45分ほどの小品でノンバーバルのエンターテイメントということだが、思ったより個々の技術が高く楽しめた。一方で、全体としてのストーリーや、コンビネーションはバラバラ感がありエンタメとしての楽しみは少し物足りない
プロジェクションマッピング等利用されている技術は高く、面白くなる要素が揃っていると思うので、数少ないノンバーバルなエンタメとして頑張ってほしい
劇団 | GOTTA TEAM | |||||
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題名 | GOTTA | |||||
公演期間 | 無期限ロングラン(火曜日のみ定休) | |||||
作 |
北林佐和子 |
演出 | 北林佐和子 | |||
出演 |
ドヰタイジ:たこ焼き乃丞 妃那マリカ:ミス・クレープ 細川慶太良:串カツ男爵 小林杏里:フグ三郎 片岡輝明:ラーメンドラマー |
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劇場 |
ZAZA BOX(大阪 なんば)
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観劇日 | 2019/01/04(マチネ 11:00) |
キャスティングは、日々変わります。他のバージョンのキャストはこちらを参照
目次
大阪で初観劇!
東京や福岡で舞台を見ることはありましたが、大阪で舞台を見るのは初めて。今回は、帰省の途中で大阪に滞在した日があったのを機に、昨年ニュースで知ったGOTTAを見に道頓堀に来ました
ノンバーバルで、「食」をテーマにした舞台といえば、今までは韓国のお家芸
僕も、過去にNANTAとCHEFという2つの舞台を見ています
最初にこういうパフォーマンスを見たのは、なんと2004年!。その当時の記事の最後で、
「日本発のこういったパフォーマンスが出てこないもんだろうか….」
と嘆いて早、14年。ようやく日本でこういうパフォーマンスが出てきました!!
というわけで、実は結構期待して会場に伺いました
開演時間が早い!!
個人的には、早い開演時間の舞台は、好きです
その後の時間の使い方が変わりますし、今回もその後に移動が控えていたので、11:00開演という時間設定はずいぶん助かりました
ちなみに、開場は20分前。なんか気合はいりすぎて、1時間前には劇場近くに来ていたので結構時間を持て余しました(笑)
ほぼ毎日3回公演やっているこの舞台、11:00、13:00、15:00とわりと早い時間に集中的に行われています
まずは、大阪に来る観光客をターゲットに気軽に楽しめる舞台を目指しているのだと思います
その試みは良いと思いました
個々人の技はすごい
歌舞伎、レビュー、タップダンス、和太鼓、三味線という各自得意な分野での個人技の披露的な形で舞台が始まります
あまりストーリー的なものがなく、そういった技を披露する場という感じ。
それだけに、個々人の技はなかなかのものでした
歌舞伎の殺陣(長ものの得物を振り回し、決める様)、レビューの客席の掴み方、和太鼓の連打、三味線による軽快な音楽、圧巻のタップダンス。どれも、目を惹きつけられるもので、結構マジでこの舞台が作られている感じがよく伝わってきました
たまたま、たこ焼き乃丞を演じる役者は、今回はドヰタイジさんでした
彼の所属劇団STAR☆JACKSは、2016年に池袋演劇祭で審査員として拝見した舞台で彼は主役をはっていた役者さん
ホームページのキャスト表では誰がいつ出るかがわからず会場に行って、ドヰタイジさんだと知ってラッキーと思いました。さすがの殺陣キレを感じました
タップも圧巻でした
そんなにタップダンスに詳しいわけではありませんが、過去にタップダンス中心の舞台も多く見ている身としては、串カツ男爵のタップは圧巻と感じました
一人でのダンスであれだけ魅せるのは、相当です
ステッキを使って、靴で奏でる音とステッキの音色を使い分け、広々とした客席(後述)に降りてきてまた、動きながら別の音色でやるタップはちょっと声がでないくらい素晴らしかったです
三味線、和太鼓は海外受けしそう
そういえば、2016年にエジンバラ演劇祭に行った時も、日本から来ているパフォーマンスの団体に和太鼓のグループと、琴を中心としたグループが来ていました。こういう日本的な楽器は海外の方にも受けそうです
特にかわいい女性が、男装して演じるふぐ太郎の三味線は、軽快で舞台全体の明るさを担っていたと感じました
総合的には、???
日々キャストの組み合わせが変わる舞台のせいか、はたまた45分という短い尺に様々な要素を詰め込もうとしたせいか、逆にキャスト全体が力を合わせるとか、お互いの関係性みたいストーリーがほとんどなかったのは、大人の観客としては少々物足りないものを感じました
ストーリーとしては、道頓堀に封じ込められた魔物が、ひょんなことから復活しみんなで力を合わせてそれを再び封じ込めるという話なのですが、伏線も何もなくなんともシンプルすぎる話でした
例えが悪いのを覚悟でいいますが、僕自身が昔バイトでやっていた子供向けのぬいぐるみショーのストーリーを思い出させるようなシンプルすぎるもの
最後あたりに、みんなで協力して怪物を倒すシーンがあるのですが、怪物の造形のせいもあるかもしれませんが、ちょっとドラクエを思い出してしまいました
いや、それも日本的と言われればそうなんですが。ちょっと、入り込めず
ターゲットがぶれているような気がしました。子供相手であれば、そういうコンテンツにすべきだし、外国人観光客を呼び込みたいならば、もっと大人の鑑賞に耐えるストーリーなりに持っていかないとキツイと感じます(多分、後者を目指しているはずなんですが…)
イメージしている対象観客が、ある程度大人であるならば、少々子供だまし過ぎて、期待はずれと感じてしまうストーリーと思いました
個々の技術も十分に発揮しきれない構成も不満
これまた構成上やむを得ないと思いましたが、殺陣にしろ、タップにしろ個別の技術が高いがゆえに、それが複合的な効果を発揮しないのはもったいないと思いました
殺陣も、ドヰさんの長ものの扱いが以下に素晴らしくても、一人で振り回しているだけではやはりその良さは伝わってきませんし、タップにしても一人だけのタップでは迫力に限界があります
できれば、複数の殺陣ができるメンバーが揃っての圧巻の殺陣シーンや、群舞のようなタップを見せてくれれば、もっと印象に残ったのにと思いました
勿論、ロングランで公演をし、様々な要素を盛り込むというショーの性質上難しい注文であることは間違いないのだけれど
そういった意味で、プロジェクションマッピングの力を借りて、レビューをするミス・クレープを中心にラインダンスを実現したのは良い試みだったと思いました(本物の迫力には及ばないながら、華やかさは実感できました)
プロジェクションマッピングは、お金かかっているなぁ
昨年から始まってこの舞台。当然ながら、最新技術も使われています
特に、プロジェクションマッピングは、随所に見どころがある演出に使われており、力が入っているなぁと感じました
思ったほどノンバーバルではないな
ほぼ無言劇的でパフォーマンス中心というつもりで見に行ったが、意外にナレーションを含め言葉の壁がある舞台だったと思いました
勿論、マルチランゲージ(複数言語対応)の視点で、ナレーションなどは日本語で行われても、字幕で英語、中国語、ハングルが表示されるなど外国人向けを意識されているのは間違いないのですが、たこ焼き之丞とか、日本語のセリフ喋りまくっていたので、あれで外国人がわかるかといわれると・・・・
頑張ってほしいです!!マジで
なんか、褒めずにダメ出しばかりしているような気がしますが、個人的には是非頑張って、世界進出できるレベルまで持っていってほしいです
テーマは悪くないし、扱っているコンテンツも外国人が喜びそうなものになっている気がします
実は、今回はもう一つの関西のノンバーバルエンターテイメントの「ギア」を京都で見ようと画策していたのですが、チケットが取れず断念しました(これもそのうち見たい)
日本から海外を意識したこういう作品が生まれてほしいと思っている身としては、「ギア」共々、とても期待しているのです
が、今日ボクが見た回の観客は、4名とめちゃくちゃ寂しく(おかげで、串カツ男爵は客席でタップ踊りまくれたわけですが)、先行きは不安です
以上 2019年初観劇 GOTTA TEAM「GOTTA」の感想でした
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