恐るべき体力というか、それでいて、藤村さんにしか出せない不思議な雰囲気が舞台上を覆いつくしていてすごいと思いました。舞台でもっと見たいと思わせる稀有な高齢の(失礼!)役者さんです。
(2005年 「吉原御免状」の劇評より)
本当にこのときに書いた劇評と今の気持ちは変わりません。
もう一度、欲を言えば舞台で、それでなくても、映像でお目にかかりたかった俳優さんでした。
心より、ご冥福をお祈りいたします。
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