[劇評]ラッパ屋「2.8次元」@紀伊国屋ホール

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劇団設立今年で35年というおじさんとちょっと年上のおねえさんばかりの劇団が、今流行りの2.5次元ミュージカルを取り上げた。どう料理するのかと思ったが、話の骨格というかテーマは割と普遍的で、いつものように笑えて安心できる物語でした

劇団 ラッパ屋
題名 2.8次元
公演期間 2019/06/092019/06/16

鈴木聡

演出 鈴木聡
出演者  木村靖司:座長・志賀高太郎(72歳)
 宇野佑:俳優・星野崇(69歳)
 岩本淳:俳優・横井章(49歳)
 青野竜平:俳優・藤田弘(29歳)
 弘中麻紀:俳優・瀬戸さなえ(50歳)
 岩橋道子:俳優・遠藤恭子(46歳)
 三鴨絵里子:俳優・本田真理(46歳)
 大草理乙子:俳優・水島小夜子(77歳)
 俵木藤汰:俳優・沼田克雄(69歳)
 浦川拓海:制作部・斉藤靖之(36歳)
 熊川隆一:演出部・戸田吾郎(69歳)
 ともさと衣:演出部・江藤結子(38歳)
 佐山こうた:ピアニスト・今俊夫(42歳)
 福本伸一:美術照明家・望月健(55歳)
 おかやまはじめ:小西雄介(62歳)
 谷川清美:演劇プロデューサー・松尾広子(48歳)
 中野順一朗:演出家 SHOW(46歳)
 林大樹:2.5次元俳優 TOSHI(29歳)
 武藤直樹:アニメ原作者 里見瑛二(52歳)
 豊原江理佳:ミュージカル女優 REINA(24歳)
 黒須洋嗣:振付師 秋山卓郎(51歳)
劇場
紀伊国屋ホール(新宿)
観劇日 2019/6/9(マチネ)

目次

最近はやりの2.5次元を題材にしたコメディ。ラッパ屋がミュージカル!?

2.5次元は、流行り出した頃には以下のように記事にしたことがあります。

twitterのトレンドのところに「5次元ミュージカル」という言葉が出ていて、シュールな言葉だなと思って検索したら、「2.」5次元ミュージカルの.(dot)以降の言葉が表示されているだけでした。

上記の記事を書いたのは2014年。あれから5年で本当に多くの作品が、2.5次元の作品として舞台化され、そして観客を集めてきました。
演劇界において、全体として観劇人口が伸び悩む中で間違いなく主要コンテンツになりつつあります
かつては、ももクロを取り上げたりもして割と時代のトレンドとそれに立ち向かうおじさんたちという出会いの中で笑いを生み出す劇団という印象もあり、今回も楽しみにして舞台に伺いました
ちなみに、ももクロを題材した舞台の感想は以下

ここからはネタバレします

演劇ネタ多数

まさかそこまで狙ったわけではないでしょうが、最近非常に話題になった劇団の経済事情のあたりから話はスタートします

  • 新劇劇団の地方公演の減少や進まない観客の世代交代
  • 2.5次元演劇の隆盛
  • わらび座の驚異の営業力(ちなみに、劇団四季、宝塚に次ぐ3番目の観客動員力を誇る劇団らしい)
  • 劇団☆新感線のチケット争奪戦
  • かなりの大女優が女子高生役をやったらそう見える(そういえば、僕も女の一生で杉村春子さんの女子高生みたな)

そんな現状を脚本に上手く取り込みながらコミカルな会話が続くと客席も楽しんでいるのがわかります

さすがに2.5次元舞台の描写は酷くないか?

ま、そこに期待しているわけではなかったのですが
あのくらい極端な方が、話として面白いのはわかりますがさすがに現実味のない話すぎて話が頭にはいってきませんでした

そこを作り込めば全体としての上演時間が長くなる懸念があったのだと思いますが、でももう少しはねぇと思いました

俳優の個別の力はいつものようにすごい

豊原江理佳さんハンパない

最初に目を引いたのは、REINA役の豊原江理佳さんの歌唱力のハンパなさでした
ラッパ屋には、珍しく開演早々女優陣が歌を歌いながらストレッチをするというシーンではじまってめずらしいなぁと思ってみていました。

が、そのあとで、豊原さんが出てきて流れでそのへんにある楽譜を歌うというシーンで、同じ歌を歌いだして最初の劇団の女優陣の歌の意味がわかりました

同じ歌なのに、ここまで歌う人によって感じが変わるとは驚きでした。もちろん、照明効果等のサポートもありますが、完全に舞台をその瞬間に掌握してしまうのはさすが。
最初に劇団員うたったことで、彼女の凄さが際立っていました

木村さんの老人役。これはこれでありか

ここまでおじいさんの役をやっている木村さんは初めて見ました。
木村さんという役者さんは、結構昔から見ていることもあり、実は最初は違和感しかありませんでしたが、途中からしっくりきました

ちょっとおじいさんに見えない容姿に対して本気か嘘からわからない物忘れのひどさで笑いを取りつつ老人感を出していたのは脚本の良さだなと感じました

単なる老人役ならば、劇団の他の役者さんでも十分ではと思っていたが、最後の当たりで木村さんらしい説得力のある演技がずいっと出てきて配役にも納得しました

劇団員の持ち味を出す演出は安定感が遭ってさすが

劇団員の方々は、なんか 既視感ある役柄が多いのも事実ですがそれでも、それが安心して笑えるコメディの基盤になっています

鈴木さんの物語を他の劇団がやったのも見たけど(そして、それはそれで鈴木さんらしさとその劇団のカラーの融合で楽しめたけど)やはり ホームの力は凄い

カーテンコール三回の大盛況での幕

音楽のせいもあるかもだけど、観客がノれる素晴らしい舞台だったからこその三回のアンコール
確かに三回のアンコールは他の劇団でもあまり観ないし、戸惑っている劇団員の皆さんが微笑ましい感じでほんわり見終わることができました
感極まった大草さんの涙もまた良かった

以上 ラッパ屋「2.8次元」の劇評記事でした

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