白水社のサイトに今回の岸田戯曲賞の選評が載っています。今回受賞した飴屋法水さんの「ブルーシート」は、「いわき総合高校総合学科第10期生アトリエ公演」という形で上演された戯曲でした。
上演形態の特殊性もあって、劇評のようなものもあまりあがっておらず内容はどんな作品なのかなと興味深く読みました。
評価の落差が、思ったより激しいなと思いました。
野田秀樹さんは、「群を抜いていた。久しぶりに積極的に推したい作品と出会った。」ととても強く押していますし、松田正隆さんも、「この世界が醜悪で絶望的」な「の現状のもとで思考するにはどうすればよいのかということが提起されたのだ。」という評価をされています。
ケラリーノ・サンドロヴィッチさんは、「圧倒されるような候補作はなかった」と今回の候補作の中で、この作品を「力強く、清々しく、気持ちのよい戯曲だ」
一方で、岩松了さんは、「この『ブルーシート』の中で、そこに「芝居」を見出せず、それこそ、さ迷ったのである。」とおっしゃっていますし、岡田利規さんは、「このテキストを戯曲賞の名のもとに評価する意味がはたしてあるのか、よくわからなかったからだ。」と評価しています。
勿論、岩松さんも岡田さんも、テキストとしてのこの戯曲の素晴らしさを評価した上で、これは「戯曲なのか?」という疑問を呈していらっしゃいます。
どんな作品なのかは、宮沢章夫さんが、選評というよりもあらすじを買いてくれていることでなんとなく(本当になんとなくですが)、伺う事ができました。宮沢さんは、この作品を「それは演劇的な行為だったからだ。演劇のテキストだからできたことだ。これは戯曲だ。高校生たちが出現させた奇跡を、見事にテキストとして書きとめ、構成し、構造化することによって生まれた、飴屋法水が創作した戯曲である。」と断定されています。
戯曲の定義さえも話題になった作品であるこの作品。
ここまで来ると、見ることは難しいまでもせめて読みたい!と強く思いました。
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