[映画評]「罪の声」@MOVIX亀有

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原作小説を知っていたことも去ることながら野木亜紀子さんの脚本ということもあって観に行きました。期待に違わず絶妙のストーリーで、2時間半もの長丁場ながら飽きることなくスクリーンに集中することができました。
ダブル主役のうちの一人、星野源さんの背後のストーリーや演技が秀逸で、とても印象に残りました

題名 罪の声
原作

塩田武士

脚本 野木亜紀子
監督

土井裕泰

出演者 小栗旬:阿久津英士
星野源:曽根俊也
松重豊:水島洋介
古舘寛治:鳥居雅夫
市川実日子:曽根亜美
梶芽衣子:曽根真由美
阿部純子:曽根真由美(若き日)
尾上寛之:曽根光雄
宇崎竜童:曽根達雄
川口覚:曽根達雄(若き日)
火野正平:河村和信
原菜乃華:生島望
宇野祥平:生島聡一郎
篠原ゆき子:生島千代子
阿部亮平:生島秀樹
映画館 MOVIX亀有(亀有)
鑑賞日 2020年11月15日

目次

脚本家意識して映画見るのは初めて

野木亜紀子さんは、ドラマの脚本家として最近追っかけている作家さんです。人気ドラマを数々手掛けてらして脚本の秀逸さにいつも感心させられることが多いです。
今回は、原作を知っていた(とはいえ読んでいない)ことも大きいですが、脚本が野木亜紀子さんというのが劇場に足を運んだ大きな理由でした
とりえあず、原作小説を読んでいたらとても観るまでに間に合いそうになかったので、漫画で予習をしました😁



動きは少ない分ドローンで撮影された景色に癒される

わりかし動きの多いエンタメ作品を見ることが多かったので、結構硬派な本作品を見たのは久しぶりでした
事件の真相に迫っていく話は、興味深いものでしたが、一方で動きが少ないというか聞き込みと事件を振り返る映像の組み合わせは、映画的な派手さがないなぁと思いながらみてしまいました。
一方、イギリスロケを敢行したことによるイギリスの景色は、海外旅行ができない状態で見ていて癒やされました。
ドローンを使った独特の角度からの風景は、異国感が満載で日常を忘れることができました

ここからはネタバレします

原作と違うところが、映画の肝かな

漫画化されたものとはいえ、原作を予習していったのですが、原作になかった所が、印象に残りました
ひとつは、星野源さんが、自分の声を録音したのが母親(梶芽衣子さん)であることに気づき、その事実を問いただす場面
もうひとつは、小栗旬さんが、星野源さんの叔父であり事件の首謀者の一人であった達雄(宇崎竜童さん)に会いに行き、かなり厳しく攻める場面
後者は、原作にも場面としてありますがかなり厳しいセリフに置き換えられているように思いました。

どちらも、社会正義をうたいながら、子供を利用し人生を狂わした人に対するかなり痛烈な批判を含んでいます

この映画のもととなったグリコ・森永事件でも確かに子供の声で脅迫指示が行われているので、その子どもたちは今の僕と対して変わらない年齢だったということになります。

そういった別の意味での被害者を思うとき、この追加されたシーンはかなり心に残るシーンになりました。

ダブル主役も、個人的には星野さんの印象が強い

星野源さんの葛藤の描き方はとても素晴らしくて、新聞記者でもない市井の人がこんな大事件に関わりあうなんてことが通常ありえないのにそれに巻き込まれるという設定の旨さ。
そして、あまりの巨大悪にビビりながらも、自分だけではない事件の影の被害者とも呼ぶべき「声」を使われた子供を探すための気持ちの切り替えに至る心情の変化を本当にうまく演じていました。
そして、彼のような存在がいなければけして明らかにならないだろうなと思わせる数々のエピソード。
ストーリー作りのたくみさにやられたと感じながら見ていました。

それをうまく演技に乗せる星野源さんの演技力にも魅了されました

一方で、小栗旬さんは新聞記者という役柄であるがゆえに、星野さんほどのドラマを背負っておらず、なんか「かっこいいなぁ」で演技の評価が終わってしました...ただ、最後の宇崎竜童さんを告発する部分の熱のある演技はとても印象に残りました

余韻の残る作品でした

原作小説との違いを味わうために読もうかなと思ったり、また当時の事件についてあらためてWikipediaを読んだりと、久しぶりにしばらく色々と頭の中に関連情報が渦巻く刺激的かつ印象的な映画でした。

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