[劇評]花組芝居「和宮様御留」@シアターアプル

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久しぶりに花組を観劇。いつもながらの衣装/舞台装置の美しさ。全員が男性が演じているということをどうしても途中で忘れてしまう見事な女形の方達に完全にやられた感じ。前回見たときよりも演出が進化している気がする。

劇団 花組芝居
題名 和宮様御留
公演期間 2004/10/17~2004/10/24
原作 有吉佐和子 作・演出 加納幸和
出演 植本潤、加納幸和、嶋倉雷象、桂憲一、山下禎啓、溝口健二、水下きよし、原川浩明、横道毅、北沢洋、松原綾央、八代進一、秋葉陽司、大井靖彦、橘義、鈴木信貴
劇場 シアターアプル(新宿)
観劇日 2004年10月24日(マチネ)

【ストーリー】

日本が開国を迫られ揺れに揺れていた幕末、歴然とした国力差に対抗する為に、公武一体が唱えられ、京都<朝廷>の和宮に江戸<幕府>への降嫁の話が持ち上がる。それは和宮と、側に仕える女たちの運命をも巻き込みながら、歴史の波に抗う術も無く翻弄される、一人の少女の物語を生んだ。
物語の主人公・フキは今日との橋本宰相中将の公家屋敷で奉公をする14歳の少女、ある日、中将の妹で和宮の母・観行院と和宮の住まう御所へよびつけられ、運命が一転する。フキを降嫁をかたくなに拒む和宮の替え玉にしようという,観行院の大胆な策謀の元、屋敷の一角から出られず、声をだすことも許されない奇妙な生活が始まる。
やがて和宮が姿を消し、フキは完全に和宮として扱われるようになる。そしてこれも替え玉の、乳母の存在だけを頼りに、とうとう降嫁の為の江戸を目指して、フキ=和宮の旅が始まる。
しかし、和宮が偽者ではと疑う、お付き女官の宰相典侍・庭田嗣子や能登命婦たちの冷たい扱いを受け、強い心労から、フキの心は狂気に蝕まれていく….(チラシより)

【感想】

花組芝居は、気にはなっていても最近まったく見ていなかった。

その一方で、外部で客演をしている花組の方(植本さんとか、加納さんとか)を見る機会はよくあって、男優としての顔をみている方々が舞台で女形を演じているのを見るのはどんな感じだろうかという思いもあり、劇場に足を運んだ。(前に行ったときは、あまり外部公演をみていなかったので)

実は、そういう意味で、外部で見た男優としての顔を知っている方がやっている女形はやはり、違和感を取り除くことができずうまく感情移入をすることができなかった(あの植本さんさえも) やはり、男は男だし、ちょっと失敗したかなぁと正直最初のうちは思っていた。(なんか前に見たときは、最初から頭ではわかっていても女優にしか見えないという女形の方がたくさんいてそこに感動したという記憶があったのだ)

しかし、演出は、前に見たときにくらべると工夫がこらされて見ごたえがある場面が随所にある。屏風のような舞台装置を巧みに使った場面転換は見事だし、歌舞伎調の芝居でありながら、何故か民族音楽っぽい(ピーターゲイブリエルとかを思い出しましたが)音楽がぴったりはまっていて良い。

身代わりにされたフキの動くところのバックに流れるぜんまいのような音が、演出意図を体現しているように思えた。植本さんの姿が印象的で、機械的な顔がどんどん機械に見えてくる。

演出意図だとおもうのだが、完全に現実離れした幕末期の公家の狂気が、まっとうなものとして劇中では扱われて狂気に見えない。本当にまともなのは、フキだけかもしれないが、それ以外の異常さに囲まれて、フキは壊れていくというイメージが伝わってくる。その姿がかわいそう。
最近、大河ドラマの新撰組を見ているおかげで、幕末の日本の状況がだいぶ頭に入っていたのも、この幕末の公卿達の浮世離れした姿がこっけいに見えてくる。

最初、ちょっと違和感があった植本さんのおやまなのだが、演出の成功もあって、終盤は完全に女性だと思ってみてしまい、感情移入をしていた。この劇団の凄さをひさしぶりに堪能した感じ。男性役と女性役を一人の役者が何の違和感もなくやってしまうところもこの劇団の面白さであり、強みである。

ちなみに、女形をやっていてまったく違和感がないのは、大井さん演じる宇多絵。前にみたときも、この人だけは男性だと信じられなかった記憶があるのだが、今回も(その前に男性をやっていたのを見ていたにもかかわらず)、騙された。

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