[劇評]劇団道学先生「おとうふ」@OFFOFFシアター(下北沢)

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故 中島敦彦さんの1990年代の作品。ジーンと心に残る芝居で、改稿の効果もあって今でも十分に通用する普遍的な舞台作品になっている。女性が主役の舞台で、男優さんの役割が難しそうだなと思ってみてしまいました。目当てであったもりちえさんの快演が心地よい

劇団 道学先生
題名 おとうふ
公演期間 2021/8/272021/9/8

中島敦彦(脚色:菅沼岳)

演出 青山勝
出演者  もりちえ:田島真紀子(複数回の離婚経験のある笑い屋ベテラン)
 中川絵美:林場由香里(離婚経験のない笑い屋ベテラン)
 原田鮎歌:柿本千恵美(離婚経験のある笑い屋新人)
 蒲田哲:林場の夫、諏訪
 草野とおる:田島の元夫、刑事
 橋詰高志:遠山隆二
 竹田雅則:AD浜崎(ADの上司)
 川合耀祐:AD塚本(若手AD、スマホをいつもいじっている)

劇場
OFFOFFシアター(下北沢)
観劇日 2021/09/04(マチネ)

目次

故中島敦彦さんの作品

2019年に急逝された中島敦彦さんの作品で、初演は1993年とのこと。僕なんかからすればちょっと前の話ですが、それでも28年前の作品ということでそれなりに色々改定された様子です。
LINEが登場するなどの部分は、たしかに1993年にはありえなかったよなぁ(携帯電話だってまだ普及していないころだし)
中島さんの作品は好きで、よく見に行っていただけに、2019年の訃報はかなり衝撃でした
かつては、このブログでも訃報記事書いてたのですが最近はかけてません。
暗い気分になるわりにアクセス数も稼げないしというのが理由です。(勿論、その時点での思いを残すことは、この劇評と同じく意味はあることなのですが)

女優力の試される舞台。もりちえさん!!

この舞台は、3人のテレビ局での笑い屋という職業の女性です。
おそらく、そういう職業についているということ以外何も共通点のない3人の女声が各々の人生を語り合うという話。
正直、脚本としてはそれほど大きなイベントが発生するものではないですし、 ドキドキわくわくする展開はありません

それだけに、女優さんの語りの表現力が重要で、そういった意味で今回のもりちえさんのキャスティングはハマりまくりでした

波乱万丈な人生を振り返りつつ、その時々の乙女な気持ちや母の気持ちを語るもりちえさんの豹変ぶりには何度も笑わせられたり、感心させられたりしました

一方で、3人の女性の各々のエピソードを語るタイプの物語展開は、個人的には苦手な部類の芝居で、それほど長い上演時間ではなかったものの、 終わりそうで終わらない…と感じながら見た舞台でした

おとうふという題名に込められた意味

僕自身は男性なので、おとうふという題名に込められている環境に染まりやすい女性の人生の悲哀という感覚が完全にはつかめません(それを脚本化できる中島さんの才能に感服し、惜しむばかり…)

なんとなく、この出会った男性や環境に左右されやすい女性の人生像というあたりは少々古い世界観なのかなと感じながら見ていました。もともと28年前の脚本だと考えれば、それも納得ではあるのですが

この舞台を今やる意味って?

そういう意味で、この舞台を今、改稿を重ねながらやる意味ってなんだろうなぁと思いながら見ていました。
中島さんの脚本はたくさんあっても面白いものもいっぱいあって…他にもあるじゃないかなとか思いました。
笑い屋という今もあるのかどうかわからない職業を扱っているのもどうかなぁと思う理由です

男優さんはやりにくそうな舞台だな

女優さんのエピソードに登場する役をやる男性の役ってとてもやりにくそうだなぁと感じながら見てました

女優さんの気持ちや物語に参加する男性といった意味づけでの出演で、統一的な人格があるわけではなくやりにくいのではないかなと思ってみていました。
現実の存在であるAD二人もそうですし、それをうまく演技している男優陣の演技力にも感服しました

OFFOFFシアターはなんと18年ぶり

下北にちょくちょくきていたのですが、劇場に入ってみてなんか久しぶりだなとか思って、自分のブログを遡ってみるとなんと前に来たのは2003年!。いやぁこんなにご無沙汰しているとは思いませんでした
以下の舞台でした

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