アンチミュージカルのようなセリフと歌が散りばめられているが、かなりちゃんとミュージカルしていて驚いた。ただし、ミュージカルとして新しくはあるが、秀逸というところまでいっておらず、三谷さんの他のコメディと比べると三谷さんらしさが出ておらず、終演後の感想は少しだけ複雑。
劇団 | PARCOプロデュース | ||||
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題名 | オケピ! | ||||
公演期間 | 2003/03/07-2003/04/20 | ||||
作/演出 | 三谷幸喜 | ||||
出演 | 白井晃、天海祐希、戸田恵子、川平慈英、小日向文世、寺脇康文、小林隆、相島一之、温水洋一、小橋賢児、瀬戸カトリーヌ、岡田誠、布施明 | ||||
劇場 | 青山劇場(表参道) | ||||
観劇日 | 2003/3/16(ソワレ) |
<<ストーリー> >
オケピ即ちミュージカルのオーケストラピットの中の物語。妻を同じオーケストラ仲間に取られ、しかしハープの女性とちょっといい関係というコンダクターを始めミュージカルの開幕直前から閉幕までの間に巻き起こるオーケストラピットの中での人間模様。
<<感想> >
布施明さんいい。大事なことだからもう一度書くが、布施明さんがいい。
舞台で布施さんを見るのは初めてだが、今回の芝居の中で特に彼が役にはまっていてミュージカル全体の印象はかなりの部分彼に拠っていた。彼の歌唱力が、舞台全体を締めていたと思った。
非常に、クールなというか、なげやりな現実主義の布施さんの役が、父親という役柄を得た瞬間に豹変する。彼の歌唱力もあいまって、彼一人に惹きつけられ彼の(役の)心情に観客を同調させ、ミュージカルらしい感動を与えてくれた。二幕頭のこのシーンが、何よりもこのミュージカルで印象に残るシーンであった。
もちろん、三谷さんの舞台。布施さんだけがよかったわけではない、小日向さんのすっとぼけぶりや白井さんの苦悩、温水さんの怒り、寺脇さんの意味のないかっこつけ、川平さんの超がつくくらいのハイテンション、天海さんの美しさとそれに相反した(でかい/力持ちといった)演出のおかしさ。
どれをとっても、従来のミュージカルの常識では考えられないほど破天荒で、面白い。こんなにミュージカルで笑ったのは初めてかもしれない。
しかし、笑っているだけではミュージカルとしては少し不満が残る。
話の構成上、個別の人々の小さなエピソード(前記の布施さんの役の話も含む)の積み重ねになってしまっているが故に、いつもの三谷さん固有の構成力のすごさというか畳み掛けるような大団円に向かう話の方向感が弱く、話そのものに引きこまれる程の魅力がない。個々のキャラクターにすごく頼った舞台づくりになっているのが、贅沢だけども不満ではある。
[…] [劇評]PARCO「オケピ!」@青山劇場 […]
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