[劇評]グリング「虹」@紀伊国屋ホール

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全体としては期待を裏切らないすばらしい舞台であったと思います。超常現象をあたかも日常のように扱う構成上の冒険が成功し素晴らしい作品に仕上がっていると思います。まだ、この劇団の作品を多くみているわけではないので、この劇団の他作品に比べてどうかという評価をすることはできませんが….

劇団 グリング
題名
公演期間 2006/12/20-2006/12/24
青木豪
出演 杉山文雄 萩原利映 鈴木歩己 中野英樹 藤本喜久子(無名塾) 高橋理恵子(演劇集団 円) 泉陽二 鬼頭典子(文学座) 星耕介(Oi-SCALE) 東憲司(劇団桟敷童子) 井出みな子(演劇集団 円)
劇場 紀伊国屋ホール(新宿)
観劇日 2006年12月23日(マチネ)

【ストーリー】

町の教会。次男が神父をするその教会に出入りする人々の物語。

 

【感想】

昨年の「海賊」以来の待ちに待ったグリング公演。というといかにも古くからのファンみたいですが、昨年の「海賊」が初グリング。確かな構成力としっかりした役者の力に2005年末衝撃を受けて、楽しみにして劇場に足をはこびました。

 

教会を舞台にした日常のひとこま。

 

過去に見た2作品と大きく違うと感じたのは2点ありました。

 

(1)時間の経過が長期にわたり、時系列がとびました
(2)超常現象をあつかっていました

 

(1)について、過去にみた青木作品はいずれも1日前後の出来事をほぼ時系列にそって展開していました。しかし、今回はクリスマスにかけての数日間の物語で、しかも回想シーンで何回か数年前のシーンに飛びます。下手な舞台だと暗転を多用して、気持ちをプチプチ切るのですが、この舞台は結局時間の推移を表現するための暗転はありませんでした。こういう構成力の高さはさすがだと思いました。

 

(2)について、 超常現象を舞台で扱うのは困難なことだと思うのですが、唯一の暗転を効果的に使うことで、映像的に非常にうまく処理されていました。ただ、幽霊になってまで伝えなければならないメッセージにしては内容が弱いと感じました。少しアイデア先行だったのかもしれません。

 

二組の夫婦の話が対照的にえがかれていきます。子供がいないという共通点があっても最後は真反対の結末をむかえたように見えました。僕はHIVに感染した夫婦の物語をにぐっときました。

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