[劇評]燐光群「トーキョー裁判1999」@シアタートラム

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劇団 燐光群
題名 東京裁判1999
公演期間 1999/9/1〜1999/9/12
坂手洋二 演出 坂手洋二
出演 大西考洋、美香、川中健次郎、猪熊恒和、千田ひろし、黒田明美、丸岡宏、中山マリ
劇場 シアタートラム(三軒茶屋)
観劇日 1999年9月11日

この脚本は、学生時代、まだ芝居を自分で演出できると今想うと恐ろしい妄想に取りつかれていた頃に、なんとか自分の演出で舞台に載せようと回りを説得していて、周りにその無謀さを諭されて上演を諦めたという(あくまで僕にとって)いわくつきの脚本。

当然、穴があくほど当時の僕はこの脚本を読んだという経緯があるもんで、初演を観ていなくとも大体どんな舞台か想像がつく。。。。つもりでいったのですが、舞台装置自体に度肝を抜かれてしまいました。凄い装置でした。いや、凄い劇場でした。(この舞台を単に舞台装置と呼ぶのは、紅白の小林幸子の衣装を「衣装」と呼ぶくらい違和感を感じます)

ただし、舞台装置に凝りすぎて、観客には不親切な舞台でした。全編2時間45分の芝居というのに、客席が非常に粗末なもので(何せ劇場全体を舞台に使っているので、椅子が限りなくクッションを置いただけの板といった感じ)、結構お尻がいたくなった。劇場でやっているとは、いえ、この劇団客扱いがテント芝居みたいだなと感じてしまいました。(そういうのは、「僕は」大好きだけど、そういう心積もりの客ばかりじゃないんじゃないかな)

芝居自体の演出も凝りに凝っていて見ごたえがある舞台でした。音響、舞台、演出は最高でした。但し、舞台と表裏一体ながら客席はマイナス点。芝居が、もうちょい短ければあの客席も許せる気がしますが、お尻がいたいのと視界がせまいのにはちょっと参りました)

さらに、どうしても気になることが一点。

どうして、今、この芝居を上演するのか僕にはどうしてもわからなかった。

当時の時事問題(既に、公演終了故、ネタばれします。この場合金賢姫の大韓航空機爆破事件)を扱っている芝居を今再演するのはやっぱ大変。観客の半分くらいは、若い(多分20代前半)観客だから、きっとこの事件ってピンとこないはず。号外という触れ込みで予め新聞の切り抜きを配っていたのが余計にあざとい感じでちょっといただけない感じだった。脚本を読んだ時(即ち11年前の僕)は、この脚本を読んだ後にいわれなくっても身近な問題として、この事件を捉えていたけど、今じゃぴんとこない。何せ当時はまだ昭和。最後のトージョーの「あの方が亡くなる前に」という科白も何か今聞くと場違いに感じる。

再演でも、この辺は何か工夫があると想っていた僕には、ちょっと興ざめの部分があったのも事実です。

最近、思い入れが激しいせいか、レビューが批判に偏りがちだ。

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