山本龍二の軽量級の伊藤博文が、印象深い。伊藤四朗さんのイメージが強いが故にまるで違う演出で来た今回のやり方は正解。こういうのもありだなと思い、不満が残らなかった。
ただ、前回見たとき坂本さんがやっていた西郷従道役の瀬戸さんは、やはり荷が重かったかもしれない。同じようにやろうとするが故にあらが目立った(じゃぁどうやるんだ!といわれると困るが)
劇団 | 東京ヴォードヴィルショー | ||||
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題名 | その場しのぎの男たち | ||||
公演期間 | 2003/10/11-2004/03/14 | ||||
作 | 三谷幸喜 | 演出 | 山田和也 | ||
出演 | 佐渡稔、市川勇、石井愃一、佐藤B作、たかはし等、大森ヒロシ、中田浄、阿部英貴、山本ふじこ、市瀬理都子、フジワラマドカ、増田由紀夫、瀬戸陽一朗、櫻庭博道、あめくみちこ、山本龍二 | ||||
劇場 | 東京芸術劇場中ホール(池袋) | ||||
観劇日 | 2004年3月14日(マチネ) |
【ストーリー】
明治24年の5月11日朝、大津市の路上で来日中のロシア皇太子ニコライが巡査・津田三蔵に襲われる。世にいう「大津事件」である。
わずか組閣5日目の松方正義内閣にとって日本の命運にかかわるこの大ピンチは汚名返上の千載一遇でもあった。
内相・西郷従道、外相・青木周蔵、逓信大臣・後藤象二郎と共に無い知恵を絞って編み出す「その場しのぎの対応策」は、打つ手打つ手が面白い様に外れていき、そこに農商務大臣・陸奥宗光、伊藤博文とその右腕・伊東巳代治が加わり、ますます混乱の深みにはまっていく。
かたや冷徹なまでに日本の政治に命をかける伊藤博文と、かたや気のいいばかりでどうしても一流になりきれない三流政治家松方正義とその仲間達の生き方の違い…。
【感想】
昨年10月に見て以来、ほぼ半年振りの東京追加公演。この期間ずっと全国公演を回っていたというのは流石。
ただ、伊藤四朗、坂本あきらの抜けた穴をどのように埋めるかは興味のあるところ(半分心配だったが)
瀬戸さんの西郷従道は、最初はなかなかいいと思っていたが、やはり力不足を感じる。周りから労わられているような感じを受けてしまった。(坂本さんだとやっぱり他の役者さんとがっぷり四つに組んでいた感があったのだが…)
逆に、山本龍二さんの芝居は、意外に良い。
出てきた時の「ドォー?」という第一声が、業界人のディレクターのよう(って見たこと無いけど)。重みが無くって、伊藤四朗さんの芝居とは対極。(伊藤四朗さんは、出てきた瞬間にピーンと舞台上に緊張が張り詰める感じがあったが、今回は、いきなり笑いが起きる。)
もともと「国語元年」で役者さんとしては見たことのあった、山本さんが一体どうやって重厚な伊藤博文を演ずるかと構えてみていたが、いきなり肩透かしを食らった格好。
ところが、これがかなりしっくり来た。
考えてみれば、当時の伊藤博文の年齢はけしてまだ老人と言うほどの年齢ではないし、歴史をみても、その後もう一度内閣を率いている。案外、この「軽量級」の伊藤博文の方が実態に近いのかもしれない。
実年齢的には、佐渡さんや佐藤B作さんとかと山本さんが近いのが原因かもしれないが、舞台上の雰囲気も一体感が増した気がした。
伊藤四朗さんの伊藤博文も重厚な感じがあっていいが、この山本版もいい。
他の役者さんの演出は、大きく変わっていないが、山本さんが伊藤博文をするだけで、別もののような芝居になった。どちらも面白いが。
ちなみに、いつものコントショーである東京オードブルショーは、何故か今回はトークショー。吉行和子さんが登場し、状況劇場の「少女仮面」に出演した話など…
なんでコントをやめたんだろう?うけなかったのか?
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