[劇評]コクーンプロデュース「広島ジャンゴ」@シアターコクーン

広告


コクーンで上演される広島が舞台になっている話。豪華キャストで、かつ全編広島弁で繰り広げられる舞台はとても楽しめました。
脚本が小劇場っぽくても、大劇場でも、素敵な作品は素敵な作品になるんだと思いました。
広島でもやってほしかった….

劇団 シアターコクーンプロデュース
題名 広島ジャンゴ
公演期間 2022/04/052022/04/30

蓬莱竜太

演出 蓬莱竜太
出演者 天海祐希:山本/アンナ(夫殺しの罪で指名手配中)
鈴木亮平:木村/ディカプリオ(アンナの馬)
芋生悠:ケイ(山本の娘)
仲村トオル:工場長/市長
藤井隆:/チャーリー(2本目の井戸を掘ろうとする)

野村周平、中村ゆり、土居志央梨、北香那、辰巳智秋、本折最強さとし、江原パジャマ、川面千晶、エリザベス・マリー、小野寺ずる、筑波竜一、木山廉彬、林大貴、宮下今日子、池津祥子
(配役表が配布されておらず、詳細配役表かけません。m(_ _)m)
劇場
シアターコクーン(渋谷)
観劇日 2022/04/16(マチネ)

広島から東京へ「広島ジャンゴ」を見に上京

蓬莱竜太さんが、2017年に広島の演劇人とともに創作したという舞台を、天海さん、鈴木亮平さんという豪華キャストを迎えての再演作。広島のかき小屋を舞台にした西部劇。
公演のお知らせを見たときには、昨年広島に引っ越しをしたばかりで、甘みさんが大好きな僕としては高まりました。
公演は、4月に東京、5月に大阪….
なんで広島でやってくれんのんやぁ-(注:広島弁

というわけで、泣く泣く(?)東京で公演を見ることに…しました(引っ越し以来、広島でまだ舞台見れていません(泣))

広島ジャンゴは、もともと広島で創作された脚本です

脚本家の蓬莱さんが、広島の演劇人と創作した芝居で、2017年に広島で、広島のキャストを中心に上演された作品だそうです。

演劇引力廣島とは、広島市文化財団が行っている広島の演劇事業で、蓬莱さん以外にも様々な東京で活躍中の演劇関係者が創作に地元の演劇人と創作にかかわる活動をされているようです

私は、広島が実家とはいえ、昨年の転居までまったく広島の演劇関係の活動について知見(興味)がなかったため、まったくしりませんでした!??いや、面目ない

広島県民ネタが随所に散りばめられている脚本。東京で通じるのか?

当たり前のように、「7つの川」や「水不足に苦しみがち」、「職場の親睦会がカープの応援」、「東京の人はすべてジャイアンツファンだと思っている」、「津田投手のことは神のように崇める」など、広島あるあるネタが脚本中に散りばめられています。
劇中で、歌われる歌も、カープの各種応援歌や、小学校のときに歌っていたような歌などが、歌われていて「あ、懐かしい」とかおもっていました。

というわけで、ノリノリでみることができたのですが、終わってみて殆どが広島にゆかりのない人が来ているだろうコクーンの客席でこの辺のネタが通じているのか少々不安になりました。

ここからはネタバレします

芝居の作りはしっかりしている。小劇場っぽい脚本が、大舞台で映える

上記のような経緯でできた舞台なので、芝居の基本構造がとても小劇場っぽいところがあると思いました。

カキ小屋(広島っぽい)での日常と重なるように夢の中に現れる西部劇のシーンとの不条理劇的な作りとか、死んだ姉が日常に現れて、主人公(鈴木亮平さん)を鼓舞するとか…小劇場的というか、僕の好きな表現だと「アングラ的」だと思いました

先日、同じコクーンで見た芝居が小劇場の脚本と大劇場が合わないと言いましたが、今回の舞台はその辺みごとにマッチしておりました

違いは何かなと考えたのですが、よくわかりません??

西部劇の活劇シーンが結構派手で気が紛れたこと

そして、無用な長台詞で強引に話を進めるのではなく、会話とアクションでシーンがつながっていくのが心地良かったのだと思います

天海さんかっこいい。でもいつもと少し違う

今回の天海祐希さんは、西部劇のシーンはいつものようにかっこいい男勝りなキャラクターなのですが、一方でカキ小屋につとめる「山本さん」を演じているときは、とても弱い母親役を演じています。

娘との距離感に戸惑い、どのように接すれば良いかを思い悩む姿は、いつもと違う天海祐希さんを見せてもらえたような気がしました

主役は….鈴木亮平さんだったのか!

ポスター等からてっきり、天海さんが主役のつもりで見に行ったのですが、この物語、主役は鈴木亮平さんだったようです
僕の主役の定義は、物語を通じて何かが変化をする人物です。

そうすると一貫して、自分の思いを貫き通した天海祐希さんではなく、この物語において夢の中での西部劇に影響され、会社の中での自分の立場における苦悩に一定の結論を見出した木村さん(鈴木亮平さん)こそが主役だったんだと思いました

ポケットカラオケマシンを手にラップを絶叫する演出は、昔どこかでみたよなと思いましたが、他の方のブログを読んでいて、つかこうへいの演出に似たものがあったのを思い出しました。このあたり、小劇場的な演出なのかもしれません。

舞台でも、何度かお見かけした鈴木亮平さんでしたが、翻弄される演技やカラオケパフォーマンス等見どころも多数あり、やっぱすごい役者さんだなと思いました

仲村トオルさんの悪役ぶりはさすが

不慣れと思われる広島弁(喋る必要のない天海祐希さん以外のすべての役者さんがそうだと思いますが)を操りつつの、一貫して悪役を貫いています(この脚本、悪役も主役もとてもステレオタイプで、わかりやすい…というか単純)

こういう役には、仲村トオルさんの硬質な演技がとてもハマっていて、津田選手のことを褒める人に悪い人はいないという広島県民の信念が揺らぐほどの悪役ぶりでした

「それゆけカープ」が、怖い

いやぁ、あんなに怖い「それゆけカープ」は初めてでした。
西部劇っぽい縛り首のリンチにかけようというシーンで、市長の手下である街のひとが暗く歌う曲がまさかの「それゆけカープ」。
ものすごく緊迫したシーンだったはずですが、私は内心で笑ってしまいました

こういう演出はかなり好きで、この舞台は乱闘シーンを割りとミュージカルチックにやっているので重くならない演出だったのは良かったです。

爆破されたダムは…高瀬堰なの

くだらない地元ネタですが….
藤井隆さんが演じるチャーリーは、いい人から、コスいキャラに変わり、最後に更に街を救う行動にでるというかなり美味しい役です
こういう役も、藤井さんのハマり方が半端ないですね。
一昨年見た(配信で)大地の役に通じるものを感じました

[劇評]PARCOプロデュース「大地(Social Distancing Version)」@ライブ配信

んで、最後の街を救う行動にでるときに破壊する、広島の7つの川に流れる水をせき止めているという堰の話がでてきます。

これ、高瀬堰ですよね。僕の住んでいる近所にある広島に流れ込む太田川の上流にある巨大な堰です。劇中この話題が出てきたとき、もうこの堰だとしかおもえてませんでした。
以下のような場所です

……えっと。あのとき、チャーリーの家族は弩級の爆弾かなんかもっていったのでしょうか…

2017年版の感想を読みました

気になって、2017年に広島で上演された舞台の感想を探してみました。

すごく詳しく記載されていて、基本的な脚本は5年前と変わりがないんだなと思いました。

どうやら、舞台上でドラムとベースの生演奏があったのも、5年前と同じ演出のようです。そして、衝撃の蓬莱さんの発言が書かれていました。

終演後のアフタートークで、蓬莱氏自身が
「役者のみで演劇的に作品を成立させるのが難しいと判断したので生演奏等の要素を加えた」

あれってそういう理由で、行われたんですね….今回のキャスト陣でそういう不安要素はなかったと思ったのですが….同じ演出を踏襲したということでしょうか🤪

以上 2022年上演版の広島ジャンゴの感想でした(もう4月も半ばだというのに、2022年初観劇でした!)

広告

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。