[劇評]ワンツーワークス「民衆が敵」@東区民文化センター(広島市東区)

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芝居の說明を読んで、政府批判とツイッター批判をする平板な舞台かもしれないという不安があったが、思った以上に物語がしっかりしているし、極端な思想があるわけでもない芝居でした。色々考えさせられる(ちょっと極端によっているように感じましたが)ことが散りばめられていますが、最終的には思わぬどんでん返しの上で親娘のの物語になっていて、見ごたえがありました

劇団 ワンツーワークス
題名 民衆が敵
公演期間 2022/05/192022/05/19

古城十忍

演出 古城十忍
出演者 奥村洋治:ノジマ・タクト(官房情報調査室のベテラン・カイトウ・ユラの父)
長田典之:クズネ・センジ(官房情報調査室)
東史子:コザクラ・モモエ(官房情報調査室)/フタバ・チヒロ(真星高等学校 主任)
米澤剛志:オキツ・ケンタ(官房情報調査室)
金原直史:ミナシ・レン(官房情報調査室)/ハンヌキ・サトシ(真星高等学校 教頭)
関谷美香子:アガタ・マキエ(官房情報調査室)/カザミ・エリコ(真星高等学校)
松戸デイモン:カンノジ・アキラ(人権理解を深める会 設立者)
綾城愛里奈:ハザカイ・コトネ(人権理解を深める会)/カブラギ・ミナミ(真星高等学校)
原田佳世子:タテワキ・カノン(人権理解を深める会)
小山広寿:イズミダ・コウタロウ(人権理解を深める会 Web担当)
池永英介:キッタカ・タカシ(人権理解を深める会 フリーライター)
北澤小枝子:カイトウ・ユラ(真星高等学校 いじめに立ち向かい、デモに参加)
増田和:サコウ・ヒトミ(真星高等学校 カイトウの同僚)
劇場
東区民文化センター(広島市東区)
観劇日 2022/05/19(ソワレ)

初めての劇団でしたが、正解でした

昨年、東京から広島に引っ越してきて、ときどき東京に芝居を見に行くことはあったのですが、逆に広島で芝居を見に行く機会がなく、さすがにそろそろ地元で芝居を見たいと思いcorichで検索して出てきたのが、ワンツーワークスでさんでした

名前は知っていましたが、東京に住んでいたときに見に行こうとか思ったことがない劇団でした。広島に来ていただけなければ、伺う機会がなかった劇団だったかもしれません。

ところが、思った以上に芝居の内容も演出も好みで、とても得した気分になれました

演出が小気味よい

場面転換などが、暗転をほぼ使わず、アップテンポな曲に合わせて早足で舞台上の人が入れ替わったり、2つのシーンを同一の場面上でやって一瞬でシーンを切り替えたりとシーンの切り替えが小気味よくて感心していました
また、匿名のネット住民を示すための目隠しの演出や、ディスプレイの枠だけがあるパソコンの小道具など、単純にかっこいいなぁと思いました。
ラストシーンも、映画的でかつ舞台でないとできない演出でかなり好きでした

ここからはネタバレします

考えさせられるテーマが頻出

政治や社会について多くの考えさせられるテーマが散りばめられている物語でした。
メインの話は、無骨な父親と生真面目で融通が利かない娘が、怪しいフリーライターにまんまと騙された話になったのですが、それでも以下のようなテーマが取り扱われていました。

官僚が政権の為に一般の国民を追跡するという設定

官房情報調査室という組織が、一般の民衆を個別に特定し、行動の確認(有り体に言えば、尾行)をしているというのは、この芝居の中心的な設定でした。
作者の方のまったくの想像の産物というわけではないのだと思いますが(上記の組織が存在するのかさえ知りませんが)、アメリカとかと違って政権交代しても官僚組織は残る日本で、ここまで現政権よりの活動をする公務員がいるというのがちょっと非現実的だなぁと感じたりしながら見てました

学校という職場の特殊さ

学校の先生というのは、非常に特殊な職場だなと思いました。職場にいるとき以外の挙動をここまで統制される職場って今時珍しいんじゃないかなと。
公務員は政治的な活動についての制限をうけるとはいえ、親御さんや地域の住民からのこういう無言の圧力はありそうだと思いつつ、こんな職場は今や少数派だし、なんか自分ごとって思えない感じがありました。

SNSへの誹謗中傷への対応

これは、世代によるのかもしれませんが、僕は生真面目な教師の娘が行う反論をきちんとすべきという対応と、その父親が主張するほっといて荒立てるなという対応のスタイルを比べると、父親のほうの対応が理に叶っているように感じました。ま、年齢的にも、父親のほうが近いのでそういったもんかもしれませんが。
若い頃は、娘役の方のほうの考え方に近かったんだと思いますが、今の自分の立場から見るとああいうタイプの人はやっぱりちょっと困るなぁと思ったり(すごい身勝手ですが)

キャストは印象に残る方が多い

フリーライター役の池永さんは、出てきた瞬間からの胡散臭さが出ててかなり舞台にあった雰囲気の役者さんでした。父親役の奥村さんは、落ち着きながらも個性があってとても見やすい演技をされる役者さんでした。

広島公演大変だったようで

何日か前にチェックして、公演があることはわかっていたのですが、仕事の都合が読めず、当日券にかけることにしていました(何故か、広島で東京からくる公演は平日公演が多い。昨年、チケットとっといてその日に限って、Web会議が入って諦めた経験が😭)
で、当日公演情報を確認すると、なんか劇場が変わっている(個人的には行きやすいところに変わっていて、ラッキーだったのですが..)
なんか、当初予定していた劇場(区民センター)が、スプリンクラーの故障で使えなくなった模様….地方公演でいきなりこれはおそらく相当大変だったのでは…と思います。

芝居そのものは、そういうトラブルを感じさせない素晴らしい出来でした。スタッフを始め役者の方のご苦労に改めて👏

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