劇団 | 坊っちゃん劇場 | |||||
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題名 | 瀬戸内工進曲 | |||||
公演期間 | 2019/03/19~2020/03/31(未定) | |||||
作 |
羽原 大介 | 演出 | 錦織一清 | |||
出演者 |
田中隆雅:伊田 清吉(主人公 清剛の長男) 吉田 葵:イモ(伊田家つかえる女中) 中村元紀:伊田 清剛(住友本店 支配人) 脇山尚美:百合子(清剛の妻) 田代久雄:広野(住友にて銅山経営に権限をもつ。清剛の叔父) 塚越ピカル:寛二(清吉の弟(次男)) 宇高海渡:新三(清吉の弟(三男)) 梶雅人:塩見(フランス帰りの銅山経営専門家) 梶雅人:塩見(フランス帰りの銅山経営専門家) 梶雅人:塩見(フランス帰りの銅山経営専門家) 和田一詩:青年(新居浜にやってきた現代の青年) 渡辺輝世美:大久保(別子銅山の現場責任者) 皆川良美:ヤエ(伊田家につかえる女中) 今澤汐音:タケ(伊田家につかえる女中) |
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劇場 |
坊っちゃん劇場(愛媛県松山市)
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観劇日 | 2019/9/6(マチネ) |
目次
松山の坊っちゃん劇場へ
2013年にわらび座を見に行って以来、同様のコンセプトでお芝居をしいてるという劇場である坊っちゃん劇場は、いつか行きたいと思っていました。昨年に引き続き今年の演出も、少年隊の錦織一清さんがされているという話を聞き、ぜひとも見てみたいと思いました
錦織一清さんの演出舞台を見るのは初めてですが、錦織一清さんの出演されたつかこうへいさん演出の「蒲田行進曲」を見ていたこともあり華のある役者さんが、つかさん流の演出手法とジャニーズ仕込のダンス技術でどんな舞台を作り上げるのかを是非見たかったのです
その2つの願いが今回叶いました
ここからはネタバレします
物語の進展が前半遅い
全編で、休憩をいれて2時間10分の舞台ですが、休憩前の第1幕が終わったときは、 少したるい展開だなぁと感じました。
地元ネタとも言えないギャグの応酬のある現代のおばあさんと青年の会話にも繰り返しが多かったり、個々の会話の中にも繰り返しや無駄に思えるセリフのやりとりが多いと感じました(おそらく、笑いを取るため?なんだと思うのですが、客席はけして温まっておらず…)
また、主人公である清吉の前半生として東京に小説家になるために行き、失意のもと帰郷するという下りもあまり後半の物語につながる部分がすくなく、もっとコンパクトにまとめても良かったような気がしました。
主人公にのめり込めない
主人公の人物像がどうもありがちでのめり込めなかったのも1幕でイマイチ乗り切れなかった原因でした
金持ちのボンボンで、気が弱くて、病気がちで、牽かれているレールに乗ることに嫌気がさして、家出をして東京で小説家を目指すという人物像があまりにもあまりにも類型的で少々辟易としました(実は、見ている間はそれでも実在の人物なんだろうなと思ってやむなしと考えていましたが、見終わった後で調べると主人公にあたる人物のモデル(伊庭清吉)の詳しい情報はなく…じゃなんでこんなキャラにしたんだと更に???)
後半成長する姿を見ることができて、その前段としての落差だとは思うのですが、主人公にのめり込めないのはやはり見ていて辛いものがありまいした。
人物の造形はきめ細かくて、心に残るシーンも多数
ここまでかなりディスっていますが、舞台を見終わった後の感想は、「面白かった」ということにつきました。
上記の主役の造形には疑問符がつきましたが、本物のエリートとしての父親が地域発展と問題解決に立ち向かう姿を目の当たりにするなかで、成長する主人公の姿には胸を打たれました。
言葉が話せない少年との出会い、その少年が必死に伝えてくれた感謝の思いを受け止めることによって自分が本当に伝えなければならないことを伝える力を得るという展開は良かったです
また、主人公の母親役も最初は単なる過保護な良家の高飛車な女性なのかとおもっていましたが、清吉が思いを寄せる下女のイモを遠ざける為にしたことやそのときのセリフは、単純なものではありませんでした
だからこそ、イモもその思いに応え更に踏み込んだ提案をするという展開にドラマを感じることができました。
歴史的な偉業には、感服しか感じない
この物語は、愛媛県の新居浜にかつてあった別子銅山の近くにあった精錬所を、大きな投資がかかる覚悟を決めて沖合の四阪島に移すという決断を行った住友の伊庭貞剛さんの話がもとになっています(劇中では、伊田清剛として主人公の父親として登場)
当時配布されたパンフレットにもありますが、産業振興が第一だったであろう時代に、煙害に苦しむ地元の環境を復旧するために、大規模な投資を行ったのはかなり先進的な取り組みだったと思います。
今は銅山として稼働しているわけではないですが、新居浜は今でも銅山跡地などが東洋のマチュピチュと呼ばれる景観を示しているようです。
うーん予め知っていたら、旅行プランに組み込むべきでした(今回はいけませんでした)
坊っちゃん劇場はとても演劇が見やすい劇場
ロングラン公演ということもあってか、装置はかなり作り込まれていました。物語は結構場面転換の多い話でしたが、装置でかなりうまいこと展開していました。見ごたえのある美術でした
劇場もきれいです
アクセスが遠い..
この劇場に行くならば、近くの温泉宿泊施設「利楽」が運行しているシャトルバスがあるので、それを使うべきです。
近くに、伊予電鉄線の「見奈良」という駅があります。歩いて15分ほどでたどりつけますが、駅周辺から劇場にたどり着く道は完全に住宅街で正直目印になるものがあまりなく、歩いていてかなり不安になります
シャトルバスで帰りは松山市駅まで送ってもらいましたが大分たすかりました
鴻上さんとか、中島さん、いのうえさんの舞台がここでみれないかなぁ(妄想)
実は、お芝居が終わった後で劇場ロビーでちょっと意外なものを見つけました
演劇プロデューサーの細川展裕さんは、なんと愛媛県新居浜市出身!!という地元民。
↓こちらの本を平積みされていました
第三舞台、劇団☆新感線のプロデュースとして何度も耳にする方がまさかこんな地元とは!いつか細川さんのプロデュースによる舞台が松山坊っちゃん劇場で実現しないかなぁ。(妄想です)
以上 愛媛県松山市にある坊っちゃん劇場で上演中の「瀬戸内工進曲」の劇評でした
[…] 清角克由(2019/09/06) […]
地元紙に割合頻繁に広告が出ているのに、劇評を聞きません。新居浜のお話しなので、住友関係のバックアップで広告が打てるのかなあと考えていました。千秋楽が迫ってきて、コロナウィルスも広がりを見せるので、見るなら今のうちと2月29日に見に行きました。
これ、映画の「シックスセンス」ですね。
清吉の成長とか、住友の決断とかは、甘いというかごちゃごちゃというか、筋書きに破綻を感じるし、でしたが、劇の終わり近く、あの婆さんの素性をほのめかした名も無い登場人物のひと言にやられました。
劇中では触れなかった事柄が、押し寄せてきたのですね。
クソ台本だけど、婆さんの耄碌が関係しているのだなあ・・・。
成仏したのだろうか。