この劇団は、かれこれ20年近く見に行っています。つくづく思うのは、物語ではなく役者を見に行っているんだなという感想です。そして、今回は、いつも楽しみに見ている役者さん不在の中、客演陣、劇団の役者さんがいつも見せない顔をみせての素晴らしい作品になっていました
劇団 | 劇団桟敷童子 | |||||
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題名 | 老いた蛙は海を目指す | |||||
公演期間 | 2022/12/15~2022/12/27 | |||||
作 |
サジキドウジ | 演出 | 東憲司 | |||
出演者 |
柴田林太郎:銭丸鎌足(掃き溜め長屋地主・大家) 藤吉久美子:銭丸千景(鎌足の妻) 増田薫:詩津(千景の妹) 佐藤誓石堂兵之輔(先生と呼ばれる男・貧乏医者) 鈴木めぐみ:名無しの婆(迷い老婆) 川原洋子:お嘉代(饅頭売り) 山本あさみ:多摩芳(御札売り) 吉田知生:ツネオ(浮浪児) 羽田野沙也香:アケミ(私娼) 藤澤荘嗣:梵吉(人足) もりちえ:お鶴(乞食会社「残飯屋」従業員) 鳥越勇作:ジャリケン(乞食会社「残飯屋」従業員) 坂口候一:又蔵(銭丸の甥・自警団「肉弾の会」) 瀬戸純哉:縄次郎(自警団「肉弾の会」) 前澤亮:郡司(自警団「肉弾の会」) 青山勝:箕輪惣兵衛(乞食会社「残飯屋」の親方) 板垣桃子:与田葦乃(追われ人) 三村晃弘:紫裏文雄(追われ人) 稲葉能敬:橘彦治(追われ人) |
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劇場 | すみだパークシアター倉(とうきょうスカイツリー) | |||||
観劇日 | 2022年12月17日(マチネ) |
目次
わりと大事なキャストがかけている舞台
大手忍さんと原口健太郎さんが出演していないことを開演前にパンフレットで知りました
そういえば、大手さんはTwitterでフォローしているので、旅公演の様子をアップしているのを観た気がします(現在は、以下の舞台に参加中の様子)
こちらも東憲司さん演出なんですよね。ちょっと気になっていました(地方在住なので、そうそう足が運べない😭)
初めて桟敷童子を見たときから出演されている原口健太郎さんと、最近ますます重要な役を任されることが多くなった大手忍さんの不在を少々不安に思いながら開幕を待ちましたが、観終わった感想は、杞憂の一言でした
客演陣がすごく良い
今回も、客演陣が豪華な桟敷童子ですが、特に良かったのは以下の3人の方でした
藤吉久美子さんがハスっぱな女性役が似合っている
藤吉久美子さんは、テレビで観た記憶はあってもあまり舞台を見た記憶がありません。このブログで過去の自分の記事を検索したところ、以下の舞台で観ていることがわかりました
こちらも東憲司さんの演出作。作品はすごく覚えているのですが、正直藤吉さんの印象はそれほど残っていません(ごめんなさい)
ただ、今回は色気が合って、上品で、それでいて凄みのある役がとてもハマっていました
最前列で見れたこともありますが、表情もとても良く見とれました
佐藤誓さんの苦悩している姿も良い
既に劇団員ではないかと勘違いしてしまうほど、桟敷童子にも多数出演している印象の佐藤さん
今回は、まさに「どん底」を彷彿とさせる貧民街に落ちたインテリの医者の役を好演していました。酒で身を持ち崩したはずなのに、それでも酒に負ける様や、ねずみの捕獲に四苦八苦している様は等身大な感じで、一番感情移入できる役でした
青山勝さんが物語のキーを握る
最後まで、物語をハラハラしながらみれたのは、青山さんが演じんる○○の怪しさによるところが大きかったです。
まったく腹の中が見えない役であるため、逃亡者の3名をどのように処遇するかがわからず、ドキドキしながら観ていました
青山さんは、複数の舞台でみていますが、いつもは眼鏡をかけて、少し情けない感じの役がおおい印象です
今回も、「情けなさ」があるものの貧乏のどん底で成功しているという強かさが出ていて、情けなさを隠し持つ強かさが得体のしれなさをみせてくれています
正直、過去に青山さんが出演された舞台はいくつか観ていますが、この舞台の青山さんが僕の中では過去一でした
劇団役者陣も良い
普段割りと印象には残っているものの出番が少ない傾向のある柴田さんと鈴木さんが、今回はかなりいい味をだしていました
柴田さんは、今回はキレイな奥さん(藤吉久美子さん)をもらってしまった強欲大家役で、感情の起伏の激しいかなり印象的な役でした
いつもは気のいいおじいさん的な役が多かったので、今回の役は過去のイメージにない強烈な役でしたが見事に演じきっていたのと思います
また、同様にやさしいおばあさん役イメージの強い鈴木さんは、今回は謎多き役。なんか、ある意味いつの間にか去っていったのに印象が強くてかつ物語の最後までなんか仕掛けてるんじゃないかという余韻を残す役でした
でも、最後は….板垣さんですよね。やっぱり
と思いながら、ラストシーン観てました
前半から中盤にかけては、上記のような客演の方々や劇団の役者さんたちが引っ張っていたのですが、終盤一気に板垣さんの演技の存在感が増していきます
板垣さんが病気になってどんどん壊れていくという当たりから舞台の空気が変わっていき…前半、普通すぎるくらい普通の人だったので、この落差は衝撃的でした
ラストシーンのこの寒いさ中の本水をつかった演出も含め、やっぱりこうなるかという安堵感に近い感情を持ちながら観ていました
以上 劇団桟敷童子「老いた蛙は海を目指す」の感想でした
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