[書評]アンディ・ウィアー「火星の人」SF版能天気ロビンソン・クルーソーが大活躍!

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2015年のアメリカ映画「オデッセイ」の原作。かなりの時間差で読んだのですが、個人的に大好きな宇宙サバイバルもので、個人の趣味にどストライク。結構な長さのある小説でしたが、あっという間に読むことができました。小難しくないオススメのSFです。
火星の人

映画「オデッセイ」の原作ということで手に取りました

仕事が忙しくなると、無性にSFが読みたくなります

最近のSFは割りと小難しいものも多く、スカッとサクッと読めるものに中々出会えません。小難しいものも好きなのですが、そういうのは気分がノらないと読めません

そういう意味で、本作は久々に出会った初見の作家にして僕の好みにどストライクなストーリーを語ってくれる作品でした

本作に関しては、なんとなく電子書籍サイトを放浪していて、「オデッセイ」の原作ということと、読者による紹介欄に、映画を見る前に読んでおくと映画がより面白く読める的なコメントを見て読むことに決めました

そうい完璧に出遅れていて、誰得の書評ではありますが、とにかく面白かったです。話題になった時に読んでおけばよかった

SF版ロビンソンクルーソー

こどもの頃に読んだ本の中でも、ロビンソンクルーソーは群を抜いて好きな作品でした

多人数で取り残される系の「15少年漂流記」というのも、当時は周りで人気があった(年代が違いので)のですが、孤独に闘うロビンソン・クルーソーの方が断然僕好みでした

そんなわけで、この小説で火星に一人取り残されてから孤独と闘いながら自分の生き延びるための試みを行っていくあたりは、すごく良かったです

ここからネタバレあります

ロビンソン・クルーソーの中でも、数少ない食用の小麦を、とても大切にしながら試行錯誤して育てると言う下りがあり、生き延びるための智慧を駆使し、神に祈り、それでもダメかもしれないという中で、ついに小麦が芽を出すという感動的なシーンがあります。この小説ないではそれがジャガイモになっています

ロビンソン・クルーソーよりも、幸福なのは6人の人間が1ヶ月暮らす予定の基地に6日目に1人で取り残された為、使える資材は、ロビンソンより多い状態でスタートしてます

一方で、この小説の主人公(ここまで名前を言ってなかった(汗))マーク・ワトニーが取り残されたのは、空気も水も何もかも自分で作らないといけない火星であるという悲劇

そんな悲喜こもごもの状況の中で、生き残るために様々な試みを大胆不敵に行っていく

その様子が、痛快だったりします

サバイバルものにあるまじきノー天気キャラがいい

思えば、サバイバルものは大人になってからも大好きで、さいとうたかおの「サバイバル」も、何度も読み返している漫画です

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映画でも、「アポロ13」なんかは好きな映画のベスト10には入る

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この作品も、宇宙が舞台なので、真っ先に思いつくのはアポロ13の方になりそうなものだが、孤独に冷静に計算をしながら自分を生きながらえさせるための努力を繰り返す姿と日記調の文体から、読み進めている間は、ロビンソン・クルーソーとついつい引き比べながらよんでしまいました

ただ、この二つの物語は全く違うところがあります

主人公のキャラクターが違いすぎる!!

つーか、マークがノー天気すぎる!!!

ロビンソンクルーソーは、聖書(これしか読むものがなかった)のみを読み続けているせいか、とても内省的な信仰深い人として描かれていたように思います

見るものが、70年代のドラマのせいか(ほとんどドラマネタがわからない)、はたまたディスコ・ミュージックしか聞けない環境のせいか、絶望的な状況の中で彼は際限なくポジティブです

そのポジティブさに救われ、そして共感しながら日記調の彼の物語に引き込まれていきました

映画は退屈ではと思っていたのですが、中盤で覆されました

マークの立てた当初の自力救出プランが淡々と進んでいく前半を読み進めているときは、正直この物語を映画化してもあまり面白くないんだろうなとかおもっていました

日記的なモノローグの連続で、テレビでいえば松重豊さんの孤独のグルメとか、森山未來さんのモテキみたいな超絶モノローグドラマになってしまいそうな映像化イメージしかもてませんでした

ところが、途中でJPLにシーンが切り替わる辺りから展開が加速します

まったく、通信機器が使えないが故に地球と交信することが出来ない火星を衛星越しに見つめて、マークの生存を確認するシーン

過去に打ち捨てられた探査機を利用した、奇想天外な通信方法の確立によるJPLとマークの間の交信が成功した時の感動

次のミッションまでに持つ食料を送り込むための地球側での様々な人の思惑が一つの方向に向い、遂に発射された救援物資を積んだロケット…そして墜落

絵になるシーンが増えてきて魅力的なキャラクタが次々にあらわれます

全地球規模になる救出作戦

アメリカ一国の力ではどうしようもなくなった時、助けることになるのは、今や中国なんですね。ちょっと、こういう時に登場してくるのは宇宙大国ロシアというイメージがあったのですが、今や中国のほうが現実味があるんでしょうね

若干、マッドサイエンティストなリッチ・パーネルの立案した作戦は、中国の打ち上げた補給物質を地球へ帰還中の火星探査線が受取り、再度火星に戻して、マークを救出するという作戦

恐ろしくリスクが高い作戦であり、後半までほぼ出番がなかったマークを火星に置き去りにしてしまった火星探査チームが究極の選択を迫られるあたりもゾクゾクする展開です

万が一中国がうちあげる補給物質を受け取れなかった時に、火星探査チームのメンバー5人が、1人だけ生き残らせる為に予め下しておい決断内容も、ゾッとするものです。宇宙へ行くということはそういう覚悟をしているものなのかもしれません

最後は、やはりアポロ13

勿論、マークの方も漫然と救出が来るのを待っているわけには行かず、次のミッションの為に用意された遠く離れた場所にあるMAV(火星から軌道上に上がるための機体)までの長旅をします

大量の太陽電池を積み込みつつも、近場を走るようにしか設計されていないローバーを、繋いで幌馬車のように旅をするさまも面白かったのですが、本当に面白かったのはMAVについてからでした

NASAはあらん限りの智慧を絞って、彼を救出するためのプランを考え続け、その方法を彼に伝授します

それでも、最後の最後は現場にいる一人ひとりの宇宙飛行士達の覚悟と技術。そのすべてが結実するラストシーン

感動的ながら、最後までユーモアがある作品でした

映画DVDも見なきゃ

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